第57回日本作業療法学会

講演情報

専門作業療法士セミナー

[SOT-1] 専門作業療法士セミナー1

2023年11月10日(金) 11:00 〜 12:00 第3会場 (会議場B1)

[SOT-1-1] 脳血管障害の作業療法の現状と課題
個人のタイトル:脳血管障害患者の作業療法の現状と課題

長谷川 敬一1 ,小渕 浩平2,髙橋 啓吾3 (1.一般財団法人竹田健康財団竹田綜合病院 リハビリテーション部, 2.JA長野厚生連 長野松代総合病院 リハビリテーション部, 3.リハビリテーション天草病院 リハビリテーション部)

専門作業療法士(脳血管障害)が誕生し2年目を迎え、2023年5月1日現在で34名となりました。昨年に続いて今回も3名の専門作業療法士からそれぞれに「今一番みなさんにお伝えしたいこと」を短い時間ではありますが述べさせていただければと思います。
はじめに(1)「脳血管障害患者の作業療法の現状と課題」と題し長谷川が、急性期・回復期における脳血管障害患者の作業療法(訓練・治療・介入方法を中心に)について、ガイドラインなどを参考に整理するとともに、その一方で現場の作業療法士達がどのように思い、感じているのかにも少し触れながら考えてみたいと思います。加えてこれからの作業療法士達にいくつかの提案をさせていただきたいと思います。
次に髙橋啓吾氏に(2)「回復期リハビリテーション病棟における脳血管障害者へのADL訓練と退院支援」のテーマで、臨床現場で実際的な内容を通じてお話しいただきます。回復期リハビリテーション病棟では、リハビリテーション実績指数と自宅復帰率のアウトカムが求められています。作業療法士もこれらのアウトカムを意識した臨床実践が求められ、なかでもADLの支援と自宅退院へのマネジメントが大きな役割と考えられます。回復期での臨床実践について、姿勢制御の観点からADLの客観的な動作解析と、環境との適応に根ざしたADLの支援を紹介します。また“MTDLP”を用いた退院支援を紹介させていただきます。
最後に(3)「専門作業療法士(脳血管障害)としてのエビデンスの向き合い方:脳卒中後の上肢麻痺に対するアプローチを中心に」と題し、小渕浩平氏に臨床現場で働く作業療法士がどのようにエビデンスある治療について取り組んでいくかについて具体的に述べていただきます。昨今,医療・介護領域でエビデンスに注目が集まっていますが、作業療法の領域では.ナラティブとエビデンスの融和が十分に図られていないのが現状です。脳卒中領域で比較的エビデンスが豊富な上肢麻痺に関するエビデンス構築の推移を,氏が取り組んできた事例報告からケースコントロール研究まで報告していただきます。一般の総合病院に勤務する一臨床家というお立場で,エビデンスを「調べる」「使う」「創る」の具体的な流れについて伝えていただきます。
 本セミナーでの報告が、みなさんの臨床や研究の一助になれば幸いです。