第57回日本作業療法学会

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専門作業療法士セミナー

[SOT-10] 専門作業療法士セミナー10

Sat. Nov 11, 2023 9:00 AM - 10:00 AM 第7会場 (会議場B3-4)

[SOT-10-1] 作業療法士が取り組む両立支援の実際 ー病院・訪問の現場からー

大川 浩子1, 富永 雅子2, 浅野 友佳子3 (1.北海道文教大学 医療保健科学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻/NPO法人コミュネット楽創, 2.独立行政法人労働者健康安全機構 中国労災病院 中央リハビリテーション部/治療就労両立支援センター, 3.文屋内科消化器医院 訪問リハビリテーション らいらっく)

本セミナーでは昨年度に引き続き「両立支援」を取り上げる。昨年度は「両立支援」の概要と身体障害領域での事例について、会場とディスカッションを行った。今年度は、昨年度の振り返り(大川)後、病院(富永)と訪問(浅野)における実践を紹介していただく。異なる現場の実践について会場とディスカッションし、作業療法士が両立支援を行う上でのポイントや工夫について、明日からの実践にいかせる時間としたい。
<病院における両立支援>
 当院では、疾患に関わらず発症早期より(同意が得られ次第)両立支援を実施している。ここでは今まで関わってきた脳卒中分野を中心にお話したい。脳卒中に限った話ではないが、職場に迷惑がかかるからと退職してしまう場合もあるため、早期離職を予防することが大切である。また、安心して療養できるよう休職期間等を知るために就業規則を確認することや、復職したいという意志を職場に伝えておくことも重要となる。
 脳卒中の場合、自宅退院時にADLは自立していることが多いが、移動を含むIADLは自立に至っていない場合も多い。そのため、当院では自宅退院後に外来リハビリテーションを実施している。外来では復職に向けて生活リズムを整え、週5日程度勤務できるよう体力を回復しておくこと、通勤が自立するために交通機関の利用や自動車運転を再開できることを目標に支援を行っている。また、復職へのモチベーションを保てるよう定期的に介入することも重要である。
<訪問における両立支援>
在院日数の短縮化などにより訪問リハビリテーションにおいても就労支援が必要な場面が増えている。地域における就労支援では、介護保険領域や障害領域においても他職種連携・地域連携が必要であり、個別事例の障害特性に応じた配慮や地域特性や職場環境の違いへの対応等、様々な面で異なることがあると考えられる。そのような中、介入回数が少ない訪問リハビリテーションの立場ではどのようなことができるのでしょうか?過疎が進む地方都市において就労をする前に必要な交通手段の確保はどのようにするのが良いのか?実際に職場との交渉をどのようにすると円滑に進むのか?訪問リハビリテーションの時間内ではできない支援に関し、どのように対処していくのか?など両下肢麻痺事例と高次脳機能障害事例の2事例の就労までの経過を紹介し、より良い就労支援について皆さんと一緒に考えていきたい。