[PR-5-6] 実践報告 日本技術士会の倫理綱領との比較
【はじめに】 公益社団法人日本技術士会登録グループ「IT21
の会2022年11月例会」への登壇依頼を受けた.2022年11月4日「作業療法管理学から学ぶ,医学倫理・医療安全」の内容で40分のオンラインセミナーを実施した.医学倫理においては,日本作業療法士協会と日本技術士会の倫理綱領の比較をおこなった.その概要を報告する.技術士は,科学技術に関する専門知識を有する,偏差値70の難関の国家資格である.
【目的】 同じ国家資格である,日本作業療法士協会と日本技術士会.専門分野の全く異なる2つの職能団体の倫理綱領の,共通項目,差異項目を比較検討してみたいと考えた.また,講演後の反応について知りたいと考えた.
【方法】 ウェブサイトの検索にて,日本作業療法士協会(以下,当協会)倫理綱領と日本技術士会倫理綱領の比較検討をおこなった.参考資料は,技術士倫理綱領,公益社団法人日本技術士会の「技術士CPDガイドラインVer1.1」倫理委員会の「技術士倫理綱領の解説」「倫理綱領改定案に関する意見と回答」とした.セミナー実施後には,講演内容に関してのアンケートが実施された.
【倫理的配慮】 へルシンキ宣言に沿った研究であり,所属機関には口頭にて本報告の目的と内容の説明を行い同意を得た.また,発表に際し,事前に主催者の承諾を得ている.開示すべきCOIはない.
【結果】
(1)倫理綱領の比較
ほとんどの項目が共通していた.差異項目としては,当協会には「先人の功績を尊び,よき伝統を守る」という項目があった.日本技術士会には「2.持続可能性の確保」「3.有能性の重視」という項目があった.これは,日本技術士会の,SDGs等の環境問題に関しての先見性,プロ意識としての謙虚さ,誠実性の表れであると認識した.また,日本技術士会では,昭和36年に制定して以来,2回の変更承認がおこなわれていた.当協会は,昭和61年に承認,変更承認はない.
(2)アンケート結果
例会出席者数は49名,アンケート回答者数は31名.【質問1】ご満足いただけましたか?については,大いに満足したが48.4%であった.【質問2】理由については,「作業療法士の倫理と技術士倫理を結びつける解析がおもしろい」等であった.【質問3】特に印象に残ったこと/学んだことでも,「倫理綱領が,異なる業界でもかなり似ていることが新鮮でした(経営工学)」等,倫理綱領の比較に関する記述が多かった.また「作業療法士の仕事内容について知ることができた」の反応も多く,啓発活動に貢献できた.
【考察】
大庭は1),「作業療法士の倫理綱領は,専門職として最善を尽くすための意思決定のよりどころとなる自律的な規制である」と述べている.今回,日本技術士会の倫理綱領の調査と,比較検討をおこなった.当協会の倫理綱領は,昭和61年に承認,以降の変更は行われていない.日本技術士会は,平成23年,会員にも広く意見を求め,6年間,継続的に検討を重ね,多角的な視点での改訂に至っていた.当協会になかった2つの項目は,どちらも重要な項目であり,当協会の倫理綱領も,社会経済状況等に応じ,改訂が必要なのかもしれないと考えた.
【引用文献】 1.大庭潤平編著:作業療法管理学入門 第2版.医歯薬出版,2021
の会2022年11月例会」への登壇依頼を受けた.2022年11月4日「作業療法管理学から学ぶ,医学倫理・医療安全」の内容で40分のオンラインセミナーを実施した.医学倫理においては,日本作業療法士協会と日本技術士会の倫理綱領の比較をおこなった.その概要を報告する.技術士は,科学技術に関する専門知識を有する,偏差値70の難関の国家資格である.
【目的】 同じ国家資格である,日本作業療法士協会と日本技術士会.専門分野の全く異なる2つの職能団体の倫理綱領の,共通項目,差異項目を比較検討してみたいと考えた.また,講演後の反応について知りたいと考えた.
【方法】 ウェブサイトの検索にて,日本作業療法士協会(以下,当協会)倫理綱領と日本技術士会倫理綱領の比較検討をおこなった.参考資料は,技術士倫理綱領,公益社団法人日本技術士会の「技術士CPDガイドラインVer1.1」倫理委員会の「技術士倫理綱領の解説」「倫理綱領改定案に関する意見と回答」とした.セミナー実施後には,講演内容に関してのアンケートが実施された.
【倫理的配慮】 へルシンキ宣言に沿った研究であり,所属機関には口頭にて本報告の目的と内容の説明を行い同意を得た.また,発表に際し,事前に主催者の承諾を得ている.開示すべきCOIはない.
【結果】
(1)倫理綱領の比較
ほとんどの項目が共通していた.差異項目としては,当協会には「先人の功績を尊び,よき伝統を守る」という項目があった.日本技術士会には「2.持続可能性の確保」「3.有能性の重視」という項目があった.これは,日本技術士会の,SDGs等の環境問題に関しての先見性,プロ意識としての謙虚さ,誠実性の表れであると認識した.また,日本技術士会では,昭和36年に制定して以来,2回の変更承認がおこなわれていた.当協会は,昭和61年に承認,変更承認はない.
(2)アンケート結果
例会出席者数は49名,アンケート回答者数は31名.【質問1】ご満足いただけましたか?については,大いに満足したが48.4%であった.【質問2】理由については,「作業療法士の倫理と技術士倫理を結びつける解析がおもしろい」等であった.【質問3】特に印象に残ったこと/学んだことでも,「倫理綱領が,異なる業界でもかなり似ていることが新鮮でした(経営工学)」等,倫理綱領の比較に関する記述が多かった.また「作業療法士の仕事内容について知ることができた」の反応も多く,啓発活動に貢献できた.
【考察】
大庭は1),「作業療法士の倫理綱領は,専門職として最善を尽くすための意思決定のよりどころとなる自律的な規制である」と述べている.今回,日本技術士会の倫理綱領の調査と,比較検討をおこなった.当協会の倫理綱領は,昭和61年に承認,以降の変更は行われていない.日本技術士会は,平成23年,会員にも広く意見を求め,6年間,継続的に検討を重ね,多角的な視点での改訂に至っていた.当協会になかった2つの項目は,どちらも重要な項目であり,当協会の倫理綱領も,社会経済状況等に応じ,改訂が必要なのかもしれないと考えた.
【引用文献】 1.大庭潤平編著:作業療法管理学入門 第2版.医歯薬出版,2021