[PQ-3-4] 診療科チーム別にみる作業療法士が抱える重要課題の把握
【はじめに】
当院は急性期治療を担う600床の総合病院である.当リハビリテーション(以下リハビリ)科では専門性の高い治療の実施と効率的な運営を図るため,診療科別にチーム編成しスタッフを配置している.年度内に2回,作業療法部門では部門長とスタッフで面談を行い,部門長は各々が抱える個々の課題や問題点の把握に努めている.しかし,面談後にその問題点の解決や課題の達成を確認する手段が不十分であり,また各チーム別にスタッフが抱える課題の違いに気付きながらもその具体性を把握するまでに至っていなかった.そこで業務改善の一環として,各スタッフが抱える課題の把握と現時点における課題の遂行度や満足度を確認し,今後の指導や教育の指標に繋げていくことを目的としてカナダ作業遂行測定(Canadian Occupational Performance Measure:COPM)を使用し状況の確認を行った.
【方法】
対象は当リハビリ科に在籍する作業療法士のうち休職者と部門長を除いた25名で,臨床経験年数は1年目から33年目の平均9.2±7.6年である.作業療法部門の診療科チームは脳神経外科6名,内科(循環器内科含む)・外科6名,整形・形成外科4名,リハビリ病棟4名,在宅リハビリ部(通所・訪問リハビリ)5名の5チームに編成している.部門長とスタッフで一人当たり約15分程度の面談を行い,各自に当科で使用している業務成果表を通して重要と考える課題を自主的に5つ選択してもらった.選択した課題を直接業務,間接業務,対人関係,キャリアアップの項目に振り分け,COPMを用いて現時点での遂行度と満足度を自己採点してもらった.
【結果】
全体で選択した重要課題の内訳は直接業務65%,間接業務4%,対人関係19%,キャリアアップ12%で総スコアは遂行度5.8,満足度4.6であった.チーム別では1)脳神経外科,2)内科・外科,3)整形・形成外科,4)リハビリ病棟,5)在宅リハビリ部の順に重要課題の内訳は,直接業務が1)77%,2)73%,3)60%,4)55%,5)52%,間接業務が1)10%,2)0%,3)5%,4)0%,5)4%,対人関係が1)7%,2)17%,3)20%,4)30%,5)28%,キャリアアップが1)7%,2)10%,3)15%,4)15%,5)16%であった.総スコアは遂行度と満足度が1)6.1対4.6,2)4.8対3.9,3)6.0対4.5,4)5.8対4.8,5)6.5対5.6であった.急性期の状態が不安定な時期に治療介入を必要とする脳神経外科や内科・外科,プロトコールの遵守を要す整形・形成外科においては,評価や治療といった直接業務に関係した課題が多く,一方で他部署や家族との連携や協議が必要なリハビリ病棟や在宅リハビリ部では,対人関係を課題と捉える傾向にあった.
【まとめ】
COPMは作業療法の臨床場面で広く活用されているが, Lawらは臨床場面のみならず管理運営の場においてもその活用を推奨している.今回の結果から,スタッフが抱える課題は各々の診療科別チームに求められる業務内容に多いことが分かった.また,どのチームのスタッフにおいても重要とする課題に対して遂行度と満足度は低い傾向にあり,多くのスタッフは課題の達成が不十分なまま業務に臨んでいることが分かった.今回COPMを実施し,部門長とスタッフで課題の共有ができ,その解決を模索するきっかけが作れたのはないかと思う.今後も継続してCOPMを活用することで遂行度と満足度の変化を確認すると共に,各スタッフに応じた指導や教育の方法と方向性を検討する一手段に出来るのではないかと考えている.
当院は急性期治療を担う600床の総合病院である.当リハビリテーション(以下リハビリ)科では専門性の高い治療の実施と効率的な運営を図るため,診療科別にチーム編成しスタッフを配置している.年度内に2回,作業療法部門では部門長とスタッフで面談を行い,部門長は各々が抱える個々の課題や問題点の把握に努めている.しかし,面談後にその問題点の解決や課題の達成を確認する手段が不十分であり,また各チーム別にスタッフが抱える課題の違いに気付きながらもその具体性を把握するまでに至っていなかった.そこで業務改善の一環として,各スタッフが抱える課題の把握と現時点における課題の遂行度や満足度を確認し,今後の指導や教育の指標に繋げていくことを目的としてカナダ作業遂行測定(Canadian Occupational Performance Measure:COPM)を使用し状況の確認を行った.
【方法】
対象は当リハビリ科に在籍する作業療法士のうち休職者と部門長を除いた25名で,臨床経験年数は1年目から33年目の平均9.2±7.6年である.作業療法部門の診療科チームは脳神経外科6名,内科(循環器内科含む)・外科6名,整形・形成外科4名,リハビリ病棟4名,在宅リハビリ部(通所・訪問リハビリ)5名の5チームに編成している.部門長とスタッフで一人当たり約15分程度の面談を行い,各自に当科で使用している業務成果表を通して重要と考える課題を自主的に5つ選択してもらった.選択した課題を直接業務,間接業務,対人関係,キャリアアップの項目に振り分け,COPMを用いて現時点での遂行度と満足度を自己採点してもらった.
【結果】
全体で選択した重要課題の内訳は直接業務65%,間接業務4%,対人関係19%,キャリアアップ12%で総スコアは遂行度5.8,満足度4.6であった.チーム別では1)脳神経外科,2)内科・外科,3)整形・形成外科,4)リハビリ病棟,5)在宅リハビリ部の順に重要課題の内訳は,直接業務が1)77%,2)73%,3)60%,4)55%,5)52%,間接業務が1)10%,2)0%,3)5%,4)0%,5)4%,対人関係が1)7%,2)17%,3)20%,4)30%,5)28%,キャリアアップが1)7%,2)10%,3)15%,4)15%,5)16%であった.総スコアは遂行度と満足度が1)6.1対4.6,2)4.8対3.9,3)6.0対4.5,4)5.8対4.8,5)6.5対5.6であった.急性期の状態が不安定な時期に治療介入を必要とする脳神経外科や内科・外科,プロトコールの遵守を要す整形・形成外科においては,評価や治療といった直接業務に関係した課題が多く,一方で他部署や家族との連携や協議が必要なリハビリ病棟や在宅リハビリ部では,対人関係を課題と捉える傾向にあった.
【まとめ】
COPMは作業療法の臨床場面で広く活用されているが, Lawらは臨床場面のみならず管理運営の場においてもその活用を推奨している.今回の結果から,スタッフが抱える課題は各々の診療科別チームに求められる業務内容に多いことが分かった.また,どのチームのスタッフにおいても重要とする課題に対して遂行度と満足度は低い傾向にあり,多くのスタッフは課題の達成が不十分なまま業務に臨んでいることが分かった.今回COPMを実施し,部門長とスタッフで課題の共有ができ,その解決を模索するきっかけが作れたのはないかと思う.今後も継続してCOPMを活用することで遂行度と満足度の変化を確認すると共に,各スタッフに応じた指導や教育の方法と方向性を検討する一手段に出来るのではないかと考えている.