[PO-2-4] 作業分類に関する文献レビュー
【序論】
作業療法では, 対象者の過去の作業を聴取し, 現在の作業を評価し, 未来の作業の目標を設定することが不可欠である. 生活行為向上マネジメント(MTDLP)でも同様のプロセスが含まれる(日本作業療法士協会, 2014). そのためには, 対象者の行為を普遍的な活動としてではなく, 意味のある作業として捉える必要がある. そこで本研究では, 作業が持つ意味の評価を促進するための一つとして, 作業分類に着目した. 現象を理解し, 記述し, 伝えるためには分類が不可欠であるとされ, これまで様々な作業分類がなされてきた(Christiansen, 1994; Jonsson, 2008). それは, Mayer(1966)のBig4(仕事, 余暇, 日常生活動作, 睡眠)に代表されるような「作業の形態」による分類だけではなく, 「作業の経験」による分類も含まれる(Widmark, 2019). そのため, これまでに提案されてきた作業分類を整理することは, 対象者がある作業をどのように経験し得るのかを端的に言語化することに繋がると考えられる. 本研究の目的は, 作業分類に関する文献をレビューし, 今後の作業療法実践および研究において, 対象者の作業を適切に検討し, 論じるための一助とすることとした.
【方法】
検索対象は, 6の国と地域(アメリカ, イギリス, オーストラリア, カナダ, スカンジナビア, 香港)にて発行されている作業療法雑誌およびJournal of Occupational Science の7雑誌とした. 検索用語はcatego, class, domain, sortとし, これらの単語(語幹)のうち少なくとも1つを要旨に含む文献を抽出した. また文献の包含基準は, 作業に関する分類を実施または提案, 検討している文献のうち, 英語で記載され, 2022年までに発行されており, 筆頭著者の所属する大学が登録している電子ジャーナルアクセスサービスにて全文が閲覧可能であるものとした.
【結果】
検索の結果1489件が抽出され, そのうち156件が本研究の包含基準に該当していた. 「作業の形態」による分類は, 国民生活時間調査(Castles, 1994)や様々な評価ツール(e.g. Law, 2011; Baum, 2001)などで用いられ, サブ分類(e.g. 仕事: Eagers, 2018; 余暇: Borell, 2016; 日常生活動作: Tornquist, 2014)も報告されていた. 「作業の経験」による分類は, 作業経験(Widmark, 2019; 時間変化の知覚, 楽しさ・満足感, 挑戦・能力, 退屈, 人生に深く関わる, リラックス・回復, 中立, 自己同一性の認識)だけではなく, 作業バランス(Eklund, 2004; 主要な作業, 隠れた作業, 予期せぬ作業)や作業の意味(Goldberg, 2002; 自分らしさを表現できる, 達成感を得られる, 能力を発揮できる, 人から大切にされる, 他人を助けられる), 時間使用(Bryant, 2005; 必要時間, 契約時間, 約束時間, 自由時間), フロー(Jonsson, 2006; 覚醒, フロー, コントロール, リラックス, 退屈, 無感動, 心配, 不安)など様々な観点から分類されていた. その他, 「作業の形態」による分類と「作業の経験」による分類を比較した文献(Ellegård, 2006)や作業を良い(健康), 悪い(不健康)で分類できるのかを検討した文献(Kiepek, 2011), そもそも作業を分類することは可能であるのか検討した文献(Hammell, 2009)なども見られた.
【考察】
国民生活時間調査や評価ツールなど, 便宜的にあらかじめ活動を分類する必要がある場合も存在するが, 実際は同じ活動であっても, 遂行者により得られる経験は様々であり, どんな作業として分類されるのか断定することは出来ない(Hammell, 2009). 本レビューは, 対象者と作業療法士が作業について円滑に議論をするための重要な役割を果たしていると考えられる.
作業療法では, 対象者の過去の作業を聴取し, 現在の作業を評価し, 未来の作業の目標を設定することが不可欠である. 生活行為向上マネジメント(MTDLP)でも同様のプロセスが含まれる(日本作業療法士協会, 2014). そのためには, 対象者の行為を普遍的な活動としてではなく, 意味のある作業として捉える必要がある. そこで本研究では, 作業が持つ意味の評価を促進するための一つとして, 作業分類に着目した. 現象を理解し, 記述し, 伝えるためには分類が不可欠であるとされ, これまで様々な作業分類がなされてきた(Christiansen, 1994; Jonsson, 2008). それは, Mayer(1966)のBig4(仕事, 余暇, 日常生活動作, 睡眠)に代表されるような「作業の形態」による分類だけではなく, 「作業の経験」による分類も含まれる(Widmark, 2019). そのため, これまでに提案されてきた作業分類を整理することは, 対象者がある作業をどのように経験し得るのかを端的に言語化することに繋がると考えられる. 本研究の目的は, 作業分類に関する文献をレビューし, 今後の作業療法実践および研究において, 対象者の作業を適切に検討し, 論じるための一助とすることとした.
【方法】
検索対象は, 6の国と地域(アメリカ, イギリス, オーストラリア, カナダ, スカンジナビア, 香港)にて発行されている作業療法雑誌およびJournal of Occupational Science の7雑誌とした. 検索用語はcatego, class, domain, sortとし, これらの単語(語幹)のうち少なくとも1つを要旨に含む文献を抽出した. また文献の包含基準は, 作業に関する分類を実施または提案, 検討している文献のうち, 英語で記載され, 2022年までに発行されており, 筆頭著者の所属する大学が登録している電子ジャーナルアクセスサービスにて全文が閲覧可能であるものとした.
【結果】
検索の結果1489件が抽出され, そのうち156件が本研究の包含基準に該当していた. 「作業の形態」による分類は, 国民生活時間調査(Castles, 1994)や様々な評価ツール(e.g. Law, 2011; Baum, 2001)などで用いられ, サブ分類(e.g. 仕事: Eagers, 2018; 余暇: Borell, 2016; 日常生活動作: Tornquist, 2014)も報告されていた. 「作業の経験」による分類は, 作業経験(Widmark, 2019; 時間変化の知覚, 楽しさ・満足感, 挑戦・能力, 退屈, 人生に深く関わる, リラックス・回復, 中立, 自己同一性の認識)だけではなく, 作業バランス(Eklund, 2004; 主要な作業, 隠れた作業, 予期せぬ作業)や作業の意味(Goldberg, 2002; 自分らしさを表現できる, 達成感を得られる, 能力を発揮できる, 人から大切にされる, 他人を助けられる), 時間使用(Bryant, 2005; 必要時間, 契約時間, 約束時間, 自由時間), フロー(Jonsson, 2006; 覚醒, フロー, コントロール, リラックス, 退屈, 無感動, 心配, 不安)など様々な観点から分類されていた. その他, 「作業の形態」による分類と「作業の経験」による分類を比較した文献(Ellegård, 2006)や作業を良い(健康), 悪い(不健康)で分類できるのかを検討した文献(Kiepek, 2011), そもそも作業を分類することは可能であるのか検討した文献(Hammell, 2009)なども見られた.
【考察】
国民生活時間調査や評価ツールなど, 便宜的にあらかじめ活動を分類する必要がある場合も存在するが, 実際は同じ活動であっても, 遂行者により得られる経験は様々であり, どんな作業として分類されるのか断定することは出来ない(Hammell, 2009). 本レビューは, 対象者と作業療法士が作業について円滑に議論をするための重要な役割を果たしていると考えられる.