[OC-2-2] 高齢入院肺炎患者における早期リハビリテーション介入量とADL能力の関連性について
【はじめに】
高齢肺炎患者における呼吸リハビリテーションの早期介入効果について,廃用症候群の予防,認知面に対する効果,在院日数の短縮,ADLの改善が期待できる(瀧澤弥惠,2009)と報告されており,当院においても高齢肺炎患者に対して早期から呼吸リハビリテーションを開始している.しかしリハビリテーションの介入量がADL能力に関連するかどうかは十分に検討されていない.そこで,本研究では,高齢肺炎患者における入院早期のリハビリテーション介入量とADL能力の関連性について検討することを目的とした.
【方法】
対象は平成28年1月から令和5年3月までに当院へ肺炎の診断で入院及び呼吸リハビリテーション介入となった922名の内,65歳未満,死亡例,入院前より寝たきり症例,データ欠損例に該当した患者を除外した396名とした.調査項目は年齢,性別,身長,体重,BMI,CCI,A-DROP,LD,Alb,BUN,Cre,CRP,WBC,Hb,GNRI,リハビリテーション開始日,離床開始日,経口・経腸栄養開始日,抗生剤投与日数,在院日数,転帰先変更率,入院後1週間のリハビリテーション単位数(早期介入量),入院時・退院時FIM,FIM利得,FIM効率を診療録より後方視的に抽出した.統計解析は,まず早期介入量が中央値で10単位以上を高値群,10単位未満を低値群の2群に分類して2群間比較を実施した.次に早期介入量とFIM効率の相関関係をSpearmanの順位相関係数を用いて実施した.最後に運動FIM効率を従属変数とした重回帰分析を実施した.解析には,「EZR」version1.40及び「R」version2.8.1を使用し,いずれの解析においても有意水準は5%とした.
【結果】
2群間比較の結果,高値群の特徴としてBUN,Creが有意に低かった.さらにAlb,Hbが有意に高く,抗生剤投与日数が短かった.また早期リハビリテーション開始及び早期離床開始の割合が多かった.それらのことから入院時,退院時FIMが有意に高く,在院日数の短縮及び転帰先変更率が少なかった.さらに重回帰分析の結果(r2=0.1654,p<0.001),BMI,早期離床の有無,早期栄養開始の有無,抗生剤投与日数,入院時FIMに加えて早期介入量が有意な独立変数として抽出された.各変数間に多重共線性は認められなかった.
【考察】
今回,高齢肺炎患者において,早期離床に加えて早期介入量もADL能力と関連する可能性があるという結果が得られた.先行研究では,肺炎で入院した高齢者の48時間以内の離床はADL能力の維持に重要,早期離床群は離床遅延群よりもとの居住地へ復帰した症例が多い(奥野将太,2020)と報告されており,ADL能力を低下させない上で,早期からのリハビリテーションは重要であると考える.また患者の状態を把握した上で早期からリハビリテーションを介入し,リハビリテーションの量も適切にマネジメントすることが必要であると考える.しかしリハビリテーションの量は患者の全身状態に影響を受けることも考慮する必要があり,早期介入量を増減させる基準を明らかにすることが今後求められると考える.
【倫理的配慮】
本研究は,ヘルシンキ宣言に基づき,データ抽出に際し患者個人が特定できないよう個人情報保護に留意して実施した.また本研究は当院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:20231214-4).
高齢肺炎患者における呼吸リハビリテーションの早期介入効果について,廃用症候群の予防,認知面に対する効果,在院日数の短縮,ADLの改善が期待できる(瀧澤弥惠,2009)と報告されており,当院においても高齢肺炎患者に対して早期から呼吸リハビリテーションを開始している.しかしリハビリテーションの介入量がADL能力に関連するかどうかは十分に検討されていない.そこで,本研究では,高齢肺炎患者における入院早期のリハビリテーション介入量とADL能力の関連性について検討することを目的とした.
【方法】
対象は平成28年1月から令和5年3月までに当院へ肺炎の診断で入院及び呼吸リハビリテーション介入となった922名の内,65歳未満,死亡例,入院前より寝たきり症例,データ欠損例に該当した患者を除外した396名とした.調査項目は年齢,性別,身長,体重,BMI,CCI,A-DROP,LD,Alb,BUN,Cre,CRP,WBC,Hb,GNRI,リハビリテーション開始日,離床開始日,経口・経腸栄養開始日,抗生剤投与日数,在院日数,転帰先変更率,入院後1週間のリハビリテーション単位数(早期介入量),入院時・退院時FIM,FIM利得,FIM効率を診療録より後方視的に抽出した.統計解析は,まず早期介入量が中央値で10単位以上を高値群,10単位未満を低値群の2群に分類して2群間比較を実施した.次に早期介入量とFIM効率の相関関係をSpearmanの順位相関係数を用いて実施した.最後に運動FIM効率を従属変数とした重回帰分析を実施した.解析には,「EZR」version1.40及び「R」version2.8.1を使用し,いずれの解析においても有意水準は5%とした.
【結果】
2群間比較の結果,高値群の特徴としてBUN,Creが有意に低かった.さらにAlb,Hbが有意に高く,抗生剤投与日数が短かった.また早期リハビリテーション開始及び早期離床開始の割合が多かった.それらのことから入院時,退院時FIMが有意に高く,在院日数の短縮及び転帰先変更率が少なかった.さらに重回帰分析の結果(r2=0.1654,p<0.001),BMI,早期離床の有無,早期栄養開始の有無,抗生剤投与日数,入院時FIMに加えて早期介入量が有意な独立変数として抽出された.各変数間に多重共線性は認められなかった.
【考察】
今回,高齢肺炎患者において,早期離床に加えて早期介入量もADL能力と関連する可能性があるという結果が得られた.先行研究では,肺炎で入院した高齢者の48時間以内の離床はADL能力の維持に重要,早期離床群は離床遅延群よりもとの居住地へ復帰した症例が多い(奥野将太,2020)と報告されており,ADL能力を低下させない上で,早期からのリハビリテーションは重要であると考える.また患者の状態を把握した上で早期からリハビリテーションを介入し,リハビリテーションの量も適切にマネジメントすることが必要であると考える.しかしリハビリテーションの量は患者の全身状態に影響を受けることも考慮する必要があり,早期介入量を増減させる基準を明らかにすることが今後求められると考える.
【倫理的配慮】
本研究は,ヘルシンキ宣言に基づき,データ抽出に際し患者個人が特定できないよう個人情報保護に留意して実施した.また本研究は当院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:20231214-4).