第57回日本作業療法学会

講演情報

企画セミナー

[S-15] 企画セミナー15:日本集中治療作業療法研究会

2023年11月12日(日) 10:50 〜 11:50 第3会場 (会議場B1)

司会:山下 遊平(群馬県立心臓血管センター)、塚越 大智(信州大学医学部付属病院)

[S-15-1] 集中治療領域における作業療法士の役割を創成する -オーディエンス参加型企画:ICUでは作業療法士が求められている!ー

駒場 一貴1, 児島 範明2 (1.昭和大学保健医療学部作業療法学科, 2.関西電力病院 リハビリテーション部)

近年,集中治療領域では医学の進歩に伴い救命率が向上し,救命だけでなく患者の機能予後の改善に向けたパラダイムシフトが起きている.集中治療室(ICU)で管理された重症患者は,退院後も身体機能や認知機能,精神機能などに障害が残り,生活の質(QOL)が低下するとの報告がある.また昨今の世界的な関心事であるCOVID-19においては,COVID-19後遺症(Long COVID)にて学校・社会復帰後の生活において困窮する患者も少なくない.その為,作業療法士もICUから,重症患者への早期対応を求められている.しかし,本邦の集中治療領域で行われている作業療法士の実践は充分に対応できているとはいえず,また,その内容や体制は施設により大きな違いがあるのが現状である.
 世論の注目が集中治療領域に高まる中,2022年度の診療報酬改定においては,「高度急性期医療」の体制がより手厚いものとなっている.特定集中治療室が対象であった「早期離床・早期リハビリテーション加算」については,特定集中治療室以外の治療室においても算定要項が見直され,早期から多職種で離床に必要な取組みを行うことを更に推進する観点から,職種要件も見直されている.現在の算定要項において,職種要件に該当する作業療法士は,ICUで求められる医療の形が現在問われている.本学会テーマである,「ものごとの仕組みに注目する—作業療法における問題解決の糸口として—」というテーマからも,集中治療領域における制度や仕組みの変化に作業療法士も柔軟に対応し,領域の発展に寄与することが大切である.
 そこで本セミナーでは,本邦におけるICUで働く作業療法士やこれから参入する施設の作業療法士が,ICUでエンパワメントを発揮するきっかけや仕組みづくりに貢献できることを期待している.本セミナーでは,①児島範明氏より,今後必要となる“集中治療領域で継続的に作業療法士が活躍できる指標としてのMinimum Standard作成”について報告し,②駒場一貴氏においては,“ICUでの作業療法士の役割”について作業の視点から報告する.そして,本企画では,オーディエンス参加型の企画として,参加者がリアルタイムアンケートに回答しながら講師の方々と話し合い,今後の集中治療領域の作業療法を参加者と共に創成していく時間にしたい.