[PR-8-3] 台湾における作業療法士の養成教育
背景・目的:日本で作業療法教育を受け作業療法士になるには,文部科学省・厚生労働省が定めた養成施設指定規則(以下指定規則)を満たし,文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した養成施設で3年以上作業療法士として必要な知識及び技能を修得し,国家試験に合格することが必要である.2018年に改正された指定規則では,教育内容が基礎科目14単位以上,専門基礎科目30単位以上,専門科目57単位以上と設定された.2022年現在,日本に指定規則を満たす養成施設は大学99校,短期大学・専門学校107校がある.台湾では作業療法養成施設として1970年台湾大学がリハビリテーション学科の設立を皮切りに,2000年まで7校,2000年以降4校と開設され,現在大学9校と5年制高等専門学校2校となっている.台湾で作業療法の教育を受け作業療法士になるには,日本と同様に国家試験の合格が必要であるが,日本の指定規則に相当する規定はなく,作業療法士養成施設を卒業し実習要件を満たしている場合,受験資格を取得できる.一方,世界作業療法士連盟(以下WFOT)は2016年改訂した「作業療法士教育の最低基準」が一つの指標として利用される.養成校のうち8大学はWFOTの基準を満たしている.2022年末日本作業療法士協会と臺灣職能治療學會との学術交流協定が締結された.今後双方の会員間の交流がますます盛んになり,相互への理解を深めると予想される.双方で作業療法士になるまでの過程に相違の有無や,それぞれの特徴的な部分を探りたいと考える.そこで,本研究の目的は,日本の指定規則を利用して,台湾で作業療法士を養成する9大学の教育課程を調査し日本と比較することである.
方法:インターネットを利用して,台湾の作業療法士養成施設のホームページより2022年度の履修科目,カリキュラムマップ,シラバス等を収集した.5年制高等専門学校は修業期間が大学と異なり,高校レベルに相当する単位も含まれるので,調査から除外した.収集した情報より,各養成施設の教育課程に配置される科目を指定規則に倣い基礎科目,専門基礎科目,専門科目と分類し,それぞれの単位数を合計した.各養成施設の合計した単位数が指定規則に満たしているかを確認し,教育課程の内容を指定規則と比較した.
結果:対象とした養成施設の卒業単位数は128~140であり,台湾の大学法の原則4年で128単位以上の規定を満たしている.基礎科目は28~32単位で,指定規則の基礎科目14単位以上の要件を満たしている.専門基礎科目は22~37単位で,指定規則の30単位に満たしているのは半数の5大学である.専門科目は68~90単位,大学によって差があるが,すべて指定規則の66単位に満たしている.臨床実習は大学によって24単位又は30単位と異なるが,すべて4年次に配置される.身体障害,精神障害,発達または地域の4領域のうち3領域を選択し,各領域で12週間(480時間)の実習が規定されている.
考察:対象としたすべての養成施設は指定規則の基礎科目と専門科目の単位数を満たしている.専門基礎科目に関して対象としたすべての養成施設は解剖学,生理学,運動学の講義と実習が必修科目であるが,2000年以降設立された養成施設では臨床医学に関連する科目が少ない傾向がある.一方専門科目の単位数が多く,規定された臨床実習の時間数も台湾が日本より多かった.
結論:台湾で作業療法士を養成する9大学のうち,教育課程が日本の指定規則に満たしたのは半数の5大学がある.臨床実習の規定時間数は台湾が日本より多い.
方法:インターネットを利用して,台湾の作業療法士養成施設のホームページより2022年度の履修科目,カリキュラムマップ,シラバス等を収集した.5年制高等専門学校は修業期間が大学と異なり,高校レベルに相当する単位も含まれるので,調査から除外した.収集した情報より,各養成施設の教育課程に配置される科目を指定規則に倣い基礎科目,専門基礎科目,専門科目と分類し,それぞれの単位数を合計した.各養成施設の合計した単位数が指定規則に満たしているかを確認し,教育課程の内容を指定規則と比較した.
結果:対象とした養成施設の卒業単位数は128~140であり,台湾の大学法の原則4年で128単位以上の規定を満たしている.基礎科目は28~32単位で,指定規則の基礎科目14単位以上の要件を満たしている.専門基礎科目は22~37単位で,指定規則の30単位に満たしているのは半数の5大学である.専門科目は68~90単位,大学によって差があるが,すべて指定規則の66単位に満たしている.臨床実習は大学によって24単位又は30単位と異なるが,すべて4年次に配置される.身体障害,精神障害,発達または地域の4領域のうち3領域を選択し,各領域で12週間(480時間)の実習が規定されている.
考察:対象としたすべての養成施設は指定規則の基礎科目と専門科目の単位数を満たしている.専門基礎科目に関して対象としたすべての養成施設は解剖学,生理学,運動学の講義と実習が必修科目であるが,2000年以降設立された養成施設では臨床医学に関連する科目が少ない傾向がある.一方専門科目の単位数が多く,規定された臨床実習の時間数も台湾が日本より多かった.
結論:台湾で作業療法士を養成する9大学のうち,教育課程が日本の指定規則に満たしたのは半数の5大学がある.臨床実習の規定時間数は台湾が日本より多い.