第58回日本作業療法学会

講演情報

一般演題

高齢期 /内科疾患

[OJ-3] 一般演題:高齢期 3/内科疾患 1 

2024年11月10日(日) 09:40 〜 10:40 F会場 (201・202)

座長:本家 寿洋(北海道医療大学)

[OJ-3-1] 回復期リハビリテーション病棟患者における入院時の栄養指標から退院先を予測する

西川 葵1, 木山 喜史1, 辻 優布子1, 李 範爽2 (1.医療法人尚豊会みたき総合病院, 2.群馬大学大学院保健学研究科)

【はじめに】
令和4年度診療報酬改定により,回復期リハビリテーション病棟(以下回リハ病棟)では,重症患者の割合や実績指数が求められるようになり,重症患者の効率的な回復や在宅復帰を重視した介入が求められている.そのため入院時から様々な指標を用いて,退院時のADLや転帰先の予後予測を検討した研究が多く報告されている.しかしながら,入院時栄養状態が転帰先決定に及ぼす影響については十分に検討されていない.本研究の目的は,転帰先予測指標としての栄養指標の有用性を検討することであった.
【方法】
対象は2022年1月から2023年12月の間に当院回リハ病棟に入棟した患者287名のうちデータ欠損や死亡退院を除外した272名を自宅退院群と施設退院群の2群に分けた.入院時のデータとして,基本情報(年齢,性別,算定疾患,在院日数),栄養に関する3項目(Body Mass Index,Alb値,Geriatric Nutritional Risk Index : GNRI,ADL指標(Functional Independence Measure : FIM),転帰先を収集した.従属変数は転帰先,独立変数をBMI,Alb値,GNRIとしたロジスティック回帰分析を行った.BMIは日本肥満学会が示している適正体重とする22から引いた差の値を統計解析の際に使用した.ロジスティック回帰分析で転帰先と栄養指標の関連が認められた場合,ROC解析でカットオフ値を算出した.統計処理にはSPSS Ver. 25.0を用いた.本報告に際し,当院倫理審査委員会の承認を得,個人情報保護に配慮した.
【結果】
対象者の平均年齢は77.42±11.71歳,男性93名,女性179名,自宅退院群と施設退院群では年齢,在院日数,BMI,Alb値,GNRI,FIM得点で有意な差を認めた(p<0.05).ロジスティック回帰分析の結果,GNRIが転帰先に有意に関連する結果となった(オッズ比:0.93,95%信頼区間:0.90‐0.96,p<0.05).ROC曲線の結果,GNRIのカットオフ値は94.1,AUCは0.702,感度51.7%,特異度15.9%であった.
【考察】
 本研究からGNRIが転帰先を予測する因子となりうることが明らかとなった.栄養指標は,入院時から検査されており計算式に入力することで容易に求めることができる.そのため早期から退院支援に向けた介入を多職種と共有しながら進めることができる可能性が示唆された.