[OI-1-5] 特別支援学校で働く作業療法士に必要とされるコンピテンシーの検討
<背景・目的>近年,全国各地の特別支援学校では教員の専門性の向上, 自立活動の充実を目的に, 理学療法士, 作業療法士(以下OT), 言語聴覚士等の専門家の活用が活発化している. 学校や教育委員会からの依頼に基づき学校訪問支援を行う外部専門家が一般的ではあるが, 特別支援学校に常勤職員として働く内部専門家とも言うべきOTも少なからず存在し, OTの活用のあり方や業務内容は各自治体の方針により異なる. 学校という場で教員と協働し, 子どもたちを支援するためには,「学校」という枠組みの中でOTの専門性を発揮することが求められており, 特別支援学校で働くには医療現場で必要とされるOTとしての能力に加え, プラスアルファのスキルが必要であると考えられる. 先行研究の中には学校現場で求められるOT像に触れられているものもあるが, コンピテンシーに着目し, 検討したものは見当たらない. そこで今回は特別支援学校で働くOTに必要とされるコンピテンシーについて検討したい.
<方法>特別支援学校で働く内部専門家, 外部専門家を対象に半構造化面接を行い, 基本属性, 特別支援学校での業務内容, 学校で働くOTに必要な力について尋ねた. 得られた音声データはテキストデータに変換し, KHコーダーを用いて計量テキスト分析を行った.
<倫理的配慮>本研究はA大学倫理審査委員会の承認を得て実施した.
<結果>内部専門家18名, 外部専門家16名の協力が得られた. 「学校で働くOTに必要であると思われる力」について尋ね, 得られた回答から内部専門家, 外部専門家, それぞれに共起ネットワークを作成し, 出現した語についてKWIC コンコンダースで前後の文脈を確認したところ, コンピテンシーを示すと思われるキーワードが「必要」, 「大事」, 「スキル」, 「力」の前後に出現していた. 出現したキーワードを2名のOTで類似性に基づきカテゴリー分類したところ「OT としてのスキル」, 「コミュニケーション力」, 「柔軟性」, 「学校特有のスキル」が内部専門家, 外部専門家に共通して抽出された. 内部専門家, 外部専門家のいずれも「OTとしてのスキル」の頻度が共通して最も高かったが, 内部専門家では「学校特有のスキル」が, 外部専門家では「コミュニケーション能力」が2番目に高かった.
<考察>特別支援学校で必要とされるコンピテンシーについては内部専門家, 外部専門家ともに「OTとしてのスキル」を最も重視していることが示唆された. 「OTとしてのスキル」は教員に具体的な提案をする際の原資となるもので,治療の場ではない学校で働くにあたっても最も必要となると考えられていることがうかがわれた. 「OTとしてのスキル」についで内部専門家は「学校特有のスキル」を, 外部専門家は「コミュニケーション能力」をより重要視していることがうかがえた. 特別支援学校での働き方による業務内容や期待される役割の違いが, 必要とされるコンピテンシーの重要度の違いに現れているものと考えられた.
<結論>特別支援学校で働くOTのコンピテンシーとしては, 「OTとしてのスキル」の他に, 「コミュニケーション能力」, 「柔軟性」, 「学校特有のスキル」が必要であることがわかった. いずれも特別支援学校で働くOTには欠かせないコンピテンシーであるが, 内部専門家では「学校特有のスキル」が, 外部専門家では「コミュニケーション能力」が特に重要であると考えられていることが示唆された.
<助成金情報>本研究は株式会社三輪書店第15回作業療法ジャーナル研究助成を受けて実施した.
<方法>特別支援学校で働く内部専門家, 外部専門家を対象に半構造化面接を行い, 基本属性, 特別支援学校での業務内容, 学校で働くOTに必要な力について尋ねた. 得られた音声データはテキストデータに変換し, KHコーダーを用いて計量テキスト分析を行った.
<倫理的配慮>本研究はA大学倫理審査委員会の承認を得て実施した.
<結果>内部専門家18名, 外部専門家16名の協力が得られた. 「学校で働くOTに必要であると思われる力」について尋ね, 得られた回答から内部専門家, 外部専門家, それぞれに共起ネットワークを作成し, 出現した語についてKWIC コンコンダースで前後の文脈を確認したところ, コンピテンシーを示すと思われるキーワードが「必要」, 「大事」, 「スキル」, 「力」の前後に出現していた. 出現したキーワードを2名のOTで類似性に基づきカテゴリー分類したところ「OT としてのスキル」, 「コミュニケーション力」, 「柔軟性」, 「学校特有のスキル」が内部専門家, 外部専門家に共通して抽出された. 内部専門家, 外部専門家のいずれも「OTとしてのスキル」の頻度が共通して最も高かったが, 内部専門家では「学校特有のスキル」が, 外部専門家では「コミュニケーション能力」が2番目に高かった.
<考察>特別支援学校で必要とされるコンピテンシーについては内部専門家, 外部専門家ともに「OTとしてのスキル」を最も重視していることが示唆された. 「OTとしてのスキル」は教員に具体的な提案をする際の原資となるもので,治療の場ではない学校で働くにあたっても最も必要となると考えられていることがうかがわれた. 「OTとしてのスキル」についで内部専門家は「学校特有のスキル」を, 外部専門家は「コミュニケーション能力」をより重要視していることがうかがえた. 特別支援学校での働き方による業務内容や期待される役割の違いが, 必要とされるコンピテンシーの重要度の違いに現れているものと考えられた.
<結論>特別支援学校で働くOTのコンピテンシーとしては, 「OTとしてのスキル」の他に, 「コミュニケーション能力」, 「柔軟性」, 「学校特有のスキル」が必要であることがわかった. いずれも特別支援学校で働くOTには欠かせないコンピテンシーであるが, 内部専門家では「学校特有のスキル」が, 外部専門家では「コミュニケーション能力」が特に重要であると考えられていることが示唆された.
<助成金情報>本研究は株式会社三輪書店第15回作業療法ジャーナル研究助成を受けて実施した.