第57回日本作業療法学会

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ポスター

教育

[PR-1] ポスター:教育 1

Fri. Nov 10, 2023 11:00 AM - 12:00 PM ポスター会場 (展示棟)

[PR-1-8] コロナ禍における多職種連携の取り組み

堀 敦志, 下川 幸蔵, 中島 裕也, 林 浩嗣 (福井医療大学保健医療学部リハビリテーション学科 作業療法学専攻)

【はじめに】
 2019年,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生し,その後クラスターの発生予防,感染拡大防止が重要視された.また実習は見学のみという実習形態に変化した.今回,学生と卒業生のアンケート結果からコロナ禍における多職種連携教育の今後の方向性を模索したので報告する.
【対象と方法】
 今回,実習でCOVID-19の影響があった,本学3期生から6期生までの学生と,1,2期生の卒業生にアンケートを実施した.「多職種連携が必要か」の項目は4件法,「連携に必要な職種」の項目は選択肢法,「なぜ連携が必要か」「多職種連携を学ぶとしたら」の項目は自由回答法にて聴取した.学生と卒業生から得られたデータはχ2検定を用いて分析し,自由回答法で得られたデータはテキストマイニングによる分析を行った.
 本研究は倫理審査委員会の承認を受け実施しており,学生及び卒業生には同意を得ている.
【結果】
 回答が得られたのは学生45/98名(48.9%),卒業生23/60名(38.3%)であった.
 「多職種連携が必要か」について,学生は1人があまり必要ない,5人がやや必要,42人がかなり必要と答え,卒業生は1人がやや必要,22人がかなり必要と答えた.「連携に必要な職種」については,学生及び卒業生ともに理学療法士(PT),作業療法士(OT),言語聴覚士(ST),看護師(Ns),ケアマネージャー(CM),社会福祉士(SW)などが多かった.「なぜ連携が必要か」について,学生は「職種・患者・対象者・医療・提供」が多く,卒業生は「退院後・対象者・患者・職種」が多かった.また,学生は「連携することで患者の方の状態をより把握しやすくなる」「患者の情報など共有し,一人一人に合った医療を提供するため」「チーム医療をすることで,より良い医療の提供に繋がると考えるから」と答え,卒業生は「最終的な目標を共有することで,多方面から対象者の援助ができるため」「1人の考えだけでは知識や思想の偏りが出てきてしまうから」「今後の患者様の人生に,リハ職種だけでは対応しきれない」と答えた.「多職種連携を学ぶとしたら」について,学生は「職種・チーム医療」などが多く,卒業生は「仕事内容・職種・社会福祉・CM」などが多かった.また,学生は「PTとSTと協力してリハビリを行う」「他の職種の体験・講義を聞く」「実際どのように意見交換をしているのか」と答え,卒業生は「どんな時にどの職種の人と連携をとっているか」「チーム医療について病院の内外での患者様の取り巻く環境について」「SWやCMがどのように関わっているかを学びたかった」と答えた.
【考察】
 学生と卒業生の「多職種連携が必要か」及び「連携に必要な職種」を比較したが有意差はなかった.「なぜ連携が必要か」では,学生は方法論を記載しているのみであり,卒業生は実際の経験や結果からこうした方が良かったなどの意見が多かった.「多職種連携を学ぶとしたら」に関して,学生はグループワークとの回答が中心であったが,卒業生は介護認定などを通しCMやSWなどの様々な職種と協業するなどの回答が多かった.
 しかしCOVID-19下では,学生の実習は見学のみであり,患者との接触がなかった.また他の職種に情報を得ることもできなかった.さらにカンファレンスなどに参加したことがなく,情報収集の大切さを理解していない学生が多かった.そのため疑似カンファレンスやカルテの書き方など授業に入れるようにしていく必要もあると考える.また医療関係者だけでなく,学生に臨床場面を伝えていく方法を伝えていくことも重要と考える.