[OA-12-5] ポータブル三次元動作解析システムによるゲレンデでのシットスキー動作計測の実用性の検証
現在の三次元動作分析はバイコンシステムなどの光学的な手法が大多数で,精度も検証されており実用性が高い.しかし,従来の光学的方法での三次元動作解析は,計測環境が限られ,実際場面での計測やカメラから隠れてしまうような動作では計測困難である.今回,空間位置情報をモーションセンサー(加速度,ジャイロ,磁気の9軸)にて抽出するポータブル三次元動作解析装置を用いて,スキー場にてシットスキー(チェアスキー)の動作分析を実施した.しかし,様々な問題が出現し,3年間試行錯誤を行ったのでノウハウの情報を提示する.実際計測する中で挙げられた問題点と計測されたデータに対しても問題点を列挙して提示する.
<問題点の抽出>①センサー設置の問題:センサーはスポーツの時は外れるため,バンドで巻いて装着する.そのため,巻くことで外乱となり,運動に制約が生まれる可能性がある.②キャリブレーションの問題:キャリブレーション(初期化)では,センサーが地磁気や周囲の金属の影響を受けやすいため,地面に近い足部のキャリブレーションは困難である.③寒冷地におけるバッテリーの問題:計測用PCと受信機が必要なため,より軽量のPCを使用すると,寒さによりPCのバッテリーが持たずに計測不能となる.④カメラ設置の問題:通常は専用カメラで,計測状況を把握するため撮影するが,スキー場のゲレンデでは困難.⑤関節角度の正確性の問題:従来の三次元動作分析装置よりも,特に肩関節の可動域に関しての精度に誤差が大きくみられる.⑥無駄なデータの処理の問題:計測データ以外のデータが多くあったときに,無駄データを削除できない.
<問題点の解決策>約3年間,計測してはデータ欠損など試行錯誤を繰り返し,改善するよう対応した.①センサー設置の問題:被験者の負荷の軽減と精度を上げるため,フィット性の高いセンサー装着用のシャツを作成した.チェアスキーでは,ヘルメット後頭部中央,第1胸椎,第12胸椎,骨盤,上腕骨遠位部×2,前腕遠位部×2,手背×2,大腿前面遠位部×2,下腿前面×2,足背×2とスキー板の計17個を装着する.②キャリブレーションの問題:できるだけ,地磁気や周囲の金属の影響を受けにくい場所を探した上で,誤差5mm程度になるまで移動するが,特に足部への影響が大きいが,足部は麻痺していて動かさないのでデータとしては重要ではないとした.③寒冷地におけるバッテリーの問題:携帯可能な11インチで軽量のPCを購入し,バッテリー容量不足ために,大容量据え置きのポータブル電源とAC電源対応の中容量の携帯用ポータブル電源をPCと一緒に抱えて計測した.④カメラ設置の問題:360度の視野で撮影できるInsta360社製Insta360 ONE X2をフットレストに装着して撮影した.終了後にデータに同期させた.⑤関節角度の正確性の問題:肩関節の可動域に関しての精度に誤差がみられる.肩関節に関しては屈曲外転角度で120度を超えると,10度前後少なくなるため補正をする.⑥無駄なデータの処理の問題:被験者と一緒にゲレンデに行き,計測直前から滑り降りまで一緒に滑り,終了後早急に終了する.できるだけ早く終了することで,データの回復が早くなる.
<今後>現状で,数名のスキーヤーの計測が実施できた.シットスキーは脊髄損傷者や切断者や頸髄損傷者や二分脊椎など様々な障害を持つ人が実施している.様々な障害を持つ人の実際の三次元動作分析を行い,疾患特性や残存機能によって異なる指導が必要となると考えられるため,計測を続けていきたい.
<問題点の抽出>①センサー設置の問題:センサーはスポーツの時は外れるため,バンドで巻いて装着する.そのため,巻くことで外乱となり,運動に制約が生まれる可能性がある.②キャリブレーションの問題:キャリブレーション(初期化)では,センサーが地磁気や周囲の金属の影響を受けやすいため,地面に近い足部のキャリブレーションは困難である.③寒冷地におけるバッテリーの問題:計測用PCと受信機が必要なため,より軽量のPCを使用すると,寒さによりPCのバッテリーが持たずに計測不能となる.④カメラ設置の問題:通常は専用カメラで,計測状況を把握するため撮影するが,スキー場のゲレンデでは困難.⑤関節角度の正確性の問題:従来の三次元動作分析装置よりも,特に肩関節の可動域に関しての精度に誤差が大きくみられる.⑥無駄なデータの処理の問題:計測データ以外のデータが多くあったときに,無駄データを削除できない.
<問題点の解決策>約3年間,計測してはデータ欠損など試行錯誤を繰り返し,改善するよう対応した.①センサー設置の問題:被験者の負荷の軽減と精度を上げるため,フィット性の高いセンサー装着用のシャツを作成した.チェアスキーでは,ヘルメット後頭部中央,第1胸椎,第12胸椎,骨盤,上腕骨遠位部×2,前腕遠位部×2,手背×2,大腿前面遠位部×2,下腿前面×2,足背×2とスキー板の計17個を装着する.②キャリブレーションの問題:できるだけ,地磁気や周囲の金属の影響を受けにくい場所を探した上で,誤差5mm程度になるまで移動するが,特に足部への影響が大きいが,足部は麻痺していて動かさないのでデータとしては重要ではないとした.③寒冷地におけるバッテリーの問題:携帯可能な11インチで軽量のPCを購入し,バッテリー容量不足ために,大容量据え置きのポータブル電源とAC電源対応の中容量の携帯用ポータブル電源をPCと一緒に抱えて計測した.④カメラ設置の問題:360度の視野で撮影できるInsta360社製Insta360 ONE X2をフットレストに装着して撮影した.終了後にデータに同期させた.⑤関節角度の正確性の問題:肩関節の可動域に関しての精度に誤差がみられる.肩関節に関しては屈曲外転角度で120度を超えると,10度前後少なくなるため補正をする.⑥無駄なデータの処理の問題:被験者と一緒にゲレンデに行き,計測直前から滑り降りまで一緒に滑り,終了後早急に終了する.できるだけ早く終了することで,データの回復が早くなる.
<今後>現状で,数名のスキーヤーの計測が実施できた.シットスキーは脊髄損傷者や切断者や頸髄損傷者や二分脊椎など様々な障害を持つ人が実施している.様々な障害を持つ人の実際の三次元動作分析を行い,疾患特性や残存機能によって異なる指導が必要となると考えられるため,計測を続けていきたい.