[PR-10-4] 医療・介護の連携施策としての退院支援研修プログラム評価
【背景】
2008年度診療報酬改訂後,医療機関は在院日数の短縮・在宅復帰率の上昇・入退院支援での連携加算引き上げられ,多くの病院が早期退院に向けた組織体制作りや退院支援に関する知識・技術の周知に向け,奔走している実情がある.退院支援を取り巻く現状では,対象者の多様化するニーズや医療・介護職に求められる連絡調整など,退院支援に関する組織化について多くの課題が山積している.地域包括ケアシステムが進められる中,医療が病院完結型から地域完結型へとシフトし,ニーズに対応するために医療スタッフの専門的知識・技術の発揮が必要となる.また,限りある医療・福祉資源の有効活用と医療・介護ニーズを有する対象者のQuality of life(以下,QOL)の維持・向上を図ることが必要となってくる.そこで当院の退院支援に関わるスタッフに向け,医療機関・介護領域機関の連携を目的とした研修会を企画・実施した.本研修会に伴い,参加者のアンケート結果や今後の課題について報告する.
【方法】
研修会参加の調査対象は,退院支援Ns含む看護師5名,医療ソーシャルワーカー2名,作業療法士1名,事務管理職者2名など主に退院支援に関わる対象者が参加した.研修会開催日は2022年12月16日で,研修会前後でアンケートを実施.研修プログラムの評価には,樋口ら(2017)が研究した退院支援研修での評価基準を参考にした.講義・事例報告・質疑応答で構成,アンケートの質問項目は退院支援に関する基本的知識や連携技術及び退院支援に対する意欲・自職種の役割を問うもので回答選択肢は「かなりあてはまる」「あてはまる」「あまり当てはまらない」「全くあてはまらない」の4件法とした.分析方法は,肯定的回答に対して点数が高くなるよう1点から4点を付与し,全9項目の合計得点を求めた.統計学的検討はWillcoxonの符合付順位検定を用いて,各項目の得点と合計得点を比較した.統計処理にはIBM SPSS Statistics ver.26.0 for Windowsを使用し,有意水準は5%とした.また,研修前後での回答変化をポイント化した.本研究の実施に際しては,対象者へ研究内容を口頭で説明し,同意の場合はアンケートに記入いただく形で同意を得た.
【結果1】
対象者の基本属性(合計10名) 経験年数は平均20.7±2.5年
性別は男性3名,女性7名 職種は看護師5名,MSW2名,OT1名,事務管理職2名
本研修会における合計得点の平均値は,研修前の平均値が26.88点,研修後の平均値が27.77点であり,研修後に僅かながら肯定的に変化した.対応のある2群間の比較(Wilcoxon符号付順位和検定)ではP値0.129と有意差はみられなかった.
【考察】
アンケート結果から,研修会の参加者は経験年数が平均20年以上とベテランが多く,元々退院支援に対しての意欲が高い方が多かった.そのため,有意差はみられず参加後の大幅な加点には繋がらなかった.しかし,樋口ら(2017)が行った先行研究において,参加者の経験平均年数が10年以内であった場合に,全ての項目において肯定的変化を示しており,50ポイント以上の上昇がみられた.当院においても同程度の経験年数を有した職員に研修を行い,同様のアンケートを実施していくことで研修後の評価を実施したい.また,経験年数が長く意欲の高いスタッフにはグループディスカッションを行うなど,対象者に合わせて研修会の内容・方法を精錬することが必要であることが示唆された.
2008年度診療報酬改訂後,医療機関は在院日数の短縮・在宅復帰率の上昇・入退院支援での連携加算引き上げられ,多くの病院が早期退院に向けた組織体制作りや退院支援に関する知識・技術の周知に向け,奔走している実情がある.退院支援を取り巻く現状では,対象者の多様化するニーズや医療・介護職に求められる連絡調整など,退院支援に関する組織化について多くの課題が山積している.地域包括ケアシステムが進められる中,医療が病院完結型から地域完結型へとシフトし,ニーズに対応するために医療スタッフの専門的知識・技術の発揮が必要となる.また,限りある医療・福祉資源の有効活用と医療・介護ニーズを有する対象者のQuality of life(以下,QOL)の維持・向上を図ることが必要となってくる.そこで当院の退院支援に関わるスタッフに向け,医療機関・介護領域機関の連携を目的とした研修会を企画・実施した.本研修会に伴い,参加者のアンケート結果や今後の課題について報告する.
【方法】
研修会参加の調査対象は,退院支援Ns含む看護師5名,医療ソーシャルワーカー2名,作業療法士1名,事務管理職者2名など主に退院支援に関わる対象者が参加した.研修会開催日は2022年12月16日で,研修会前後でアンケートを実施.研修プログラムの評価には,樋口ら(2017)が研究した退院支援研修での評価基準を参考にした.講義・事例報告・質疑応答で構成,アンケートの質問項目は退院支援に関する基本的知識や連携技術及び退院支援に対する意欲・自職種の役割を問うもので回答選択肢は「かなりあてはまる」「あてはまる」「あまり当てはまらない」「全くあてはまらない」の4件法とした.分析方法は,肯定的回答に対して点数が高くなるよう1点から4点を付与し,全9項目の合計得点を求めた.統計学的検討はWillcoxonの符合付順位検定を用いて,各項目の得点と合計得点を比較した.統計処理にはIBM SPSS Statistics ver.26.0 for Windowsを使用し,有意水準は5%とした.また,研修前後での回答変化をポイント化した.本研究の実施に際しては,対象者へ研究内容を口頭で説明し,同意の場合はアンケートに記入いただく形で同意を得た.
【結果1】
対象者の基本属性(合計10名) 経験年数は平均20.7±2.5年
性別は男性3名,女性7名 職種は看護師5名,MSW2名,OT1名,事務管理職2名
本研修会における合計得点の平均値は,研修前の平均値が26.88点,研修後の平均値が27.77点であり,研修後に僅かながら肯定的に変化した.対応のある2群間の比較(Wilcoxon符号付順位和検定)ではP値0.129と有意差はみられなかった.
【考察】
アンケート結果から,研修会の参加者は経験年数が平均20年以上とベテランが多く,元々退院支援に対しての意欲が高い方が多かった.そのため,有意差はみられず参加後の大幅な加点には繋がらなかった.しかし,樋口ら(2017)が行った先行研究において,参加者の経験平均年数が10年以内であった場合に,全ての項目において肯定的変化を示しており,50ポイント以上の上昇がみられた.当院においても同程度の経験年数を有した職員に研修を行い,同様のアンケートを実施していくことで研修後の評価を実施したい.また,経験年数が長く意欲の高いスタッフにはグループディスカッションを行うなど,対象者に合わせて研修会の内容・方法を精錬することが必要であることが示唆された.