[OI-2-3] 通所支援事業所における児童の神経発達症特性における併存の関連
~ SCQ とADHD-RS- Ⅳの相関分析~
【背景と目的】
神経発達症は,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD),注意欠如・多動症(attention deficit hyperactivity disorder:ADHD),限局性学習症(specific learning disorder : SLD)発達性協調運動症 (developmental coordination disorder : DCD ) などがお互いに併存していることが多く,それぞれ重なり合って様々な病態を示すことが知られている.実際の臨床現場においても複数の特徴をもつ症例が少なからず存在し,両疾患の相違点や類似点を鑑別することは神経発達症の早期介入に不可欠であるが,記入式評価尺度を用いて臨床症状の検討をした論文は少ない.本報告では,両者の臨床的な相違点や類似点を検討するため,当事業所の通所支援利用者において最も多い神経発達症であるASD児において,自閉症症状の程度を評価する自閉症スペクトラム指数(Social Communication Questionnaire:SCQ)とADHD 症状の程度を評価するADHD 評価スケール(ADHD Rating Scale-Ⅳ:ADHD-RS-Ⅳ)を用いた記入式評価尺度を用いて,臨床症状の分析を実施した.
【方法】
対象は,当事業所に通所しており,ASDの診断を受けている児童38名(男34名,平均年齢8.2歳±1.8)の保護者にSCQとADHD-RS-Ⅳへの記載を依頼し,SCQ得点,ADHD-RS-Ⅳ得点を算出し,相関分析を実施した.有意水準は5%未満とした.SCQにおいては合計得点とADHD-RS-Ⅳにおいては衝動性-多動性項目の得点,不注意の得点,合計得点の4項目を変数とした.
【結果】
SCQ合計得点とADHD-RS-Ⅳ衝動性-多動性得点,ADHD-RS-Ⅳ衝動性−多動性得点とADHD-RS-Ⅳ不注意得点,さらに,SCQ合計得点とADHD-RS-Ⅳ合計得点の間に有意な相関関係を認めた.このように当事業所で通所支援を実施しているASD児においてもADHD 特性を認める児童が少なからず存在することが判明した.
【考察】
当事業所におけるASD児の中にもADHD特性が認められる児が多く存在しており,ASDにおける社会的コミュニケーション障害の他に,ADHDにおける不注意や衝動性,多動性による社会生活における困難感が存在していることが示唆された.本報告では,社会生活における困難感の調査には至っていないことを考慮し,有効な支援を実施するために更に活動・参加レベルにおける調査を実施する必要がある.
神経発達症は,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD),注意欠如・多動症(attention deficit hyperactivity disorder:ADHD),限局性学習症(specific learning disorder : SLD)発達性協調運動症 (developmental coordination disorder : DCD ) などがお互いに併存していることが多く,それぞれ重なり合って様々な病態を示すことが知られている.実際の臨床現場においても複数の特徴をもつ症例が少なからず存在し,両疾患の相違点や類似点を鑑別することは神経発達症の早期介入に不可欠であるが,記入式評価尺度を用いて臨床症状の検討をした論文は少ない.本報告では,両者の臨床的な相違点や類似点を検討するため,当事業所の通所支援利用者において最も多い神経発達症であるASD児において,自閉症症状の程度を評価する自閉症スペクトラム指数(Social Communication Questionnaire:SCQ)とADHD 症状の程度を評価するADHD 評価スケール(ADHD Rating Scale-Ⅳ:ADHD-RS-Ⅳ)を用いた記入式評価尺度を用いて,臨床症状の分析を実施した.
【方法】
対象は,当事業所に通所しており,ASDの診断を受けている児童38名(男34名,平均年齢8.2歳±1.8)の保護者にSCQとADHD-RS-Ⅳへの記載を依頼し,SCQ得点,ADHD-RS-Ⅳ得点を算出し,相関分析を実施した.有意水準は5%未満とした.SCQにおいては合計得点とADHD-RS-Ⅳにおいては衝動性-多動性項目の得点,不注意の得点,合計得点の4項目を変数とした.
【結果】
SCQ合計得点とADHD-RS-Ⅳ衝動性-多動性得点,ADHD-RS-Ⅳ衝動性−多動性得点とADHD-RS-Ⅳ不注意得点,さらに,SCQ合計得点とADHD-RS-Ⅳ合計得点の間に有意な相関関係を認めた.このように当事業所で通所支援を実施しているASD児においてもADHD 特性を認める児童が少なからず存在することが判明した.
【考察】
当事業所におけるASD児の中にもADHD特性が認められる児が多く存在しており,ASDにおける社会的コミュニケーション障害の他に,ADHDにおける不注意や衝動性,多動性による社会生活における困難感が存在していることが示唆された.本報告では,社会生活における困難感の調査には至っていないことを考慮し,有効な支援を実施するために更に活動・参加レベルにおける調査を実施する必要がある.