[OH-2-1] 男子大学生のself-esteemに対する眉毛の整容を行うことの効果
~ランダム化比較試験~
【序論】「自己に対する肯定的または否定的な態度」と定義されるSelf-esteem (SE)の低下は,不安や無気力,抑うつ状態といった心理的状態に繋がる.男性では,成人期以降年齢を重ねるごとにSEが低下していく可能性が報告されている.さらに,SEは自身への不満と不安や抑うつといった否定的感情との関係を媒介する重要な因子であることが示され,それは女性よりも男性において顕著であることが報告されている.そのため,男性のSEを高めることは成人期から取り組むべき重要な課題である.
SEには顔立ちの自己認知が関連する可能性が指摘されており,男性では社交の自己認知もSEに関連することが報告されている.そして,男性の自己への印象には目の周辺部が特に関連するとされる.そこで本研究では,メイク時にも特に重視されるパーツである眉毛の整容に着目した.眉毛の整容は男性でも許容されやすく,取り掛かりやすい生活行為である.このことから,男性が眉毛の整容を実施することは,外見の自己認知を高め,社会との関係性をより明確に認知することに繋がると考えた.そして,美しく(格好良く)なったという実感や社会に受け入れられている実感を得られることで自己をより肯定的に捉え,SEの向上に繋がると仮定した.
【目的】眉毛の整容が男子大学生のSE向上効果を有するかどうかについて明らかにすることを目的とした.
【方法】本研究は,2022年9月~11月の期間に,普段眉毛の整容を行っていない男子大学生16名を対象として実施した.対象者は,介入群8名と対照群8名にランダムに振り分けられた.基本的特性として,年齢,ファッションや美容への興味の有無,髪型へのこだわりの有無などのデータを収集した.評価には,SEを測定する尺度であるRosenberg's Self Esteem Scale(RSES) を用いた(得点範囲は10~50点,高いほどSEが高い).介入群は対象者に見本となる5種類の眉毛の形(標準眉のプロポーション)を提示し,40分程度の指導を1度に実施した.そして本人が納得した眉毛の形状を保つことを眉毛の整容として1か月間実施した.対照群は普段の生活を継続した.評価解析では,介入前後のRSESの変化量を目的変数とし,説明変数を介入の有無,共変量をベースラインのRSESとした共分散分析をベイズ統計により実施した(95%ベイズ信頼区間が0を含まない場合に有意と解釈される).
【倫理的配慮】本研究は研究倫理審査委員会の承認を得ており,対象者には書面を用いて研究について説明し,同意を得た.
【結果】両群の対象者特性に差は認めなかった.介入群の実施率は100%であり,ドロップアウト,有害事象は無かった.RSESの介入前得点は,介入群=28.38,対照群=33.75,介入後得点は介入群=32.38 対照群=31.13となり,変化量(平均:介入群=4.00, 対照群=-2.62)において有意差を認めた(事後期待値=6.15, 95%ベイズ信頼区間[1.32, 10.95]).
【考察】介入群の男子大学生は,介入によって納得のいく眉毛の整容が行われたことで,自己の顔立ちに対する印象が変わり,自己認知も好ましく印象付けられ,SEが高まったと考えられた.男子大学生のSE向上の為の対策として,眉毛の整容を実施することが有用である可能性が示唆された.今後は長期的な介入の効果や大学生以外の成人男性や高齢者に対する有効性も検証していく必要がある.
SEには顔立ちの自己認知が関連する可能性が指摘されており,男性では社交の自己認知もSEに関連することが報告されている.そして,男性の自己への印象には目の周辺部が特に関連するとされる.そこで本研究では,メイク時にも特に重視されるパーツである眉毛の整容に着目した.眉毛の整容は男性でも許容されやすく,取り掛かりやすい生活行為である.このことから,男性が眉毛の整容を実施することは,外見の自己認知を高め,社会との関係性をより明確に認知することに繋がると考えた.そして,美しく(格好良く)なったという実感や社会に受け入れられている実感を得られることで自己をより肯定的に捉え,SEの向上に繋がると仮定した.
【目的】眉毛の整容が男子大学生のSE向上効果を有するかどうかについて明らかにすることを目的とした.
【方法】本研究は,2022年9月~11月の期間に,普段眉毛の整容を行っていない男子大学生16名を対象として実施した.対象者は,介入群8名と対照群8名にランダムに振り分けられた.基本的特性として,年齢,ファッションや美容への興味の有無,髪型へのこだわりの有無などのデータを収集した.評価には,SEを測定する尺度であるRosenberg's Self Esteem Scale(RSES) を用いた(得点範囲は10~50点,高いほどSEが高い).介入群は対象者に見本となる5種類の眉毛の形(標準眉のプロポーション)を提示し,40分程度の指導を1度に実施した.そして本人が納得した眉毛の形状を保つことを眉毛の整容として1か月間実施した.対照群は普段の生活を継続した.評価解析では,介入前後のRSESの変化量を目的変数とし,説明変数を介入の有無,共変量をベースラインのRSESとした共分散分析をベイズ統計により実施した(95%ベイズ信頼区間が0を含まない場合に有意と解釈される).
【倫理的配慮】本研究は研究倫理審査委員会の承認を得ており,対象者には書面を用いて研究について説明し,同意を得た.
【結果】両群の対象者特性に差は認めなかった.介入群の実施率は100%であり,ドロップアウト,有害事象は無かった.RSESの介入前得点は,介入群=28.38,対照群=33.75,介入後得点は介入群=32.38 対照群=31.13となり,変化量(平均:介入群=4.00, 対照群=-2.62)において有意差を認めた(事後期待値=6.15, 95%ベイズ信頼区間[1.32, 10.95]).
【考察】介入群の男子大学生は,介入によって納得のいく眉毛の整容が行われたことで,自己の顔立ちに対する印象が変わり,自己認知も好ましく印象付けられ,SEが高まったと考えられた.男子大学生のSE向上の為の対策として,眉毛の整容を実施することが有用である可能性が示唆された.今後は長期的な介入の効果や大学生以外の成人男性や高齢者に対する有効性も検証していく必要がある.