第58回日本作業療法学会

講演情報

一般演題

運動器疾患

[OD-3] 一般演題:運動器疾患 3

2024年11月9日(土) 16:50 〜 18:00 C会場 (107・108)

座長:斎藤 和夫(東京家政大学 健康科学部リハビリテーション学科)

[OD-3-4] 橈骨遠位端骨折術後の動作時疼痛は自主練習遵守を悪くする

櫻井 利康, 山崎 宏, 富井 啓太, 鮎澤 春恵, 岩本 樹 (相澤病院)

【はじめに】
橈骨遠位端骨折術後において自主練習遵守は治療成績に影響する.遵守の指標には外来作業療法の欠席率と自主練習の実施率がある.外来作業療法欠席率の悪化因子には男性,車を所持していない,通院距離が遠いなどが報告されているが,自主練習実施率に関連する患者因子は明らかでない.これを明らかにすることで術後の治療計画や患者指導に役立つことと考える.
【目的】
自主練習実施率に関連する因子を求める.
【対象】
2020年8月から2022年7月に橈骨遠位端骨折で掌側ロッキングプレートを実施した患者128名のうち自主練習実施率が評価できた89名を対象にした.89名のうち女性が71人(80%)であった.
【方法】
術後翌日に自主練習プログラムを指導した.さらに自主練習プログラムを記載した冊子を渡し,6週間,毎日最低3回は行うよう指導した.患者には毎日のプログラム実施回数を記録させた.自主練習実施率は6週間に1日3回以上実施した日の割合とした.調査因子は,年齢,性別,受傷から手術までの日数,利き手受傷,骨折型(関節内・外),高エネルギー外傷,術翌日の手関節掌屈・背屈・回内・回外可動域,術翌日の安静時痛および動作時痛,術翌日の痛みへの破局的思考(Pain Catastrophizing Scale),術前のうつ状態(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)とした.安静時痛および動作時痛はVisual Analogue Scale(VAS)を用いて評価した.自主練習実施率を目的変数とした重回帰分析をおこない,説明変数は調査因子とした.患者情報は匿名化を行い,個人情報を保護した.
【結果】
自主練習実施率は67.8±31.6%であった.
自主練習実施率に術翌日の動作時痛が関連し,痛みが強いほど実施率は低かった(β=-0.26).
【考察】
橈骨遠位端骨折術後において自主練習実施率に術翌日の動作時痛が関連していた.
術後に動作時疼痛が強いと,自主練習を継続実施することが難しいためと考えられた.
術後動作時痛が強い患者には,自主練習だけではなく,外来作業療法を組み合わせたリハビリテ−ションを行う必要があると思われた.