[PP-1-3] コロナ禍における家族とリハビリスタッフの対面頻度減少への受け止め
【目的】
新型コロナウイルス感染拡大により面会方法が変化しつつある中,コロナ流行以前と比較して家族との対面頻度が減少している.定期的なやり取りを行うことはできるが対面で行えていた密な情報共有が制限される事で,対象者のリハビリ状況について家族が把握不十分となってしまうことが懸念される.一方,コロナ禍に入職した1~3年目までのスタッフにおいては,家族と対面で行う情報共有の必要性に対する意識が他のスタッフと比較し,低下している可能性が考えられる.そこで世代別での認識に特徴があるのか明らかにするためアンケート調査を行った.
【方法】
対象は介護老人保健施設と隣接する病院に勤務するリハビリテーション部スタッフ計73名,経験年数は1~33年目.独自に作成したアンケート用紙を用いて段階形式と自由記述形式の設問に回答して頂いた.コロナ禍に入職した1~3年目までのスタッフをA群,4年目以降をB群とし,「家族と十分な情報共有を行えているか」についての回答を比較しカイ二乗検定にて解析,有意水準を5%とした.また,A群には業務や家族との関わりにおいて不安に感じている部分,B群には後輩指導について自由記述して頂いた.アンケートはスタッフの同意を得た上で倫理的配慮に基づき実施した.
【結果】
64名から回答が得られ,A群は18名,B群は46名となり回答率は87.7%であった.「家族と十分な情報共有が行えているか」についての回答は,「行えている(A群22.2%,B群17.3%)」,「どちらでもない(A群55.6%,B群43.4%)」,「行えていない(A群22.2%,B群39.1%)」であった.結果,A群とB群で回答に差は認められなかった(p=0.44).自由記述ではA群からは,家族との関わりや業務について「自分の言葉が家族に伝わっているか心配,在宅調整や方向性の提案が難しい(35%)」.「必要な情報は電話や紙面で行えている.不安はとくにない(65%)」.B群からは,後輩指導に関して「必要な情報収集が不十分(26.4%)」「直接家族の顔をみてコミュニケーションを図る大切さが伝わりにくい(23.5%)」「家族への伝え方や関わり方に課題を感じる(20.5%)」などの回答が挙げられた.
【考察】
A群とB群において回答に差は認められなかったが,自由記述から,A群とB群の実際の受け止めには差が生じている傾向が見られた.A群は在学中に臨床実習が十分に行えないなど制限がある環境下で入職した経緯もあり,家族への情報収集や状況報告など対面で行う部分における経験が圧倒的に少ないことも背景に考えられる.情報通信技術(以下,ICT)が普及したことによる利便さもあるが,人は対人コミュニケーションにおいて発話や身振りといった自他の身体から直接発せられる情報だけでなく,相手との距離や方向といった物理的な位置関係も重要な情報として利用していることから,対面で相手の感情をくみ取りながら関わる技術も必要不可欠である.
【今後の展望】
今回の結果からコロナ禍に入職したスタッフでは,利用者・患者の家族との繋がりが希薄となってしまうことが危惧される.ICTを活用しつつも,本来の対面で行う人との関わりの重要性を伝えていくために,家族から対面での情報の取り方やリハビリ状況の報告などOJTを積極的に行う必要がある.また,様々なセラピストからフィードバックを受けることで技術の幅が広がるため経験の場を提供し教育していくことが有用である.
新型コロナウイルス感染拡大により面会方法が変化しつつある中,コロナ流行以前と比較して家族との対面頻度が減少している.定期的なやり取りを行うことはできるが対面で行えていた密な情報共有が制限される事で,対象者のリハビリ状況について家族が把握不十分となってしまうことが懸念される.一方,コロナ禍に入職した1~3年目までのスタッフにおいては,家族と対面で行う情報共有の必要性に対する意識が他のスタッフと比較し,低下している可能性が考えられる.そこで世代別での認識に特徴があるのか明らかにするためアンケート調査を行った.
【方法】
対象は介護老人保健施設と隣接する病院に勤務するリハビリテーション部スタッフ計73名,経験年数は1~33年目.独自に作成したアンケート用紙を用いて段階形式と自由記述形式の設問に回答して頂いた.コロナ禍に入職した1~3年目までのスタッフをA群,4年目以降をB群とし,「家族と十分な情報共有を行えているか」についての回答を比較しカイ二乗検定にて解析,有意水準を5%とした.また,A群には業務や家族との関わりにおいて不安に感じている部分,B群には後輩指導について自由記述して頂いた.アンケートはスタッフの同意を得た上で倫理的配慮に基づき実施した.
【結果】
64名から回答が得られ,A群は18名,B群は46名となり回答率は87.7%であった.「家族と十分な情報共有が行えているか」についての回答は,「行えている(A群22.2%,B群17.3%)」,「どちらでもない(A群55.6%,B群43.4%)」,「行えていない(A群22.2%,B群39.1%)」であった.結果,A群とB群で回答に差は認められなかった(p=0.44).自由記述ではA群からは,家族との関わりや業務について「自分の言葉が家族に伝わっているか心配,在宅調整や方向性の提案が難しい(35%)」.「必要な情報は電話や紙面で行えている.不安はとくにない(65%)」.B群からは,後輩指導に関して「必要な情報収集が不十分(26.4%)」「直接家族の顔をみてコミュニケーションを図る大切さが伝わりにくい(23.5%)」「家族への伝え方や関わり方に課題を感じる(20.5%)」などの回答が挙げられた.
【考察】
A群とB群において回答に差は認められなかったが,自由記述から,A群とB群の実際の受け止めには差が生じている傾向が見られた.A群は在学中に臨床実習が十分に行えないなど制限がある環境下で入職した経緯もあり,家族への情報収集や状況報告など対面で行う部分における経験が圧倒的に少ないことも背景に考えられる.情報通信技術(以下,ICT)が普及したことによる利便さもあるが,人は対人コミュニケーションにおいて発話や身振りといった自他の身体から直接発せられる情報だけでなく,相手との距離や方向といった物理的な位置関係も重要な情報として利用していることから,対面で相手の感情をくみ取りながら関わる技術も必要不可欠である.
【今後の展望】
今回の結果からコロナ禍に入職したスタッフでは,利用者・患者の家族との繋がりが希薄となってしまうことが危惧される.ICTを活用しつつも,本来の対面で行う人との関わりの重要性を伝えていくために,家族から対面での情報の取り方やリハビリ状況の報告などOJTを積極的に行う必要がある.また,様々なセラピストからフィードバックを受けることで技術の幅が広がるため経験の場を提供し教育していくことが有用である.