第57回日本作業療法学会

講演情報

企画セミナー

[S-1] 企画セミナー1:日本義肢装具学会

2023年11月10日(金) 17:00 〜 18:00 第1会場 (劇場棟)

司会:大庭 潤平(神戸学院大学総合リハビリテーション学部)

[S-1-1] 新しい能動義手の適合検査の紹介

柴田 八衣子1, 妹尾 勝利2 (1.兵庫県リハビリテーション中央病院, 2.川崎医療福祉大学 リハビリテーション学部)

我が国で「義手」は補装具の正式種目として上肢切断者に処方されている。また、義手の適合検査は、理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則や理学療法士作業療法士国家試験出題基準に明記され、作業療法士養成課程では必須科目として教授されている。

 完成した義手への適合検査は、義手が処方どおりに製作され切断者に対し十分な機能が発揮できているかを確認するために実施する。しかし、その基準は必ずしも明確ではなく、能動義手の適合検査の表記方法や基準値が異なっている。そのばらつきが、臨床や教育場面、国家試験に至るまでの課題となっていた。
 そこで、一般社団法人日本義肢装具学会では、医師・作業療法士・義肢装具士・エンジニアなどの多職種のメンバーで構成した、特設委員会「義手適合判定検討委員会」を設置した。

 委員会のゴールは、義手適合検査の目的、既存項目、追加項目について検討し、検査方法および基準値の設定とその妥当性を確認し、新しい適合検査を作成することである。委員会では、義手適合判定に関わる情報の収集(文献調査・既存項目の整理・義肢装具士や作業療法士養成校での教育)や臨床現場で適合検査をどの職種がどのように行っているか関係職種で意見交換を行い、役割や内容など現状の把握や課題整理を行ってきた。特に、2021年度は作業療法士養成課程に対して義手適合検査に関する調査を実施した。そして、教育の現状を確認し、課題を解決すべく取り組んできた。

 新しい能動義手の適合検査は、①適合検査のための身体機能検査、②義手検査、③義手装着適合検査、④義手操作適合検査の4段階で構成され、前腕切断(前腕義手)用・上腕切断(上腕義手)用があり、それぞれ検査方法のマニュアルと検査用紙をセットにしている。
 今後、この新しい能動義手の適合検査は、臨床や教育で活用され、また、国家試験出題基準に反映されることも予測される。

 本セミナーでは、義手適合判定検討委員会に在籍する作業療法士を講師に迎え、新しい能動義手の適合検査について紹介する。この機会に、適合検査が変わろうとしていること、そして、その経緯と内容を知っていただければ幸いである。