[PR-6-4] 学業不振の個別プログラムからみた学習意欲向上の特徴
【はじめに】
野村ら(2016)は,作業療法士学生が感じている学習困難さの要因について,「どう学習していいかわからない」,「気力が起きない」という理由が半数以上を占めていると報告している.また,北村ら(2019)は,医療系大学における中途退学の理由で最も多いものは学業不振であると述べている.本学の作業療法学生においても,入学時に学習習慣が定着していない者が多く,学業不振に陥るケースは珍しくない.当学科では専門科目とは別に,学習習慣スキルを養う授業を実施しているが中途退学に至ってしまう場合がある.
そこで学業不振改善を目的とした個別補講を実施した.学習によって理解したことを文章化する体験と学習した内容を理解することによって得られる成功体験に重きをおいた. その結果,中途退学には至らず,学業に対する関心に変化がみられたため以下に報告する.なお,本研究は東京福祉専門学校倫理審査委員会の承認を得ている.
【方法 】
個別補講プログラムを実施した学生の中から,学会発表に同意の得られた4名を対象とした.対象のうち2名は作業療法士に対するモチベーション低下を訴えており,もう2名は定期試験で複数の再試科目を有するという特徴があった. 個別補講は解剖学について1回2時間のプログラムを4回実施.講義は学生が理解することに重きを置き,闇雲に暗記をする学習法からの脱却を意識した.補講終了時に本日の学習内容のkey wordを与えて学んだ内容を文章化する宿題を課した.すべての個別補講プログラム終了後に2種類のアンケートを実施.1つ目は通常授業と比較して,「やる気」,「集中度」,「理解度」,「宿題の効果」の変化を5件法で計った.2つ目は「自己学習時間」,「勉強の楽しさ」,「学校の楽しさ」,「作業療法士へのモチベーション」といった学校生活に関わる項目を入学時から振り返り,月別での推移をグラフにして変化を可視化した.
【結果】
モチベーション低下学生はすべての個別補講に参加し,通常授業と比較したアンケートでは平均4.8という結果であり,高い個別補講の満足が得られた.学校生活の変化では,個別補講開始月より「勉強の楽しさ」の項目が向上し,2月には「作業療法士へのモチベーション」も向上した.一方で複数科目再試学生は個別補講の参加は1回のみで継続できず,学校生活における変化も見られず低位のままであった.
【考察】
今回,学業不振の改善を目的に学習支援を行った.その結果,当初学校を継続することの困難さを訴えていたモチベーション低下学生はすべてのプログラムに参加し,勉強の楽しさや作業療法士への期待を見出していた.一方で,複数科目再試学生は個別補講の支援には乗り切れなかった. 橋本(2012)は,学業不振への対応として即時対応と根本対応の重要性について述べている.即時対応とは学生が躓いたときに手を差し伸べることであり,根本対応とは出来るようになりたいと前向きな思いを持つことを第一としている.学業不振の要因がモチベーションの低下であった学生は,個別補講が即時対応となり早期改善に繋がったと考えられる.また補講内容は,学生が理解することを重要視し,学習内容を想起しながら取り組む宿題が持続的なモチベーションへ寄与したのではないかと考える.複数科目再試学生は,即時対応では効果が得られず,試験でつまずく前の計画的な支援が必要であると考える.根本対応としてまずは, 作業療法士という仕事の面白さや職業に対する期待を十分に刺激し,「なりたい」という気持ちが芽生えたところから本人たちの能力に合わせた学習支援が必要と考える.
野村ら(2016)は,作業療法士学生が感じている学習困難さの要因について,「どう学習していいかわからない」,「気力が起きない」という理由が半数以上を占めていると報告している.また,北村ら(2019)は,医療系大学における中途退学の理由で最も多いものは学業不振であると述べている.本学の作業療法学生においても,入学時に学習習慣が定着していない者が多く,学業不振に陥るケースは珍しくない.当学科では専門科目とは別に,学習習慣スキルを養う授業を実施しているが中途退学に至ってしまう場合がある.
そこで学業不振改善を目的とした個別補講を実施した.学習によって理解したことを文章化する体験と学習した内容を理解することによって得られる成功体験に重きをおいた. その結果,中途退学には至らず,学業に対する関心に変化がみられたため以下に報告する.なお,本研究は東京福祉専門学校倫理審査委員会の承認を得ている.
【方法 】
個別補講プログラムを実施した学生の中から,学会発表に同意の得られた4名を対象とした.対象のうち2名は作業療法士に対するモチベーション低下を訴えており,もう2名は定期試験で複数の再試科目を有するという特徴があった. 個別補講は解剖学について1回2時間のプログラムを4回実施.講義は学生が理解することに重きを置き,闇雲に暗記をする学習法からの脱却を意識した.補講終了時に本日の学習内容のkey wordを与えて学んだ内容を文章化する宿題を課した.すべての個別補講プログラム終了後に2種類のアンケートを実施.1つ目は通常授業と比較して,「やる気」,「集中度」,「理解度」,「宿題の効果」の変化を5件法で計った.2つ目は「自己学習時間」,「勉強の楽しさ」,「学校の楽しさ」,「作業療法士へのモチベーション」といった学校生活に関わる項目を入学時から振り返り,月別での推移をグラフにして変化を可視化した.
【結果】
モチベーション低下学生はすべての個別補講に参加し,通常授業と比較したアンケートでは平均4.8という結果であり,高い個別補講の満足が得られた.学校生活の変化では,個別補講開始月より「勉強の楽しさ」の項目が向上し,2月には「作業療法士へのモチベーション」も向上した.一方で複数科目再試学生は個別補講の参加は1回のみで継続できず,学校生活における変化も見られず低位のままであった.
【考察】
今回,学業不振の改善を目的に学習支援を行った.その結果,当初学校を継続することの困難さを訴えていたモチベーション低下学生はすべてのプログラムに参加し,勉強の楽しさや作業療法士への期待を見出していた.一方で,複数科目再試学生は個別補講の支援には乗り切れなかった. 橋本(2012)は,学業不振への対応として即時対応と根本対応の重要性について述べている.即時対応とは学生が躓いたときに手を差し伸べることであり,根本対応とは出来るようになりたいと前向きな思いを持つことを第一としている.学業不振の要因がモチベーションの低下であった学生は,個別補講が即時対応となり早期改善に繋がったと考えられる.また補講内容は,学生が理解することを重要視し,学習内容を想起しながら取り組む宿題が持続的なモチベーションへ寄与したのではないかと考える.複数科目再試学生は,即時対応では効果が得られず,試験でつまずく前の計画的な支援が必要であると考える.根本対応としてまずは, 作業療法士という仕事の面白さや職業に対する期待を十分に刺激し,「なりたい」という気持ちが芽生えたところから本人たちの能力に合わせた学習支援が必要と考える.