第57回日本作業療法学会

講演情報

企画セミナー

[S-13] 企画セミナー13:作業療法神経科学研究会

2023年11月11日(土) 16:10 〜 17:10 第7会場 (会議場B3-4)

司会:石岡 俊之(埼玉県立大学)

[S-13-1] 作業療法士は神経心理学を応用して何ができるのか -クライエントとその家族を支援するための神経心理学的評価と介入-

石岡 俊之1, 細川 大瑛2 (1.埼玉県立大学, 2.国立病院機構 仙台西多賀病院 リハビリテーション科)

神経心理学は,主に脳神経疾患によって引き起こされる高次脳機能障害(記憶、言語、行為など)を対象とする医学領域であり,脳の損傷をもつ人の行動を観察・分析することで症状を理解しようとします.作業療法士は,クライエントが自身の生活上の問題と折り合いをつけながら自分らしく生活していくことを支援する専門家です.作業療法士にとって神経心理学の知識と技術は,クライエントの生活課題に対する最適解を探る大きな武器となります.しかし,臨床で活躍されている作業療法士から『高次脳機能評価は何を測定しどの場面を観察したら良いのか』,『ルーチンで高次脳機能測定している内容はクライエントのためになっているのか』などの声が本研究会の研修会などで多く聴かれます.このことは,神経心理学を作業療法学に落としこむ過程が腑におちていないことが要因の1つといえます.
そこで“クライエントのために作業療法士は神経心理学を応用してでいま何ができるのか”の答えを参加される皆様と探求する場を設けました.
セミナーは,総論と各論を2名の講師に講演していただく予定です.総論は,高次脳機能作業療法学の概論的な内容で作業療法士として神経心理学的評価をする目的,脳画像や行動観察からの見立てにそった評価の選択方法,点数の解釈の仕方などをお話しします.各論では,実際の症例から疾患の病態や研究知見を踏まえた神経心理学検査の意義,適切な検査の選択,さらに介入における検査結果の活用方法について講義していただきます.
本セミナーを通して,クライエントの苦手なことと得意なことを知るための評価,クライエントが今後どうなっていくのかを考える臨床推論,そこから介入内容や教育・対応策の提案までの一連の流れをつかみ,日々の臨床のヒントにしていただけますと幸いです.
ご本人やご家族の困りごとを改善する糸口を見つけ,『これならやっていけそうだ.』と思ってもらえる作業療法につなげるため,神経心理学の使い方を一緒に考えていきましょう.
セミナー当日に皆様にお目にかかれることを楽しみしております