[S-8-1] 未来を創る作業療法の社会実装
我が国に作業療法が国家資格として認められてから50年以上が経過した.社会情勢は大きく変化しているものの,我々の身分を定めている理学療法士及び作業療法士法では,「作業療法士とは厚生労働大臣の免許を受けて,作業療法士の名称を用いて,医師の指示の下に,作業療法を行うことを業とする者をいう」と規定されており,現在でも約70%の作業療法士が医療機関で勤務している.ただし海外に目を向けてみると,作業療法発祥の地であるアメリカ合衆国では学校に勤務する作業療法士が15%ほど存在しており,またオーストラリアでは約40%の作業療法士が地域で従事し,運転支援など独自性の高いサービスを展開している.このように,海外ではその時の時流や社会からの要請に応じて,作業療法士も柔軟に適応している.
一方,2018年に日本作業療法士協会によって改定された作業療法定義では,「作業療法は,人々の健康と幸福を促進するために,医療,保健,福祉,教育,職業などの領域で行われる,作業に焦点を当てた治療,指導,援助である.作業とは,対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す」と,従来の公的保険制度の枠内にとどまらず,広い分野で国民の健康や幸福に寄与できるような内容にアップデートされた.
そして近年,新たな領域において,作業療法のコンセプトを活かし,作業遂行に焦点を当てた支援が展開されている.我々日本臨床作業療法学会は,作業を大切にした臨床実践を育み,その学術的基盤を創るという使命をもって設立された学会であり,新規領域の開拓においても我々の専門性をどのように活用するべきか,検討を重ねてきた.そこで本セミナーにおいては,そのような新規領域で先駆的な臨床実践といえる,学校作業療法,産業作業療法,自費リハビリテーションにおける脳卒中者への作業療法について,それぞれの現状と未来について考えていく.そして,公的保険制度下で連綿と培われてきた「作業療法の知識,技術」,そして「作業療法士」を如何に社会実装するかについて会場の皆さまと議論を試みたい.
一方,2018年に日本作業療法士協会によって改定された作業療法定義では,「作業療法は,人々の健康と幸福を促進するために,医療,保健,福祉,教育,職業などの領域で行われる,作業に焦点を当てた治療,指導,援助である.作業とは,対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す」と,従来の公的保険制度の枠内にとどまらず,広い分野で国民の健康や幸福に寄与できるような内容にアップデートされた.
そして近年,新たな領域において,作業療法のコンセプトを活かし,作業遂行に焦点を当てた支援が展開されている.我々日本臨床作業療法学会は,作業を大切にした臨床実践を育み,その学術的基盤を創るという使命をもって設立された学会であり,新規領域の開拓においても我々の専門性をどのように活用するべきか,検討を重ねてきた.そこで本セミナーにおいては,そのような新規領域で先駆的な臨床実践といえる,学校作業療法,産業作業療法,自費リハビリテーションにおける脳卒中者への作業療法について,それぞれの現状と未来について考えていく.そして,公的保険制度下で連綿と培われてきた「作業療法の知識,技術」,そして「作業療法士」を如何に社会実装するかについて会場の皆さまと議論を試みたい.