[OD-5-4] 新規開発した手指用圧痛計の信頼性と妥当性に関する検討
【序論】手指の変形性関節症(Hand OA)を対象とした作業療法において痛みの評価は重要なテーマの一つであるが,その定量評価は容易ではない.近年では運動器疼痛疾患において深部組織をターゲットとした機械刺激による評価方法が確立されつつあり,中でも圧痛計による圧痛閾値(Pressure pain threshold:PPT)測定が頻用される(Mohammadreza Amiri 2021)が,Hand OAを対象とした報告は少ない.この理由として,従来の測定機器は評価部位を押圧するプローブ先端が一方向に押圧するものが主流であり,手指の小関節のような立体的で細かな部位では安定した測定が困難であるために臨床応用が進んでいないことが考えられる.本研究の目的は,手指の小関節を対象とした圧痛計を開発し,健常人を対象に信頼性と妥当性を検討することである.
【方法】測定部位を2方向からノギス状に挟むことで小関節を安定して押圧可能なプロトタイプ圧痛計(プロトタイプ)を作製した.押圧するプローブ先端は従来型の測定機器を参考に1㎠の円柱状とした.従来型の測定機器はSB Medic社製Algometer(従来型)とした.健常成人25名(男性13名・平均30[22-43]歳・全例みぎ手利き)の両示指遠位指節間(DIP)関節と両母指手根中手(CM)関節を対象とし,測定値には各部位のPPTを3回測定した平均値を採用した.各測定機器の信頼性についてPPT測定に精通した2名の検者が評価し,検者内信頼性(ICC(1,k))と検者間信頼性(ICC(3,k))を検討した.妥当性は従来型による測定値との関係をPearsonの相関係数を用いて検討した.本研究は当院倫理委員会の承認下に実施した(承認番号2021-121).
【結果】従来型の信頼性はICC(1, k)がDIP関節で0.87,CM関節で0.89,ICC (3, k)がDIP関節で0.77,CM関節で0.88であった.プロトタイプの信頼性はICC (1, k)がDIP関節で0.82,CM関節で0.84,ICC (3, k)がDIP関節で0.89,CM関節で0.87であった.妥当性は何れの検査部位においても有意な正の相関が得られ,DIP関節における相関係数が0.82,CM関節においては0.84であった(P<0.01) .
【考察】Hand OAの痛みは機械刺激に起因する(Michelle Marshall,2018)ことが示されており,圧痛閾値の評価は患部の痛み感受性を反映すると考えられる.今回作製したプロトタイプは2方向から押圧することで安定した測定が可能であり,高い信頼性が確認出来た.また,DIP関節の検者間信頼性はプロトタイプにおいて高い傾向にあり,小関節における有用性が示唆された.妥当性に関しては従来型と同様にプローブを1㎠の円柱状に設計したことで強い相関が得られたと考えられた.今後は,臨床応用に向けて機器の小型化や臨床応用に向けた検討を行う予定である.
【方法】測定部位を2方向からノギス状に挟むことで小関節を安定して押圧可能なプロトタイプ圧痛計(プロトタイプ)を作製した.押圧するプローブ先端は従来型の測定機器を参考に1㎠の円柱状とした.従来型の測定機器はSB Medic社製Algometer(従来型)とした.健常成人25名(男性13名・平均30[22-43]歳・全例みぎ手利き)の両示指遠位指節間(DIP)関節と両母指手根中手(CM)関節を対象とし,測定値には各部位のPPTを3回測定した平均値を採用した.各測定機器の信頼性についてPPT測定に精通した2名の検者が評価し,検者内信頼性(ICC(1,k))と検者間信頼性(ICC(3,k))を検討した.妥当性は従来型による測定値との関係をPearsonの相関係数を用いて検討した.本研究は当院倫理委員会の承認下に実施した(承認番号2021-121).
【結果】従来型の信頼性はICC(1, k)がDIP関節で0.87,CM関節で0.89,ICC (3, k)がDIP関節で0.77,CM関節で0.88であった.プロトタイプの信頼性はICC (1, k)がDIP関節で0.82,CM関節で0.84,ICC (3, k)がDIP関節で0.89,CM関節で0.87であった.妥当性は何れの検査部位においても有意な正の相関が得られ,DIP関節における相関係数が0.82,CM関節においては0.84であった(P<0.01) .
【考察】Hand OAの痛みは機械刺激に起因する(Michelle Marshall,2018)ことが示されており,圧痛閾値の評価は患部の痛み感受性を反映すると考えられる.今回作製したプロトタイプは2方向から押圧することで安定した測定が可能であり,高い信頼性が確認出来た.また,DIP関節の検者間信頼性はプロトタイプにおいて高い傾向にあり,小関節における有用性が示唆された.妥当性に関しては従来型と同様にプローブを1㎠の円柱状に設計したことで強い相関が得られたと考えられた.今後は,臨床応用に向けて機器の小型化や臨床応用に向けた検討を行う予定である.