[OC-1-1] 中等症以下のCOVID-19の高齢患者における入院日数に影響する因子について
【序論】新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)における重症化のリスク因子に関して研究結果が集積され,特定の属性や基礎疾患を有すると重症化リスクが大きくなるとされている.当院において中等症以下の患者に,隔離中からでも感染対策をし機能維持を目的とした介入を行っている.今回,COVID-19で入院しOTを実施した高齢患者の入院日数に影響する因子を検討する.
【目的】中等症以下のCOVID-19患者における予後予測の一因子となり,プログラム立案や目標設定の一助となることを目的とする.
【方法】本研究は後ろ向きコホート研究である.2023年5月から2023年12月の期間にCOVID-19で隔離病棟に入院し,OTを実施した内,75歳未満,死亡例を除外した34名を対象とした.入院中における隔離期間は10日間で隔離期間中でも退院可能としている.入院日数が14日以上を長期群(17名:男性10名,女性7名),14日未満を短期群(17名:男性12名,女性5名)とし2群間で比較検討した.臨床的背景因子として年齢,性別,BMI,介護保険の有無,喫煙歴,入院前katz index,認知症の有無,独居の有無,COVID-19重症度,A-DROP,慢性呼吸器疾患の有無,併存疾患数,入院時SpO2,胸部CT画像における肺炎像の有無,入院時の血液データとして白血球数,Alb,TP,BUN,D-dimer値を調査した.栄養状態の評価としてGNRIを使用し入院時のAlb,体重,標準体重を用いて算出した.さらにOT開始日,離床開始日,経口摂取開始日,初回の食事形態について調査した.SpO2は入院時点での室内気の値とし,重症度分類はCOVID-19診療の手引き第5.3版に遵守した.OT開始日は主治医から処方があり入院日から介入までの日数とした.統計学的分析において単変量解析として2群間の比較には対応のないt検定,連続変数はMann-WhitneyのU検定,カテゴリー変数はχ2検定を用いて比較した.統計解析には「R」Ver.4.0.2を使用し有意水準を5%とした.得られた情報は特定できないよう匿名化し,オプトアウトにより管理し当院倫理委員会にて審査を受け承認を得た(承認番号23-CR01-292).
【結果】両群の入院日数の中央値は14.5日で長期群24日,短期群8日であった.長期群は有意に年齢が高値であった(92歳vs88歳,p=0.02).入院時の肺炎像の有無では(長期群88.2%vs47.0%,p=0.02)で有意に高値であった.リハビリテーションに関する項目ではリハビリテーション開始日(4.0日vs3.0日,p=0.08),初回の食事形態(5vs5,p=0.30)で有意差は認めなかったものの,短期群では有意に離床開始日(2.0日vs1.0日,p=0.03)と経口摂取開始日(2.0日vs1.0日,p=0.02)が短かった.その他COVID-19重症度,A-DROP,併存疾患数などでは有意差は認めなかった.
【考察】本研究の結果,長期群は短期群と比べて年齢は優位に高かったが,入院前のADLや併存疾患,重症度,栄養状態等では有意差を認めなかった.両群間で有意差を認めた肺炎像の有無や離床開始日,経口摂取開始日については以下のことが考えられた.短期群においては入院時の胸部CT所見で肺炎像が無く,呼吸器機能が安定していたことで,早期の経口摂取や離床開始に繋がっていたと考える.COVID-19のCT所見において戌亥は「臨床症状とCTによる肺炎像の重症度は概ね一致して変化するものの,症状が先行し,画像所見が数日遅れて現れる」と述べており,初期に肺炎像がみられなくても重症化リスクを念頭に,医師や看護師等の多職種と連携していく必要があると考えられた.今回,中等症以下のCOVID-19の入院日数に影響する因子について調査したが,十分な検証データが得られたとは言えず,今後も引き続き検討を重ねていきたいと考える.
【目的】中等症以下のCOVID-19患者における予後予測の一因子となり,プログラム立案や目標設定の一助となることを目的とする.
【方法】本研究は後ろ向きコホート研究である.2023年5月から2023年12月の期間にCOVID-19で隔離病棟に入院し,OTを実施した内,75歳未満,死亡例を除外した34名を対象とした.入院中における隔離期間は10日間で隔離期間中でも退院可能としている.入院日数が14日以上を長期群(17名:男性10名,女性7名),14日未満を短期群(17名:男性12名,女性5名)とし2群間で比較検討した.臨床的背景因子として年齢,性別,BMI,介護保険の有無,喫煙歴,入院前katz index,認知症の有無,独居の有無,COVID-19重症度,A-DROP,慢性呼吸器疾患の有無,併存疾患数,入院時SpO2,胸部CT画像における肺炎像の有無,入院時の血液データとして白血球数,Alb,TP,BUN,D-dimer値を調査した.栄養状態の評価としてGNRIを使用し入院時のAlb,体重,標準体重を用いて算出した.さらにOT開始日,離床開始日,経口摂取開始日,初回の食事形態について調査した.SpO2は入院時点での室内気の値とし,重症度分類はCOVID-19診療の手引き第5.3版に遵守した.OT開始日は主治医から処方があり入院日から介入までの日数とした.統計学的分析において単変量解析として2群間の比較には対応のないt検定,連続変数はMann-WhitneyのU検定,カテゴリー変数はχ2検定を用いて比較した.統計解析には「R」Ver.4.0.2を使用し有意水準を5%とした.得られた情報は特定できないよう匿名化し,オプトアウトにより管理し当院倫理委員会にて審査を受け承認を得た(承認番号23-CR01-292).
【結果】両群の入院日数の中央値は14.5日で長期群24日,短期群8日であった.長期群は有意に年齢が高値であった(92歳vs88歳,p=0.02).入院時の肺炎像の有無では(長期群88.2%vs47.0%,p=0.02)で有意に高値であった.リハビリテーションに関する項目ではリハビリテーション開始日(4.0日vs3.0日,p=0.08),初回の食事形態(5vs5,p=0.30)で有意差は認めなかったものの,短期群では有意に離床開始日(2.0日vs1.0日,p=0.03)と経口摂取開始日(2.0日vs1.0日,p=0.02)が短かった.その他COVID-19重症度,A-DROP,併存疾患数などでは有意差は認めなかった.
【考察】本研究の結果,長期群は短期群と比べて年齢は優位に高かったが,入院前のADLや併存疾患,重症度,栄養状態等では有意差を認めなかった.両群間で有意差を認めた肺炎像の有無や離床開始日,経口摂取開始日については以下のことが考えられた.短期群においては入院時の胸部CT所見で肺炎像が無く,呼吸器機能が安定していたことで,早期の経口摂取や離床開始に繋がっていたと考える.COVID-19のCT所見において戌亥は「臨床症状とCTによる肺炎像の重症度は概ね一致して変化するものの,症状が先行し,画像所見が数日遅れて現れる」と述べており,初期に肺炎像がみられなくても重症化リスクを念頭に,医師や看護師等の多職種と連携していく必要があると考えられた.今回,中等症以下のCOVID-19の入院日数に影響する因子について調査したが,十分な検証データが得られたとは言えず,今後も引き続き検討を重ねていきたいと考える.