[OK-3-5] 回復期リハビリテーション病棟における認知症併存患者に対する小集団活動の効果
【序論】
回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ病棟)には,認知症併存患者が入院している.その多くは,急激な環境や身体機能の変化から行動・心理症状(BPSD)が増悪し,リハビリテーション介入を難渋にしている.そこで本研究では,他者交流やポジティブな感情の増加が期待できる小集団活動を当院回復期リハ病棟で実施した.
【目的】
認知症併存患者に実施した小集団活動の効果をshort QOL-Dの前後比較から検討し,小集団活動がBPSDに及ぼす影響を後方視的に分析する.
【方法】
対象は回復期リハ1病棟に入院する15名(男性8名),年齢(中央値)83歳,疾患は脳血管2名,高次脳11名,整形1名,廃用症候群1名であった.取り込み基準は,1)入院時MMSE23点以下,2)入院1ヶ月以上経過,3)せん妄症状なし,4) Neuropsychiatric Inventory Nursing Home Version( NPI-NH)項目でBPSDあり,5)集団活動に対して参加の表明ができる方とした.活動内容は,対象者の活動能力をプール活動レベル(The Pool Activity Level;PAL)で評価し,対象者に合わせた内容(体操・歌唱・ミニゲーム)でそれぞれ実施した.場面設定は小集団(OTを含む9-10名)とした.介入頻度は,週3回,1回40分で実施した.評価方法は,認知機能とBPSDについてMMSEとNPI-NH,QOL評価をshort version of quality of life questionnaire for dementia(short QOL-D),日常生活動作能力はFIM (運動項目:mFIM,認知項目:cFIM)で評価した.評価時期は小集団活動の導入前と導入1ヶ月後に実施した.統計学的解析は小集団活動の評価結果を前後比較でWilcoxon符号付順位和検定を実施し,効果量(r)の基準は小0.1,中0.3,大0.5とした.有意水準は5%とした.
【倫理的配慮とCOI(利益相反)の開示】
本研究は委員倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:546).また,演題発表内容に関連し開示すべきCOI関係にある企業等はない.
【結果】
前後比較として,認知機能は,MMSE(pre:14.5[11.0-18.5],post:13.5[5.5-20.0],p=0.60,r=0.09 ),BPSDは,NPI-NH重症度(pre:8.0[3.5-15.5],post:4.0[0.5-10.0],p=0.06,r=0.38),NPI-NH負担度(pre:5.0[3.0-7.0],post:3.0[0.5-4.0],p=0.07,r=0.32 )であった.QOL評価は,short QOL-D(pre:24[21-29],post:30[27.5-31.5],p=0.02,r=0.41),mFIM(pre:42[34-52],post:55[39-59],p=0.005,r=0.51),cFIM(pre:15[12 -17],post:15[13-19],p=0.11,r=0.11)であった.統計学的有意差はShort QOL-DとmFIMにあり,効果量中以上はNPI-NH(重症度/負担度),short-QOL,mFIMに認められた.
【考察】
本結果は,short QOL-DとmFIMに有意差が認められた.認知症併存患者に対する小集団活動は,場所や人の慣れない環境の中で生じた不安に対し,その場の共有や対人交流が促進され安心感を提供する役割となり,認知症併存患者に対する心理的ケアに繋がった可能性があると考える.
回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ病棟)には,認知症併存患者が入院している.その多くは,急激な環境や身体機能の変化から行動・心理症状(BPSD)が増悪し,リハビリテーション介入を難渋にしている.そこで本研究では,他者交流やポジティブな感情の増加が期待できる小集団活動を当院回復期リハ病棟で実施した.
【目的】
認知症併存患者に実施した小集団活動の効果をshort QOL-Dの前後比較から検討し,小集団活動がBPSDに及ぼす影響を後方視的に分析する.
【方法】
対象は回復期リハ1病棟に入院する15名(男性8名),年齢(中央値)83歳,疾患は脳血管2名,高次脳11名,整形1名,廃用症候群1名であった.取り込み基準は,1)入院時MMSE23点以下,2)入院1ヶ月以上経過,3)せん妄症状なし,4) Neuropsychiatric Inventory Nursing Home Version( NPI-NH)項目でBPSDあり,5)集団活動に対して参加の表明ができる方とした.活動内容は,対象者の活動能力をプール活動レベル(The Pool Activity Level;PAL)で評価し,対象者に合わせた内容(体操・歌唱・ミニゲーム)でそれぞれ実施した.場面設定は小集団(OTを含む9-10名)とした.介入頻度は,週3回,1回40分で実施した.評価方法は,認知機能とBPSDについてMMSEとNPI-NH,QOL評価をshort version of quality of life questionnaire for dementia(short QOL-D),日常生活動作能力はFIM (運動項目:mFIM,認知項目:cFIM)で評価した.評価時期は小集団活動の導入前と導入1ヶ月後に実施した.統計学的解析は小集団活動の評価結果を前後比較でWilcoxon符号付順位和検定を実施し,効果量(r)の基準は小0.1,中0.3,大0.5とした.有意水準は5%とした.
【倫理的配慮とCOI(利益相反)の開示】
本研究は委員倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:546).また,演題発表内容に関連し開示すべきCOI関係にある企業等はない.
【結果】
前後比較として,認知機能は,MMSE(pre:14.5[11.0-18.5],post:13.5[5.5-20.0],p=0.60,r=0.09 ),BPSDは,NPI-NH重症度(pre:8.0[3.5-15.5],post:4.0[0.5-10.0],p=0.06,r=0.38),NPI-NH負担度(pre:5.0[3.0-7.0],post:3.0[0.5-4.0],p=0.07,r=0.32 )であった.QOL評価は,short QOL-D(pre:24[21-29],post:30[27.5-31.5],p=0.02,r=0.41),mFIM(pre:42[34-52],post:55[39-59],p=0.005,r=0.51),cFIM(pre:15[12 -17],post:15[13-19],p=0.11,r=0.11)であった.統計学的有意差はShort QOL-DとmFIMにあり,効果量中以上はNPI-NH(重症度/負担度),short-QOL,mFIMに認められた.
【考察】
本結果は,short QOL-DとmFIMに有意差が認められた.認知症併存患者に対する小集団活動は,場所や人の慣れない環境の中で生じた不安に対し,その場の共有や対人交流が促進され安心感を提供する役割となり,認知症併存患者に対する心理的ケアに繋がった可能性があると考える.