[OE-2-5] パーキンソン病患者におけるIADLと遂行機能障害との関連の検討
【はじめに】パーキンソン病(以下PD)では安静時振戦,固縮,無動,姿勢反射障害などの運動症状のほかに軽度認知機能障害を含む非運動症状が生じる.なかでも遂行機能障害はPDの発症早期より低下することが報告されており(Kalia, 2015),日常生活場面への影響が懸念される.通所リハを利用する在宅高齢者における生活機能と認知機能を調査した報告(萩原, 2016)では,IADL能力が低い者は情報処理能力,遂行機能の低下が示唆されており,軽度認知機能障害はPDの自宅での活動の阻害因子になることが予想されるが,在宅PD患者のIADLと遂行機能障害の関連については明らかにされていない.そこで,本研究では在宅PD患者のIADLと遂行機能障害の関連を調査した.
【対象と方法】対象は当院にてFrenchay Activities Index (以下FAI)を実施したPD患者137名のうち,日本語版Montreal Cognitive Assessment(以下MoCA-J)21点未満の方を除外した118名とした.対象者をFAIの総得点が低い群(FAI総得点が21点未満:低活動群)と高い群(FAI総得点が21点以上:高活動群)に群分けし,2群間で遂行機能障害症候群の行動評価(BADS)の年齢補正標準化得点について,Mann-Whitney U検定を行った.また,FAIを従属変数,年齢,性別,Hoehn & Yahr stage(以下H&Y),パーキンソン病統一スケール(UPDRS) partⅢ,MoCA-J,BADS年齢補正標準化得点,日本語版Trail Making Test(以下TMT-J) part-A,TMT-J part-Bを説明変数として重回帰分析を行った.統計処理にはいずれもIBM SPSS Statistics ver.24を使用し,有意水準は5%とした.なお,本研究は当院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号2210).
【結果】対象者属性は年齢71.8±8.2歳,男性54名(46%),女性64名(54%),低活動群は57名(年齢72.1±7.7歳,男性30名,女性27名),高活動群は61名(年齢71.4±8.5歳,男性24名,女性37名)であった.2群間においてBADS年齢補正標準化得点は低活動群で有意に低値を示した(p=0.039).また,FAIの決定因子は性別(β=0.245, p=0.030),UPDRS partⅢ(β=-0.258, p=0.030),BADS年齢補正標準化得点(β=0.274, p=0.022)となった.
【考察】PD患者のIADLについて,FAIを用いて活動量で2群に分けて分析した結果,低活動群ではBADS年齢補正標準化得点が有意に低く,FAIの得点には性別,UPDRS partⅢ,BADS年齢補正標準化得点の結果が関連することが示唆された.TaylorらはPDの特徴として,自発的に解決を要求される課題の対応に障害を受けやすく,思考の柔軟性が乏しくなり転換能力に欠如すると報告している.本研究においてもIADL能力と遂行機能の関係が示唆された.
【対象と方法】対象は当院にてFrenchay Activities Index (以下FAI)を実施したPD患者137名のうち,日本語版Montreal Cognitive Assessment(以下MoCA-J)21点未満の方を除外した118名とした.対象者をFAIの総得点が低い群(FAI総得点が21点未満:低活動群)と高い群(FAI総得点が21点以上:高活動群)に群分けし,2群間で遂行機能障害症候群の行動評価(BADS)の年齢補正標準化得点について,Mann-Whitney U検定を行った.また,FAIを従属変数,年齢,性別,Hoehn & Yahr stage(以下H&Y),パーキンソン病統一スケール(UPDRS) partⅢ,MoCA-J,BADS年齢補正標準化得点,日本語版Trail Making Test(以下TMT-J) part-A,TMT-J part-Bを説明変数として重回帰分析を行った.統計処理にはいずれもIBM SPSS Statistics ver.24を使用し,有意水準は5%とした.なお,本研究は当院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号2210).
【結果】対象者属性は年齢71.8±8.2歳,男性54名(46%),女性64名(54%),低活動群は57名(年齢72.1±7.7歳,男性30名,女性27名),高活動群は61名(年齢71.4±8.5歳,男性24名,女性37名)であった.2群間においてBADS年齢補正標準化得点は低活動群で有意に低値を示した(p=0.039).また,FAIの決定因子は性別(β=0.245, p=0.030),UPDRS partⅢ(β=-0.258, p=0.030),BADS年齢補正標準化得点(β=0.274, p=0.022)となった.
【考察】PD患者のIADLについて,FAIを用いて活動量で2群に分けて分析した結果,低活動群ではBADS年齢補正標準化得点が有意に低く,FAIの得点には性別,UPDRS partⅢ,BADS年齢補正標準化得点の結果が関連することが示唆された.TaylorらはPDの特徴として,自発的に解決を要求される課題の対応に障害を受けやすく,思考の柔軟性が乏しくなり転換能力に欠如すると報告している.本研究においてもIADL能力と遂行機能の関係が示唆された.