第57回日本作業療法学会

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企画セミナー

[S-12] 企画セミナー12:呼吸器・循環器障害の作業療法を検討する会

Sat. Nov 11, 2023 4:10 PM - 5:10 PM 第6会場 (会議場A2)

司会:熊野 宏治(パナソニック健康保険組合 松下記念病院 診療技術部 リハビリテーション療法室  )

[S-12-1] 呼吸器疾患患者へのOT strategy~さらなる発展を目指して~

川邉 利子1, 武田 優2, 岡島 聡3 (1.自宅, 2.近畿大学病院 リハビリテーション部, 3.ぽると訪問看護ステーション)

2008年度の診療報酬改定で呼吸器リハビリテーション料の算定が作業療法も可能となり,包括的呼吸リハビリテーションの中にも作業療法士が必要職種として加えられた.しかし,現状では呼吸器疾患分野への作業療法士の介入は十分とはえない.この原因について本研究会で調査した結果「運動器疾患などとは異なり外見上では判断できない呼吸器症状を的確に評価し作業療法介入を実施するのが難しい」「酸素が下がらず呼吸困難が強い患者の作業療法介入をどうしたらいいか悩む」「ADLやIADLが自立している呼吸器疾患患者に対して作業療法⼠としての着眼点・評価方法について⽇々悩む. 」などの理由で呼吸器疾患分野に対する積極的な作業療法介入が難しい点が挙げられた.
近年,呼吸器疾患患者において身体活動が生命予後や健康寿命との関連が深いとされることから,身体活動の維持・向上が治療目標として重要であるとされている. 身体活動はADLやIADL,趣味・嗜好の活動等,日常におけるすべての骨格筋収縮による動きが含まれる.身体活動の維持・向上は運動療法だけが直結するものではなく,効率的な呼吸方法や動作様式,環境設定の介入が重要とされる.さらにこれらをうまく患者に適応させるための行動変容介入が重要である. 包括的呼吸リハビリテーションの中で作業療法士は動作パターンの練習や呼吸方法の練習,道具の工夫を含めた環境調整などの生活機能に即したADL,IADLへの介入を行うことが推奨されている.さらにADL,IADLを通して患者自身が病態を理解し,病気や呼吸困難などの自己管理が行えするよう患者教育を行うことが重要であるとされる.そのため作業療法士の必要性・重要性が認められている.
本セミナーでは呼吸器疾患のなかでも特に多いCOPDに着目し,COPDに対する作業療法を実践するための基礎知識を解説したのち①換気様式に着目した作業療法介入事例②酸素化に着目した作業療法介入事例③家族指導に着目した作業療法介入事例を提示しフロアとディスカッションしたいと考える.
本セミナーが呼吸器疾患患者の作業療法を実践するうえでの問題解決の糸口となり明日からの臨床で活用できるセミナーとしたい.