[PR-1-1] 3Dプリンタを用いた自助具作製教育プログラムの効果検証
【はじめに】作業療法士は,日常生活の困りごとについて,対象者に合わせた自助具を作製し解決する支援も役割の一つである.その自助具について,近年では3Dプリンタを活用して,作製する機会が増えている.3Dプリンタでの自助具作製は,これまで我々では作れなかったモノが作れ,対象者の生活をよりよくできると共に,作業療法士の強みの一つにもなる.また,作業療法を学ぶ養成校でも,3Dプリンタに関する教育が開始されている.しかし,先行研究で報告されている教育プログラムは,インターネット上から3Dデータをダウンロードする,もしくは独自のソフトウェアを用いて,データを改変して3Dプリンタで印刷(3Dプリント)する内容が主であり,本来の自助具作製の際に生じる,対象者が困っている生活行為は何か,それを解決するためにどのような自助具があればよいか,どのように作製するかといった思考と実践の課程は含まれていない.そこで,その思考と実践を含めた教育プログラムを開発し実践したため,その効果検証を目的とした.
【方法】対象は,本研究の目的・方法に同意の得られた3年次学生40名とした.3Dプリンタを用いた自助具作製の思考と実践を含めた教育プログラムは,福祉用具や自助具を扱う2つの授業内で実施した.教育プログラムの構成は,3Dプリンタでの自助具作製に関する概要の講義,3Dデータ作成(3Dモデリング),3Dプリントの講義・演習,その後グループで協力し,対象疾患や課題となる生活行為を選択し,それを解決するための自助具を考え,3Dモデリング,3Dプリントを行い効果検証の過程を体験させた.教育プログラムの効果検証として,作業療法に対する考えの変化を知るために,職業的アイデンティティ(Professional Identity: PI)尺度を用いて,教育プログラムの実施前後に調査を行った.また,3Dプリンタでの自助具作製の知識・技術の修得度を知るために,5件法でアンケート調査を教育プログラムの実施後に行った.分析方法は,教育プログラム実施前後のPI尺度の結果について,1標本t検定を用いて比較した.また,3Dプリンタを用いた自助具作製に関する知識・技術のアンケート結果は単純集計とした.なお,本研究は,埼玉県立大学倫理委員会によって承認された.
【結果】教育プログラムの実施前に比べ実施後で,PI尺度の下位尺度である“医療職観の確立”,“医療職として必要とされることへの自負”の項目において,有意に向上した(p < .05).また,3Dプリンタを用いた自助具作製に関する知識・技術のアンケート結果では,“3Dプリンタに関する授業の理解”は理解できた,“3Dプリントについて”は簡単であった,“3Dモデリングをこれから使いたいか”は使いたい,“3Dプリンタで自助具をこれから作りたいか”は作りたい,“対象者に合わせた自助具は作製できたか”は作製できたという回答割合が多かった.しかし,“対象者に合わせた3Dプリント自助具を考えることについて”と“3Dモデリングについて”は難しかったという回答割合が多かった.
【考察】3Dプリンタに関する知識の理解や3Dプリントの技術は修得できており,対象者に合わせた自助具を考え,3Dプリンタで作製できたことで,作業療法士としてのイメージの確立や作業療法士として必要とされることの実感に繋がっていた.このことから,本研究の教育プログラムは有効であったことが明らかとなった.ただ,難しかったという回答割合の多かった”対象者の困っている生活行為を解決するための自助具の提案”や”3Dモデリング”の技術に関する教育を深めるプログラムの修正が必要と考えられた.
【方法】対象は,本研究の目的・方法に同意の得られた3年次学生40名とした.3Dプリンタを用いた自助具作製の思考と実践を含めた教育プログラムは,福祉用具や自助具を扱う2つの授業内で実施した.教育プログラムの構成は,3Dプリンタでの自助具作製に関する概要の講義,3Dデータ作成(3Dモデリング),3Dプリントの講義・演習,その後グループで協力し,対象疾患や課題となる生活行為を選択し,それを解決するための自助具を考え,3Dモデリング,3Dプリントを行い効果検証の過程を体験させた.教育プログラムの効果検証として,作業療法に対する考えの変化を知るために,職業的アイデンティティ(Professional Identity: PI)尺度を用いて,教育プログラムの実施前後に調査を行った.また,3Dプリンタでの自助具作製の知識・技術の修得度を知るために,5件法でアンケート調査を教育プログラムの実施後に行った.分析方法は,教育プログラム実施前後のPI尺度の結果について,1標本t検定を用いて比較した.また,3Dプリンタを用いた自助具作製に関する知識・技術のアンケート結果は単純集計とした.なお,本研究は,埼玉県立大学倫理委員会によって承認された.
【結果】教育プログラムの実施前に比べ実施後で,PI尺度の下位尺度である“医療職観の確立”,“医療職として必要とされることへの自負”の項目において,有意に向上した(p < .05).また,3Dプリンタを用いた自助具作製に関する知識・技術のアンケート結果では,“3Dプリンタに関する授業の理解”は理解できた,“3Dプリントについて”は簡単であった,“3Dモデリングをこれから使いたいか”は使いたい,“3Dプリンタで自助具をこれから作りたいか”は作りたい,“対象者に合わせた自助具は作製できたか”は作製できたという回答割合が多かった.しかし,“対象者に合わせた3Dプリント自助具を考えることについて”と“3Dモデリングについて”は難しかったという回答割合が多かった.
【考察】3Dプリンタに関する知識の理解や3Dプリントの技術は修得できており,対象者に合わせた自助具を考え,3Dプリンタで作製できたことで,作業療法士としてのイメージの確立や作業療法士として必要とされることの実感に繋がっていた.このことから,本研究の教育プログラムは有効であったことが明らかとなった.ただ,難しかったという回答割合の多かった”対象者の困っている生活行為を解決するための自助具の提案”や”3Dモデリング”の技術に関する教育を深めるプログラムの修正が必要と考えられた.