[PQ-1-2] COVID-19に対する病棟支援と業務でのリハビリテーションスタッフのストレス変化とその要因
【はじめに】当院の回復期病棟では,2021年2月に1名の患者がCOVID-19の陽性を認め,多くのスタッフが濃厚接触者となり,医療崩壊の危機を迎えた.医療崩壊を防ぐべく病棟支援のため,リハスタッフが病棟補助業務を行うこととなった.しかし,病棟補助業務を行うことで医療崩壊は予防できるが,慣れない業務に携わるリハスタッフのストレス状態は無視できないと考えた.本研究の目的は,病棟支援時と通常業務時のストレス状態を比較し,病棟支援時のストレスの程度とその要因を明らかにすることである.
【対象と方法】閉鎖期間の18日間に病棟補助業務を行い,研究への同意が得られたリハスタッフを対象に,仕事のストレス要因・ストレス反応・修飾要因の3因子,全57項目から構成される職業性ストレス簡易調査票を,病棟支援開始から14日後と通常業務に戻った4週後に記入を依頼し,不備がなかった11名を対象に前後比較とストレス反応の要因を検討した.病棟支援時と通常業務時のすべてのデータをShapiro-Wilkの正規性の検討後,t検定あるはWilcoxonの符号付き順位検定を実施した.また,病棟支援時と通常業務時のストレス反応に有意差を認めた項目の要因と分析を行うため,仕事のストレス要因および修飾要因を独立変数,ストレス反応を従属変数として,ステップワイズ法による重回帰分析を行った.いずれも有意水準は5%以下とした.尚,本研究は倫理審査委員会の承認を得ている.
【結果】前後比較で有意差を認めた項目は,ストレス反応では活気,イライラ感,疲労感,不安感,抑うつであった.仕事のストレス要因では,技能の活用度と働きがいであった.修飾要因に有意差を認めなかった.重回帰分析では,ストレス反応の活気の要因として,職場環境によるストレスが抽出された.また,イライラ感と不安感の両者は,同僚からのサポートが要因として抽出された.
【考察】リハビリテーション専門職の業務は,患者に対する対人サービスであり,身体的負担が強く,知識や技術の向上を要する.そのため,バーンアウトが問題視されている.通常業務においても,ストレスとなりやすい状況下であるが,今回比較した病棟支援時はさらにストレス反応として活気,イライラ感,疲労感,不安感,抑うつに有意差を認めた.仕事内容・環境が異なる上,罹患や感染の媒介となること,罹患した際の周囲からの目などに対する不安が主な原因ではないかと考えた.また,活気が職場環境によるストレスの要因として挙げられたことも,通常業務と異なる環境が関係していると考えた.ストレス要因として挙げられた技能の活用度,働きがいについては,PT,OT,STの3職種が専門職として一定の働きがいを感じている,と言われており,病棟業務時との有意差を認めたと考えた.加えて,イライラ感と不安感の要因が同僚からのサポートとして抽出されたのは,この状況下で同僚とも思うようなコミュニケーションが取りにくいなど,通常とは異なるコミュニケーションの場であったことが考えられた. 本研究の結果から,病棟支援時はいつも以上にストレスの負荷がかかっていることを自覚すること,普段の何気ない会話やコミュニケーションをとることが非常に大事であることを示唆していた.
【対象と方法】閉鎖期間の18日間に病棟補助業務を行い,研究への同意が得られたリハスタッフを対象に,仕事のストレス要因・ストレス反応・修飾要因の3因子,全57項目から構成される職業性ストレス簡易調査票を,病棟支援開始から14日後と通常業務に戻った4週後に記入を依頼し,不備がなかった11名を対象に前後比較とストレス反応の要因を検討した.病棟支援時と通常業務時のすべてのデータをShapiro-Wilkの正規性の検討後,t検定あるはWilcoxonの符号付き順位検定を実施した.また,病棟支援時と通常業務時のストレス反応に有意差を認めた項目の要因と分析を行うため,仕事のストレス要因および修飾要因を独立変数,ストレス反応を従属変数として,ステップワイズ法による重回帰分析を行った.いずれも有意水準は5%以下とした.尚,本研究は倫理審査委員会の承認を得ている.
【結果】前後比較で有意差を認めた項目は,ストレス反応では活気,イライラ感,疲労感,不安感,抑うつであった.仕事のストレス要因では,技能の活用度と働きがいであった.修飾要因に有意差を認めなかった.重回帰分析では,ストレス反応の活気の要因として,職場環境によるストレスが抽出された.また,イライラ感と不安感の両者は,同僚からのサポートが要因として抽出された.
【考察】リハビリテーション専門職の業務は,患者に対する対人サービスであり,身体的負担が強く,知識や技術の向上を要する.そのため,バーンアウトが問題視されている.通常業務においても,ストレスとなりやすい状況下であるが,今回比較した病棟支援時はさらにストレス反応として活気,イライラ感,疲労感,不安感,抑うつに有意差を認めた.仕事内容・環境が異なる上,罹患や感染の媒介となること,罹患した際の周囲からの目などに対する不安が主な原因ではないかと考えた.また,活気が職場環境によるストレスの要因として挙げられたことも,通常業務と異なる環境が関係していると考えた.ストレス要因として挙げられた技能の活用度,働きがいについては,PT,OT,STの3職種が専門職として一定の働きがいを感じている,と言われており,病棟業務時との有意差を認めたと考えた.加えて,イライラ感と不安感の要因が同僚からのサポートとして抽出されたのは,この状況下で同僚とも思うようなコミュニケーションが取りにくいなど,通常とは異なるコミュニケーションの場であったことが考えられた. 本研究の結果から,病棟支援時はいつも以上にストレスの負荷がかかっていることを自覚すること,普段の何気ない会話やコミュニケーションをとることが非常に大事であることを示唆していた.