[OD-3-3] Dupuytren's Diseaseに対するCompression Splintを用いた保存治療の効果
【背景】Dupuytren's Disease(DD)は,手指MP,PIP関節の屈曲拘縮を特徴とする手の変形を呈する.本邦におけるハンドセラピィとして,術後のスプリント作製は主流であるが,保存治療におけるスプリントの効果は報告が少ない.先行研究として,DD再発例に対して,シリコンエラストマーシートを用いたCompression Splintの有用性が報告されている.本研究では,DD初発症例に対してCompression Splintを用いて保存治療を実施し,可動域改善が得られたため報告する.
【症例紹介】80歳男性.右DD.Meyerding分類Grade1.既往歴両側小指ヘバーデン結節.右利き.当院受診半年前より右小指PIPの屈曲拘縮が徐々に出現し,当院へ受診.小指PIP関節50°の屈曲拘縮があり,手術適応であったが,保存治療を希望したため,受診日より,リハビリ開始となった.
【方法】リハビリ開始時,スプリントを作製した.週に1度リハビリ室に案内し,スプリントの修正と,合併症の有無を確認した.スプリントは,伸展角度の改善が認められるまでは,PIP最大伸展位で日中,夜間問わずできるだけ装着するように指示した.可動域の改善が認められなくなった時点で,日中の装着時間を減らし,最終的には夜間のみ固定とした.評価項目は,MP,PIPの屈曲・伸展Active(A),Passive(P)Range of Motion(ROM),疼痛Visual Analogue Scale(VAS)とした.評価は,開始時と各週に実施した.現在夜間スプリント固定中である.症例に対して,本研究について説明し,同意を得た.
【Compression Splint】Annelien BraunsらのCompression Splintをもとに一部改良しスプリントを作製した.ベースはアクアプラスト2.4mmを使用し,MP関節掌側をフリー,背側面は小指のみMPを覆った.小指は掌側からアルフェンスシーネ(アルフェンス)を当て,最大伸展角度に合わせて調節した.アルフェンスと小指の接触部にはシリコンエラストマーシートをつけた.ベース,MP〜PIP,PIP〜DIPの3点にソフトストラップを装着し,圧迫をかけた.
【結果】装具作製時から11週まで,VAS 0mm,MP関節のROM制限や手指屈曲制限は認められなかった.両側小指DIP伸展ROMは初回から11週の間-30°であった.PIP伸展ROMは開始後5週まで改善を認め,5〜6週目で変化が認められなったため,6週目から夜間のみの固定とした.初回,6週,11週のPIP伸展ROM(A°/P°)は初回-50/-46.6週-20/-18,11週-20/-16であった.フォローアップ期間中は,発赤などの合併症は出現しなかった.
【考察】肥厚性瘢痕やケロイド瘢痕に対するシリコンエラストマーを使用した圧迫療法の効果は,筋線維芽細胞のアポトーシスを誘発し,細胞組織を正常な瘢痕組織に回復させることができると臨床的にも組織学的にも証明されている.また,DD再発例に対するCompression Splintの有用性も証明されている.本研究での,DD初発症例に対しても同様に有用であることが示唆された.本症例は,スプリントの目的や装着時間の遵守ができていたため,効果が認められたが,スプリントの装着時間などの遵守が得られない症例に対しては,効果が認められない可能性がある.Annelien BraunsらによるCompression Splintと本研究のスプリントの変更点として,本研究では,圧迫する部位に対してアルフェンスを使用した.アルフェンスを使用することで簡単に伸展角度を修正することが可能であり,持続的な伸張と圧迫がしやすいと考えている.現在,夜間のみの固定にしてから1ヶ月経過し,可動域の悪化は認められていないが,今後再発の可能性があるため,今後の経過を十分に観察していく予定である.
【症例紹介】80歳男性.右DD.Meyerding分類Grade1.既往歴両側小指ヘバーデン結節.右利き.当院受診半年前より右小指PIPの屈曲拘縮が徐々に出現し,当院へ受診.小指PIP関節50°の屈曲拘縮があり,手術適応であったが,保存治療を希望したため,受診日より,リハビリ開始となった.
【方法】リハビリ開始時,スプリントを作製した.週に1度リハビリ室に案内し,スプリントの修正と,合併症の有無を確認した.スプリントは,伸展角度の改善が認められるまでは,PIP最大伸展位で日中,夜間問わずできるだけ装着するように指示した.可動域の改善が認められなくなった時点で,日中の装着時間を減らし,最終的には夜間のみ固定とした.評価項目は,MP,PIPの屈曲・伸展Active(A),Passive(P)Range of Motion(ROM),疼痛Visual Analogue Scale(VAS)とした.評価は,開始時と各週に実施した.現在夜間スプリント固定中である.症例に対して,本研究について説明し,同意を得た.
【Compression Splint】Annelien BraunsらのCompression Splintをもとに一部改良しスプリントを作製した.ベースはアクアプラスト2.4mmを使用し,MP関節掌側をフリー,背側面は小指のみMPを覆った.小指は掌側からアルフェンスシーネ(アルフェンス)を当て,最大伸展角度に合わせて調節した.アルフェンスと小指の接触部にはシリコンエラストマーシートをつけた.ベース,MP〜PIP,PIP〜DIPの3点にソフトストラップを装着し,圧迫をかけた.
【結果】装具作製時から11週まで,VAS 0mm,MP関節のROM制限や手指屈曲制限は認められなかった.両側小指DIP伸展ROMは初回から11週の間-30°であった.PIP伸展ROMは開始後5週まで改善を認め,5〜6週目で変化が認められなったため,6週目から夜間のみの固定とした.初回,6週,11週のPIP伸展ROM(A°/P°)は初回-50/-46.6週-20/-18,11週-20/-16であった.フォローアップ期間中は,発赤などの合併症は出現しなかった.
【考察】肥厚性瘢痕やケロイド瘢痕に対するシリコンエラストマーを使用した圧迫療法の効果は,筋線維芽細胞のアポトーシスを誘発し,細胞組織を正常な瘢痕組織に回復させることができると臨床的にも組織学的にも証明されている.また,DD再発例に対するCompression Splintの有用性も証明されている.本研究での,DD初発症例に対しても同様に有用であることが示唆された.本症例は,スプリントの目的や装着時間の遵守ができていたため,効果が認められたが,スプリントの装着時間などの遵守が得られない症例に対しては,効果が認められない可能性がある.Annelien BraunsらによるCompression Splintと本研究のスプリントの変更点として,本研究では,圧迫する部位に対してアルフェンスを使用した.アルフェンスを使用することで簡単に伸展角度を修正することが可能であり,持続的な伸張と圧迫がしやすいと考えている.現在,夜間のみの固定にしてから1ヶ月経過し,可動域の悪化は認められていないが,今後再発の可能性があるため,今後の経過を十分に観察していく予定である.