第57回日本作業療法学会

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ポスター

管理運営

[PQ-4] ポスター:管理運営 4

2023年11月11日(土) 14:10 〜 15:10 ポスター会場 (展示棟)

[PQ-4-3] リハビリテーション職種の業務実態調査および業務時間内適正単位数予測式の作成

澤田 辰徳, 友利 幸之介, 大野 勘太 (東京工科大学医療保健学部リハビリテーション学科作業療法学専攻)

【はじめに】
作業療法部門管理者の悩みの1つは収益であり,様々な業務の中で効率的に単位を取得することは管理上の大きな課題となっている.しかしながら,この点に関する研究はなされていない.本研究の目的はリハビリテーション職種における職種ごとの業務の実態調査を行い,業務時間内に可能な適切な単位数を算出することである.
【対象】
日本作業療法士協会会員が10名以上所属する医療関連施設からサンプルサイズを抽出し,乱数表を用いて692施設をランダムに抽出した.アンケート対象は医療保険診療で入院および外来診療に携わっている理学療法士,作業療法士,言語聴覚士(以下PT,OT,STとする)で,管理的業務に携わっていないものとした.本研究の実施に先立ち,東京工科大学倫理委員会の承認を得た(承認番号第E21-HS-030号).
【アンケート調査方法】
アンケートの設問は同意の得られた3年以下の経験をもつセラピスト6名のグループ及び10年以上の経験をもつ管理者4名のグループでそれぞれフォーカスグループを作成し,1日の業務や単位数取得に関する業務のインタビューを行い,基本項目を含め8カテゴリー(①単位時間,②コミュニケーション,③書類時間,④教育指導,⑤施術前後の準備,⑥業務中の移動や休憩,⑦早期終了,⑧待機時間)32項目のアンケートを作成した.アンケートは対象となる病院の作業療法部門管理者宛に本研究内容を郵送し,同意が得られた対象者はGoogleフォームにてアンケートに回答した.
【結果】
1.リハビリテーション職種の業務実態
PT166名,OT172名,ST30名の合計368名からデータが得られた.平均値を俯瞰すると1日の平均単位数は17.5単位であり,算定人数は約8人であった.その他の業務内容は準備や記録に関する時間が多かった.また,休憩時間に平均20分程度業務を行なっており,平均超過勤務時間やいわゆるサービス残業時間もそれぞれ約30分であった.質問項目間の相関は単位数や実施人数と移動や待機および会議時間などと強い相関を認めたが(r >0.6),その他は強い相関が認められなかった.
2.リハビリテーション職種間の比較
一元配置分散分析および多重比較検定の結果,職種間の差は単位数でPTはSTより有意に多く(P<0.05),カルテ以外の資料作成ではOTがPTより有意に多く(P<0.05),物品点検や準備ではOTがSTより有意に多く(P<0.05),残業ではSTがPTとOTより有意に多かった(P<0.001).
3.適正単位数予測式
方法で述べた設問カテゴリー①~⑧の数値を説明変数とし,全職種による重回帰分析を行った.得られた回帰式は実業務時間(y)=-4.457+0.978×①単位×20(分)+0.971×②コミュニケーション+0.893×③書類時間+1.008×④教育時間+0.972×⑤準備+1.014×⑥移動・休憩+1.012×⑦早期終了+0.960×⑧待機時間であり,決定係数R2と調整済み決定係数R2はともに0.988であった.上記の回帰式に実業務時間を一般的な1日の労働時間である8時間として,各カテゴリーの平均値を代入し,理想とされる単位数を算出すると14.6となり,1日の取得可能な単位数は約15単位となった.
【考察】
今回の結果から現在のリハビリテーション職種の職務の現状は業務時間内で業務を終了することが困難(業務過多)である可能性や職種間の業務特性,適性単位数の算出するための回帰式が明らかとなった.今回得られた結果は各施設での適性な業務管理の一助となる可能性が考えられる.