[OL-1-2] 作業療法士が考える「いい自助具」とは何か
~ KJ 法を用いた分類~
【序論】
平成医療福祉グループ(以下,HMW)は,対象者のニーズに沿って適切な自助具を提案できる作業療法士(以下,OT)の育成に取り組んでおり,HMWで発足したOT推進チームでは自助具や福祉用具の情報発信として,既製の自助具や手づくりの自助具を紹介するコンテンツを発信している.
我々が過去に行った自助具に関するアンケート調査において,HMW所属のOTは既製品の自助具を用いている傾向にあり,自助具選びで重視する点に関しては,「安全性」や「アフターフォローが行いやすい」という意見が最多であった.自由記述での一問一答形式のアンケートでは「安全性」等の自助具の管理・運営上の要素が重要視されている一方で,対象者のニーズに沿った「いい自助具」の定義は多岐にわたる.「いい自助具」を提供できるOTを育成する為にグループ内での情報共有の充実に向けて臨床のOTが自助具を選ぶ際に考える要素の全容を捉える必要がある.
【目的】
OTが考える安全性・耐久性以外の「いい自助具」の要素を明らかにし,今後の情報発信の一助とする.
【方法】
HMW所属のOT16名に対し,ブレインストーミングの方法の一つであるKJ 法(川喜田二郎,1970)を用いてスモールグループディスカッション(smallgroupdiscussion;SGD)を開催した.SGDは,Googleスライドを用いてオンライン上(Google Meet)で実施し,SGD内で出たキーワードにおいて関連するものでグループを編成した.倫理的配慮として,今回のSGDの目的,方法ならびにSGDに参加しなくとも職務上の不利益とならないことを保証する旨を書面で説明し,同意を得た.
【結果】
KJ 法による検討の結果,27個のキーワードが抽出された.また,グループ編成の結果,「再現性」「ノンストレス」「外見」「利便性」「自立・活用」「多様性」「値段」「安全・管理面」と大きく8つのグループにまとめられた.8グループの分類において,HMW所属のOTが「いい自助具」として感じる要素として,「安全・管理面」と「自立・活用面」のグループが集約数としては同率で高く,「安全・管理面」では「ぱっと手にとれる」「衛生に配慮されたもの」「保管しやすい」「安全」「壊れにくい」の5つのキーワード,「自立・活用面」では「それを使うことで自立につながる」「能動的に使ってくれる」「余暇活動に活かせる」「残存機能を活かせる」「病前と同じようにできる」の5つキーワードがそれぞれ挙がった.
【考察】
HMW所属のOTは「いい自助具」として大きく8つの項目に注目していることが分かった.我々が過去に行った自助具に関するアンケート調査においては「安全性」や「アフターフォローが行いやすい」と自助具の管理・運営上の要素での「いい自助具」の要素が挙がったが,今回のSGDはこれらに加え,「自立・活用」「ノンストレス」「外見」等と自助具を使用する対象者の立場での要素も多く挙がり,作業療法士が多角的な視点で自助具を選定していることが分かった.
今後は今回抽出した8つの項目を基に,当事者の視点での情報を発信内容に取り入れる事で,HMW所属のOTがより対象者のニーズに合わせて適切な自助具を提案できる事につながるのではないかと考える.また「いい自助具」をHMW所属のOTが対象者に提供するために,自助具の選定や作成する上での課題を抽出し,検討する必要があると考える.
平成医療福祉グループ(以下,HMW)は,対象者のニーズに沿って適切な自助具を提案できる作業療法士(以下,OT)の育成に取り組んでおり,HMWで発足したOT推進チームでは自助具や福祉用具の情報発信として,既製の自助具や手づくりの自助具を紹介するコンテンツを発信している.
我々が過去に行った自助具に関するアンケート調査において,HMW所属のOTは既製品の自助具を用いている傾向にあり,自助具選びで重視する点に関しては,「安全性」や「アフターフォローが行いやすい」という意見が最多であった.自由記述での一問一答形式のアンケートでは「安全性」等の自助具の管理・運営上の要素が重要視されている一方で,対象者のニーズに沿った「いい自助具」の定義は多岐にわたる.「いい自助具」を提供できるOTを育成する為にグループ内での情報共有の充実に向けて臨床のOTが自助具を選ぶ際に考える要素の全容を捉える必要がある.
【目的】
OTが考える安全性・耐久性以外の「いい自助具」の要素を明らかにし,今後の情報発信の一助とする.
【方法】
HMW所属のOT16名に対し,ブレインストーミングの方法の一つであるKJ 法(川喜田二郎,1970)を用いてスモールグループディスカッション(smallgroupdiscussion;SGD)を開催した.SGDは,Googleスライドを用いてオンライン上(Google Meet)で実施し,SGD内で出たキーワードにおいて関連するものでグループを編成した.倫理的配慮として,今回のSGDの目的,方法ならびにSGDに参加しなくとも職務上の不利益とならないことを保証する旨を書面で説明し,同意を得た.
【結果】
KJ 法による検討の結果,27個のキーワードが抽出された.また,グループ編成の結果,「再現性」「ノンストレス」「外見」「利便性」「自立・活用」「多様性」「値段」「安全・管理面」と大きく8つのグループにまとめられた.8グループの分類において,HMW所属のOTが「いい自助具」として感じる要素として,「安全・管理面」と「自立・活用面」のグループが集約数としては同率で高く,「安全・管理面」では「ぱっと手にとれる」「衛生に配慮されたもの」「保管しやすい」「安全」「壊れにくい」の5つのキーワード,「自立・活用面」では「それを使うことで自立につながる」「能動的に使ってくれる」「余暇活動に活かせる」「残存機能を活かせる」「病前と同じようにできる」の5つキーワードがそれぞれ挙がった.
【考察】
HMW所属のOTは「いい自助具」として大きく8つの項目に注目していることが分かった.我々が過去に行った自助具に関するアンケート調査においては「安全性」や「アフターフォローが行いやすい」と自助具の管理・運営上の要素での「いい自助具」の要素が挙がったが,今回のSGDはこれらに加え,「自立・活用」「ノンストレス」「外見」等と自助具を使用する対象者の立場での要素も多く挙がり,作業療法士が多角的な視点で自助具を選定していることが分かった.
今後は今回抽出した8つの項目を基に,当事者の視点での情報を発信内容に取り入れる事で,HMW所属のOTがより対象者のニーズに合わせて適切な自助具を提案できる事につながるのではないかと考える.また「いい自助具」をHMW所属のOTが対象者に提供するために,自助具の選定や作成する上での課題を抽出し,検討する必要があると考える.