第57回日本作業療法学会

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ポスター

管理運営

[PQ-6] ポスター:管理運営 6

2023年11月11日(土) 16:10 〜 17:10 ポスター会場 (展示棟)

[PQ-6-4] Web研修「リーダー事例検討会」実施方法の検討

古御門 幸奈1,2,3, 谷村 厚子4, 西村 卓也2, 今富 裕之2, 川島 早紀2 (1.医療法人社団大和会 大内病院リハビリテーション部, 2.平成医療福祉グループリハビリテーション部 教育研修委員会, 3.東京都立大学大学院 人間健康科学研究科作業療法科学域 客員研究員, 4.東京都立大学大学院 人間健康科学研究科作業療法科学域)

【はじめに】近年,わが国のリハビリテーション専門職は若い世代が急激に増加しており,現場のリーダーの役割とその教育が重要となっている.そこでA法人グループリハビリテーション部教育研修委員会では,先行研究において現場のリーダーが必要としていた日々の悩みや工夫を小グループで検討するWeb研修を実施し,参加者である現場のリーダーの高い満足度を得ることができた.本研究では今後よりよい研修を実施するためにその方法について検討した.
【目的】本研究の目的は参加者である現場のリーダーと小グループ調整役へのアンケートから,グループワーク中の雰囲気や,調整役が評価した担当グループのグループワークスキルの難易度を記述統計および質的に検討し,研修方法の改善点を明らかにすることである.
【方法】対象者は現場のリーダー計144名,小グループ調整役(教育研修委員)10名,期間は2022年1月12‐14日,1回3時間,同一内容を計5回実施し,リーダーはいずれか1回に参加した.Web会議システムを用いて4人程度のグループで司会・書記などの役割を順番に行い,後輩指導や業務管理など現場の困りごとについて各自事前記入したワークシートを参照しながら1事例につき25分で検討,最後に行動プランの作成を行った.各グループには調整役が1名入り,グループワーク全体の進行やサポートを行った.研修終了後,基本属性,グループワーク中の雰囲気,調整役が評価する担当グループのグループワークスキルの難易度に関するWebアンケートを実施した.分析方法は記述統計および自由記載の質的検討とした. 本研究は所属施設倫理委員会の承認を得て実施した.
【結果】リーダーの基本属性は経験年数:平均7.3±3.6年,性別:男性68.0%,女性30.5%,回答しない1.6%,職種:PT65.6%,OT27.3%,ST7.0%,担当部署は入院部門が73.0%(うち回復期病棟45.0%),それ以外(病院外来,老人保健施設,通所,訪問など)が27.0%であった.分析対象は36グループであった.リーダー・調整役が回答した項目では,グループメンバーの基本属性:共通点が多かったと回答したリーダー82.8%,調整役58.3%,グループワーク中の雰囲気:発言しやすかったと回答したリーダー99.2%,よかったと回答した調整役91.6%であった.調整役のみが回答した項目では発言量の偏り:なし55.6%,あり44.4%,比較的難度が高いと評価したスキル:「多面的な意見が展開される」「役割遂行:書記」「他メンバーをフォローする」,比較的難度が低いと評価したスキル:「自分の意見を言う」「行動プラン立案」「他者の意見を受けて発言する」であった.自由記載では率直な意見交換が行われていた一方で,ディスカッション慣れしておらず発言が控えめなグループや司会の難しさが挙げられた.
【考察】本研修に参加した現場のリーダーは職場環境や求められる役割がそれぞれ異なっていたが,グループワーク中の発言のしやすさに影響はみられなかった.加えて調整役に比べリーダーが発言しやすかったと回答している割合が高いことから,調整役が発言しやすい雰囲気を作っていたとも考えられ,今後は調整役に対するグループ理論の教育やグループワークへの介入方法の検討が必要である.また,グループワーク中の発言の偏りについては対象者に対し事前にアナウンスを行う,多面的な意見の展開や他メンバーのフォロー,司会や書記については事前学習によるスキルの伝達や,継続的に経験を積み重ねられる機会の提供が必要と考えられる.