[OJ-4-3] 認知症を呈した高齢男性に対し,認知関連行動アセスメントを活用した他職種連携により経口摂取を獲得した事例
【はじめに】認知症を呈し,経鼻胃管(以下,nasogastric tube:NG)の自己抜去を繰り返す高齢男性に,認知関連行動アセスメント(以下,CBA)を活用し,理学療法士(以下,PT),作業療法士(以下,OT),言語聴覚士(以下,ST)のリハビリテーションチーム(以下,リハチーム),看護師(以下,Ns)で連携し介入した.結果,3食経口摂取獲得し,NGを抜去することができた.本報告の目的は,CBAの結果を考慮した他職種連携が,経口摂取の獲得に有用であったことを考察し,今後の作業療法の一助とすることである.尚,本報告において,家族より口頭及び書面にて同意を得ている.
【事例紹介】A氏は,70代男性でアルツハイマー型認知症にてB病院入院中に転倒.左大腿骨頸部骨折と診断されC病院へ転院.X年Y-2月に手術施行.その後,意識レベル低下あり尿路感染症と診断受けD病院へ転院.全身状態安定し,リハビリテーションのためY月,当院入院.尚,本報告において初回介入日を1病日とする.
【初期評価と作業療法計画】CBAが8点(意識2感情1注意2記憶1判断1病識1).心身機能は,全身耐久性低下と離床時の血圧低下,MMSE0点であった.活動・参加においては,FIM25点(運動項目13点・認知項目12点)で食事はNG,排泄はバルーンカテーテル,オムツ内排便,移動はリクライニング車椅子で移動していた.基本臥床しており,NGを4回自己抜去した.自発語はなく,話しかけた際は1,2語文だと理解可能で,それ以上になると黙っていることが多かった.そこで,CBAの結果をリハチーム,Nsで共有し,目標を,覚醒向上により3食経口摂取獲得し,NG抜去することとした.
【経過】CBAの結果をPT,Nsと共有し,まず意識に対して介入した.1病日より車椅子離床,基本動作訓練を開始したが,起居時の血圧低下が認められた.15病日頃には,バイタル安定し,60分以上の離床が可能となった(意識3).意識が向上したため経口摂取へ向け,STに相談し,16病日にVE・VFを実施した.17病日よりベッドアップ15度,濃いとろみ水,Kスプーン介助にて直接嚥下訓練開始した.経過良好であり,30病日から昼食のみ,ミキサー食の提供を開始し,介助にて摂取していた.STが主治医と相談し,31病日,NGを抜去,した.このころより,意識4感情2注意3と向上し,自力摂取へ向けた模擬動作訓練の実施が可能となった.40病日,60度にてキザミ食を自力摂取にて3食開始し,全量自力摂取可能となった.さらに食事に対し,「おいしい」といった発言や自発的な発語が増えていった(感情3注意3判断2).50病日にはNsと相談し,食事に対しての介入は終了.病棟スタッフでの見守りと食堂への誘導を移行し,普通椅子にて自力摂取可能となった.以降,経口からの栄養充足しており,NGの再挿入なく経過した.
【結果】CBA14点(意識4感情3注意3記憶1判断2病識1)へ向上.FIMは44点(運動項目29点・認知項目15点)で,食事は3食経口自力摂取,移動はサークル歩行または独歩軽介助となった.促しにより新聞や家族が持参した間食を摂取し,離床時間が拡大した.MMSEは0点だが,自発語が増え,多患へ挨拶をすることもあった.
【考察】鬼頭らは,経管栄養から離脱のためのチーム医療の重要性において,FIM運動と認知,CBA,摂食嚥下評価を適切に行い,PT,OT,STによるリハ,NSTやリハ専門医と多くの医療スタッフを活用することが原点になると述べている.今回,CBAを活用したことで,他職種でも理解しやすく,連携が円滑に進み,それぞれの役割が明確になることでFIMやCBAが改善し,経口摂取の獲得に至ることができたと考える.さらに,認知機能の低下などにより意思表示が困難なクライアントに対しても,CBAを活用することで,クライアントの状況に合わせた段階的なアプローチが可能となると考える.
【事例紹介】A氏は,70代男性でアルツハイマー型認知症にてB病院入院中に転倒.左大腿骨頸部骨折と診断されC病院へ転院.X年Y-2月に手術施行.その後,意識レベル低下あり尿路感染症と診断受けD病院へ転院.全身状態安定し,リハビリテーションのためY月,当院入院.尚,本報告において初回介入日を1病日とする.
【初期評価と作業療法計画】CBAが8点(意識2感情1注意2記憶1判断1病識1).心身機能は,全身耐久性低下と離床時の血圧低下,MMSE0点であった.活動・参加においては,FIM25点(運動項目13点・認知項目12点)で食事はNG,排泄はバルーンカテーテル,オムツ内排便,移動はリクライニング車椅子で移動していた.基本臥床しており,NGを4回自己抜去した.自発語はなく,話しかけた際は1,2語文だと理解可能で,それ以上になると黙っていることが多かった.そこで,CBAの結果をリハチーム,Nsで共有し,目標を,覚醒向上により3食経口摂取獲得し,NG抜去することとした.
【経過】CBAの結果をPT,Nsと共有し,まず意識に対して介入した.1病日より車椅子離床,基本動作訓練を開始したが,起居時の血圧低下が認められた.15病日頃には,バイタル安定し,60分以上の離床が可能となった(意識3).意識が向上したため経口摂取へ向け,STに相談し,16病日にVE・VFを実施した.17病日よりベッドアップ15度,濃いとろみ水,Kスプーン介助にて直接嚥下訓練開始した.経過良好であり,30病日から昼食のみ,ミキサー食の提供を開始し,介助にて摂取していた.STが主治医と相談し,31病日,NGを抜去,した.このころより,意識4感情2注意3と向上し,自力摂取へ向けた模擬動作訓練の実施が可能となった.40病日,60度にてキザミ食を自力摂取にて3食開始し,全量自力摂取可能となった.さらに食事に対し,「おいしい」といった発言や自発的な発語が増えていった(感情3注意3判断2).50病日にはNsと相談し,食事に対しての介入は終了.病棟スタッフでの見守りと食堂への誘導を移行し,普通椅子にて自力摂取可能となった.以降,経口からの栄養充足しており,NGの再挿入なく経過した.
【結果】CBA14点(意識4感情3注意3記憶1判断2病識1)へ向上.FIMは44点(運動項目29点・認知項目15点)で,食事は3食経口自力摂取,移動はサークル歩行または独歩軽介助となった.促しにより新聞や家族が持参した間食を摂取し,離床時間が拡大した.MMSEは0点だが,自発語が増え,多患へ挨拶をすることもあった.
【考察】鬼頭らは,経管栄養から離脱のためのチーム医療の重要性において,FIM運動と認知,CBA,摂食嚥下評価を適切に行い,PT,OT,STによるリハ,NSTやリハ専門医と多くの医療スタッフを活用することが原点になると述べている.今回,CBAを活用したことで,他職種でも理解しやすく,連携が円滑に進み,それぞれの役割が明確になることでFIMやCBAが改善し,経口摂取の獲得に至ることができたと考える.さらに,認知機能の低下などにより意思表示が困難なクライアントに対しても,CBAを活用することで,クライアントの状況に合わせた段階的なアプローチが可能となると考える.