[PR-6-7] オンラインによる国際交流研修が作業療法学生に与える影響
【背景】
日本の国際化に伴い,作業療法士の養成教育においても国際感覚の涵養や国際貢献の行える人材の育成が求められている.しかし現在のコロナ禍により,その機会は大きく制限されている.
【目的】
本研究の目的は,オンラインでの国際交流研修が作業療法学生の国際交流への関心や意欲,作業療法士になることへの意欲などに,どのような影響を及ぼすか明らかにすることである.
【方法】
本学リハビリテーション学科学生を対象に開講した,国際交流研修(オンライン実施)に参加する学生を対象に調査協力を依頼.調査はgoogle formを用いたオンラインでのアンケート調査とし,回答を持って承諾を得たこととした.質問紙の大項目は「国際交流への関心」,「国際感覚を持った作業療法士の育成」,「作業療法士になることへの意欲」の3項目とし,それぞれ小項目5つの計15問とし回答方法は5件法とした.質問項目の選定ついては国際交流に知見のある学科教員 3名 によるデルファイ法を用い決定することで,項目の妥当性を担保した.分析にはSPSS Statistics Ver29を使用し,研修前後で行ったアンケート結果についてmann-whitneyのU検定を用いて分析を行った(P<0.05) .また併せて研修の満足度調査をおよび自由意見記入を実施した.なお本研究の実施については本学研究倫理委員会の承認を得ている(承認番号:2022-132).
【結果】
事前・事後アンケートに回答し,かつオンライン研修を最後まで受講した学生34名を対象とした(男性13名,女性21名,年齢20±1歳).「国際交流への関心」(p=0.786),「国際感覚を持った作業療法士の育成」(p=0.558),「作業療法士になることへの意欲」(p=0.314)の3項目において,有意な差は見られなかった.また,研修のみ参加した学生45名(男性17名,女性25名,未回答3名)に対する満足度調査では,「とても満足した」の回答が11.1%,「やや満足した」との回答が24.4%,「普通」が47.6%であった.また自由意見では「言語の設定をしっかりしてほしい」との意見が聞かれた.
【考察】
オンラインによる国際交流研修が学生の「国際交流への関心」や「国際感覚の涵養」,「作業療法士になることへの意欲」などに好影響を及ぼすことを期待したが,研修の実施前後で有意な差は見られなかった.現地渡航による研修に比べ現実感に乏しく,短時間の座学が中心となる事から大きな影響を及ぼすには至らなかったと思われる.また自由意見にもあるように,同時通訳の不具合も結果に影響したかと思われる.しかし一方で35%の学生は研修に満足しており,国際交流に関する導入としては一定の効果を示すことが出来たと考える.今後は同時通訳の問題解決を図るとともに,単なる座学で終わらない参加型でのオンライン研修の構築を検討したい.
日本の国際化に伴い,作業療法士の養成教育においても国際感覚の涵養や国際貢献の行える人材の育成が求められている.しかし現在のコロナ禍により,その機会は大きく制限されている.
【目的】
本研究の目的は,オンラインでの国際交流研修が作業療法学生の国際交流への関心や意欲,作業療法士になることへの意欲などに,どのような影響を及ぼすか明らかにすることである.
【方法】
本学リハビリテーション学科学生を対象に開講した,国際交流研修(オンライン実施)に参加する学生を対象に調査協力を依頼.調査はgoogle formを用いたオンラインでのアンケート調査とし,回答を持って承諾を得たこととした.質問紙の大項目は「国際交流への関心」,「国際感覚を持った作業療法士の育成」,「作業療法士になることへの意欲」の3項目とし,それぞれ小項目5つの計15問とし回答方法は5件法とした.質問項目の選定ついては国際交流に知見のある学科教員 3名 によるデルファイ法を用い決定することで,項目の妥当性を担保した.分析にはSPSS Statistics Ver29を使用し,研修前後で行ったアンケート結果についてmann-whitneyのU検定を用いて分析を行った(P<0.05) .また併せて研修の満足度調査をおよび自由意見記入を実施した.なお本研究の実施については本学研究倫理委員会の承認を得ている(承認番号:2022-132).
【結果】
事前・事後アンケートに回答し,かつオンライン研修を最後まで受講した学生34名を対象とした(男性13名,女性21名,年齢20±1歳).「国際交流への関心」(p=0.786),「国際感覚を持った作業療法士の育成」(p=0.558),「作業療法士になることへの意欲」(p=0.314)の3項目において,有意な差は見られなかった.また,研修のみ参加した学生45名(男性17名,女性25名,未回答3名)に対する満足度調査では,「とても満足した」の回答が11.1%,「やや満足した」との回答が24.4%,「普通」が47.6%であった.また自由意見では「言語の設定をしっかりしてほしい」との意見が聞かれた.
【考察】
オンラインによる国際交流研修が学生の「国際交流への関心」や「国際感覚の涵養」,「作業療法士になることへの意欲」などに好影響を及ぼすことを期待したが,研修の実施前後で有意な差は見られなかった.現地渡航による研修に比べ現実感に乏しく,短時間の座学が中心となる事から大きな影響を及ぼすには至らなかったと思われる.また自由意見にもあるように,同時通訳の不具合も結果に影響したかと思われる.しかし一方で35%の学生は研修に満足しており,国際交流に関する導入としては一定の効果を示すことが出来たと考える.今後は同時通訳の問題解決を図るとともに,単なる座学で終わらない参加型でのオンライン研修の構築を検討したい.