[PR-3-5] 臨床事例の検討課題が学生の学習度・満足度に与える影響
【はじめに】
作業療法士の養成教育において,講義・演習を通して臨床での作業療法へと繋ぐことが養成校教育の中で求められている.近年,日本の大学教育政策においてアクティブ・ラーニングが推進されている.今回,本学の教育科目である「発達障害作業療法学演習」において,臨床の現場の作業療法士の協力を得,研究に同意を得られた発達に障害のある子どもの評価の統合・解釈を行い,治療戦略に基づいておもちゃを作成するという演習課題を実施した.学生がより実践的な思考過程を学ぶ機会を設けることで,学生の学習効果,満足度の向上に繋がることが報告されている.
【目的】
本研究では,この演習を通して,学生の学習度,満足度の検証し,演習プログラムの学習効果について検討することを目的とした.
【対象および方法】
対象は,本研究への協力に同意を得られた本学作業療法学専攻3学年とした.協力施設から提示された発達障害児の評価を行い,治療戦略を立案したのち,必要な支援内容に則したものを作成した.尚,臨床で同意を得た症例の基礎情報・動画を提示する方法で行った.また,作成したおもちゃは,臨床現場で実際に専門職の療育に使用してもらい,その有用性についてのフィードバックを受けるプロセスにより演習を実施した.この演習課題の前後に学習度,満足度,遂行度に関する合計12項目のアンケートを実施し,「7;とても学ぶことができた」から「1;全く学ぶことができなかった」の7段階評定の回答を求めた.また,事後アンケートでは,演習課題についての感想を記述すように求めた.アンケートは,Googleフォームを使用し,WEBアンケートを実施した.データ分析は,χ2検定を行った.なお,分析にはIBM SPSS Statistics23を用いた.本研究を実施するにあたり,所属大学の研究倫理委員会の承認を得た.
【結果】
有効回答は35名であった.質問項目12項目のうち,「発達の作業療法における評価の知識の理解度[χ2(32)=7.94,<0.05]」「評価の統合と解釈(問題点の抽出)ができる[χ2(32)=9.89,<0.05]」「演習を実施しての満足度[χ2(32)=8.13,<0.05]」の3項目において演習実施後の点数が高くなり,有意差が認められた.
【考察】
演習課題は,発達障害の特性や作業療法評価の視点で統合解釈する経験となり,治療実践へと繋げる演習プログラムとなったと考えられる.症例の基礎情報・動画より必要な支援内容に則したものを作成し,作成したおもちゃを実際の療育で作業療法士が使用した場面の動画によるフィードバックは,より実践的な思考過程の学びの機会となったと考える.特に,有意差を認めた「発達の作業療法における評価の知識の理解度」,「評価の統合解釈から問題点を抽出する作業」,「演習を実施しての満足度」の項目に加え,「事例について要点をまとめ説明する力」の項目においても学生自身の自己評価に変化が認められている.演習終了後の感想からグループワークによる学生間での評価思考過程の共有により自己評価の変化や作業療法士からのおもちゃ使用に対してのフィードバックや映像による子どもの様子の提示が,より学生の自己有能感や学習効率の向上に繋がったのではないかと考える.今後,学生養成のために臨床実習というシステムにとどまらず,効果的な教育を実践できるよう臨床現場との関係性を構築していきたい.
作業療法士の養成教育において,講義・演習を通して臨床での作業療法へと繋ぐことが養成校教育の中で求められている.近年,日本の大学教育政策においてアクティブ・ラーニングが推進されている.今回,本学の教育科目である「発達障害作業療法学演習」において,臨床の現場の作業療法士の協力を得,研究に同意を得られた発達に障害のある子どもの評価の統合・解釈を行い,治療戦略に基づいておもちゃを作成するという演習課題を実施した.学生がより実践的な思考過程を学ぶ機会を設けることで,学生の学習効果,満足度の向上に繋がることが報告されている.
【目的】
本研究では,この演習を通して,学生の学習度,満足度の検証し,演習プログラムの学習効果について検討することを目的とした.
【対象および方法】
対象は,本研究への協力に同意を得られた本学作業療法学専攻3学年とした.協力施設から提示された発達障害児の評価を行い,治療戦略を立案したのち,必要な支援内容に則したものを作成した.尚,臨床で同意を得た症例の基礎情報・動画を提示する方法で行った.また,作成したおもちゃは,臨床現場で実際に専門職の療育に使用してもらい,その有用性についてのフィードバックを受けるプロセスにより演習を実施した.この演習課題の前後に学習度,満足度,遂行度に関する合計12項目のアンケートを実施し,「7;とても学ぶことができた」から「1;全く学ぶことができなかった」の7段階評定の回答を求めた.また,事後アンケートでは,演習課題についての感想を記述すように求めた.アンケートは,Googleフォームを使用し,WEBアンケートを実施した.データ分析は,χ2検定を行った.なお,分析にはIBM SPSS Statistics23を用いた.本研究を実施するにあたり,所属大学の研究倫理委員会の承認を得た.
【結果】
有効回答は35名であった.質問項目12項目のうち,「発達の作業療法における評価の知識の理解度[χ2(32)=7.94,<0.05]」「評価の統合と解釈(問題点の抽出)ができる[χ2(32)=9.89,<0.05]」「演習を実施しての満足度[χ2(32)=8.13,<0.05]」の3項目において演習実施後の点数が高くなり,有意差が認められた.
【考察】
演習課題は,発達障害の特性や作業療法評価の視点で統合解釈する経験となり,治療実践へと繋げる演習プログラムとなったと考えられる.症例の基礎情報・動画より必要な支援内容に則したものを作成し,作成したおもちゃを実際の療育で作業療法士が使用した場面の動画によるフィードバックは,より実践的な思考過程の学びの機会となったと考える.特に,有意差を認めた「発達の作業療法における評価の知識の理解度」,「評価の統合解釈から問題点を抽出する作業」,「演習を実施しての満足度」の項目に加え,「事例について要点をまとめ説明する力」の項目においても学生自身の自己評価に変化が認められている.演習終了後の感想からグループワークによる学生間での評価思考過程の共有により自己評価の変化や作業療法士からのおもちゃ使用に対してのフィードバックや映像による子どもの様子の提示が,より学生の自己有能感や学習効率の向上に繋がったのではないかと考える.今後,学生養成のために臨床実習というシステムにとどまらず,効果的な教育を実践できるよう臨床現場との関係性を構築していきたい.