[S-2-1] 作業の視点で考える性の多様性~作業療法士の役割とは
恋愛感情や性的な関心がどのような性別に向くか(性的指向),どのような性別にアイデンティティを持っているか(性自認),社会や文化の中でどう表現するか(性表現)等,性のあり方はその人の作業を形作る重要な要素の一つである.つまり,服装の選択など目に見える性表現や家族の在り方等,可視化できる要素としてだけではなく,作業的存在にまで影響を及ぼす.
現在の社会や医療の中では特定の性のあり方を理由に,作業をする権利(作業権)が侵害されてしまうことがある.自分ではどうにもできない理由により作業権が侵害された状態を「作業的不公正」と呼ぶ.作業的に公正な社会を目指すことは,我々作業療法士が専門職として担うべき役割の一つである.例えばトランスジェンダーの人々は,自身の望む服装を選ぶことができないため,通学や就労という作業に繋がれないことがある.同性カップルは,住居を借りることが出来ず,一緒に住むという作業を剥奪されやすい.またこれらは,LGBT+の人々のみならず,女性や男性が社会的にイメージされる活動を求められた結果,自身の望む作業に繋がれないことにも共通する.男性が育休を取りにくく,育児から阻害される・女性が職場でもサポート役を求められ自身の仕事が周縁化するなどが該当する.この結果,特にLGBT+などの性的マイノリティでは,マイノリティストレスや医療アクセスの困難から重大な健康問題に至りやすい.
WFOTおよび日本作業療法士協会の倫理綱領では,性別による差別を禁じており,すべての人の作業の実現には性の多様性を包摂したホリスティックな実践が重要であることは言うまでもない.しかしその議論は始まったばかりであり,養成過程でも性の多様性に関する教育を行っている国は未だ乏しい.すなわちこれまで作業療法士は「性の多様性が作業にどのように影響を及ぼし,どのような社会的不公正や作業的不公正をもたらすのか」という点に十分に目を向けて来なかった.その結果,これらを明確に自分たちの役割の中に取り入れられていない.
本セミナーでは,日本作業療法士協会学術部LGBT+ガイドライン班の班員により,2022年度に実施した全国調査の結果をはじめ,多側面からセッションを行う.これらを通して性の多様性と作業について理解を深め,作業療法士として,我々ができること,取り組むべきことについてディスカッションを行う.
現在の社会や医療の中では特定の性のあり方を理由に,作業をする権利(作業権)が侵害されてしまうことがある.自分ではどうにもできない理由により作業権が侵害された状態を「作業的不公正」と呼ぶ.作業的に公正な社会を目指すことは,我々作業療法士が専門職として担うべき役割の一つである.例えばトランスジェンダーの人々は,自身の望む服装を選ぶことができないため,通学や就労という作業に繋がれないことがある.同性カップルは,住居を借りることが出来ず,一緒に住むという作業を剥奪されやすい.またこれらは,LGBT+の人々のみならず,女性や男性が社会的にイメージされる活動を求められた結果,自身の望む作業に繋がれないことにも共通する.男性が育休を取りにくく,育児から阻害される・女性が職場でもサポート役を求められ自身の仕事が周縁化するなどが該当する.この結果,特にLGBT+などの性的マイノリティでは,マイノリティストレスや医療アクセスの困難から重大な健康問題に至りやすい.
WFOTおよび日本作業療法士協会の倫理綱領では,性別による差別を禁じており,すべての人の作業の実現には性の多様性を包摂したホリスティックな実践が重要であることは言うまでもない.しかしその議論は始まったばかりであり,養成過程でも性の多様性に関する教育を行っている国は未だ乏しい.すなわちこれまで作業療法士は「性の多様性が作業にどのように影響を及ぼし,どのような社会的不公正や作業的不公正をもたらすのか」という点に十分に目を向けて来なかった.その結果,これらを明確に自分たちの役割の中に取り入れられていない.
本セミナーでは,日本作業療法士協会学術部LGBT+ガイドライン班の班員により,2022年度に実施した全国調査の結果をはじめ,多側面からセッションを行う.これらを通して性の多様性と作業について理解を深め,作業療法士として,我々ができること,取り組むべきことについてディスカッションを行う.