第57回日本作業療法学会

講演情報

専門作業療法士セミナー

[SOT-11] 専門作業療法士セミナー11

2023年11月12日(日) 08:30 〜 09:30 第1会場 (劇場棟)

[SOT-11-1] 作業につながる高次脳機能~左のパンツがあがらない?!~

浅野 佳子1, 中島 ともみ2 (1.文屋内科消化器医院 訪問リハビリテーション らいらっく, 2.藤田医科大学 保健衛生学部 リハビリテーション学科)

【はじめに】第56回作業療法学会での本セミナーでは,エビデンスを学び,高次脳機能障害を読み解き,仮説生成を通して作業療法につなげる方法を皆様と共有しました.第57回では,作業遂行の要因分析を行ったうえで,高次脳機能障害の視点で作業療法を考えます.
トイレ動作の後,左側の下衣(パンツ)に手が届かない,引き上げが不十分,不十分なことにさえ気づけないということはよくある下衣の更衣動作ですね.様々な高次脳機能が関与しますが,出来ない理由を十分分析できているでしょうか.作業遂行は,人・環境・作業の要素で成り立っています.たとえ主たる問題が高次脳機能障害であっても,脳の機能だけを見ていては,作業遂行を改善することはできないと考えます.処理技能である高次脳機能とともに運動技能にも注目し,さらには,どんな時にどの様な環境でその作業が行われるのかにも注目しなくては,適切な作業療法プログラムにたどり着くことはできないのではないでしょうか.
【事例紹介】もともと人との交流が好きで,一人でいることが寂しくて仕方がない一人暮らしの女性.支援者が訪れる度に「お尻でていない?」と確認します.更衣動作がうまくいかないことは事例自身も気づいているが,うまくできない…そのため,近所の友達の家にも行けず,一人で過ごす日々….病院では当たり前に練習し,退院してきましたが「家」という場所ではうまくできないのはなぜなのでしょう?事例の情報から原因や介入方法を一緒に考えていきましょう.
事例へのリンク:
https://docs.google.com/presentation/d/18dvDvNbFp4eTPA3fO_1YyhdObPaVMbuI/edit?usp=sharing&ouid=118258845452407562615&rtpof=true&sd=true
【下衣操作に必要な運動技能を考えるための知識】今回は,運動技能の部分を事前学習してから事例を考えてみましょう.
事前学習(動画)へのリンク:
https://drive.google.com/file/d/1AnAw4PdJvJ0731NrrZOD5WCc-WRj9ae_/view?usp=sharing
参考文献:
小池 祐士等.(2014).脳卒中片麻痺者の体幹機能が下衣操作に与える影響.総合リハビリテーション 42 (12), 1177-1183,
【下衣操作に必要な処理技能を考えるための知識】
参考文献:
水野勝広. (2021). 半側空間無視のリハビリテーション治療. The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine, 58(1), 53-58.
渕雅子. (2019). 半側空間無視のリハビリテーションの原点とトピック~ 機能障害から生活障害へ~. 高次脳機能研究 (旧 失語症研究), 39(2), 189-195.
豊倉穣. (2008). 注意障害の臨床. 高次脳機能研究 (旧 失語症研究), 28(3), 320-328.