[ON-2-1] 健康関連QOLに基づく回復期リハビリテーション病棟退院後の在宅リハビリテーションの効果検証
【背景】
回復期リハビリテーション病棟(回リハ病棟)でのリハビリテーションを自宅退院後にもシームレスに提供するために,柔軟に在宅リハビリテーション(外来・訪問・通所)を提供できる体制が整いつつある.退院後の在宅リハビリテーションは,その人らしい自宅生活を送るうえで,重要な役割を担っており,その効果検証には対象者自身が改善したと思うことが重要であり,患者報告アウトカム(Patient Reported Outcome)が基本である健康関連QOLが有用である.回リハ病棟退院後の健康関連QOLの改善には,ADL(kyung2014),IADL(Mutai2016)に関連性があるとされているが,回リハ病棟退院後に在宅リハビリテーションを利用したことによる効果を検証したものは少ない.
【目的】
回リハ病棟退院後に在宅リハビリテーションを利用する者を対象に,利用開始から3か月間の効果を健康関連QOLとADLとIADLの側面から検証することである.
【方法】
多施設間縦断的研究とし,対象は回リハ病棟に入院中で,自宅退院が決定し,退院後に在宅リハビリテーション(外来,通所,訪問)を利用する者の内,研究の同意が得られた者を対象とした.評価は,健康関連QOLはEQ-5D-5Lより算出されるQOL値(-0.025-1.000),ADLはBarthel Index(BI:100-0),IADLは日本語版Frenchay Activities Index(FAI:0-45)を在宅リハビリテーション利用開始時(開始時)と3か月後の2回実施した.統計解析には,各評価尺度の前後比較をWilcoxon 符号付順位和検定を実施し,平均値差に基づく効果量を算出した.統計解析にはIBM SPSS Statistics28を使用し,有意水準は5%とした.本研究の実施に当たり,協力病院および本学倫理委員会の審査と承認を得ている.また,本研究に関連し,開示すべきCOI関係にある企業等はない.
【結果】
対象者は30名(女性11名/男性19名),年齢は66.7±15.2歳,在宅リハビリテーションの利用種別は外来が21名,訪問が7名,通所が2名であった.EQ-5D-5L(開始時/3か月後/効果量)は,0.661±0.185/0.762±0.149/0.61,BIは,94.0±7.6点/97.2±5.9点/0.48,FAIは,9.5±10.2点/18.2±10.7点/0.83であり,いずれも開始時と3か月の前後比較で有意な改善(p<0.01)を認め,効果量はBI,EQ-5D-5L,FAIの順で高かった.
【考察】
本研究より,回リハ病棟退院後に在宅リハビリテーション利用開始から3か月間で,健康関連QOL(EQ-5D-5L),ADL(BI),IADL(FAI)ともに改善を認めた.更に,効果量ではADLよりも健康関連QOL,ADLで高値を示した.
これは,今回の対象者の特徴として,在宅リハビリテーション利用開始時より健康関連QOLとIADL に比べ,ADL能力が相対的に高い傾向にあったことが考えられる.一方で,ADLのみならず,家庭内の役割,外出や趣味活動などを反映するIADLが改善したことから,利用者のニーズに沿った個別のサービスが提供されていたことが,健康関連QOLの改善に至った事が示唆された.今後は,対象者を増やし,外来・訪問・通所サービス別での検討と健康関連QOLを改善させる因子の解明などを行っていきたい.
回復期リハビリテーション病棟(回リハ病棟)でのリハビリテーションを自宅退院後にもシームレスに提供するために,柔軟に在宅リハビリテーション(外来・訪問・通所)を提供できる体制が整いつつある.退院後の在宅リハビリテーションは,その人らしい自宅生活を送るうえで,重要な役割を担っており,その効果検証には対象者自身が改善したと思うことが重要であり,患者報告アウトカム(Patient Reported Outcome)が基本である健康関連QOLが有用である.回リハ病棟退院後の健康関連QOLの改善には,ADL(kyung2014),IADL(Mutai2016)に関連性があるとされているが,回リハ病棟退院後に在宅リハビリテーションを利用したことによる効果を検証したものは少ない.
【目的】
回リハ病棟退院後に在宅リハビリテーションを利用する者を対象に,利用開始から3か月間の効果を健康関連QOLとADLとIADLの側面から検証することである.
【方法】
多施設間縦断的研究とし,対象は回リハ病棟に入院中で,自宅退院が決定し,退院後に在宅リハビリテーション(外来,通所,訪問)を利用する者の内,研究の同意が得られた者を対象とした.評価は,健康関連QOLはEQ-5D-5Lより算出されるQOL値(-0.025-1.000),ADLはBarthel Index(BI:100-0),IADLは日本語版Frenchay Activities Index(FAI:0-45)を在宅リハビリテーション利用開始時(開始時)と3か月後の2回実施した.統計解析には,各評価尺度の前後比較をWilcoxon 符号付順位和検定を実施し,平均値差に基づく効果量を算出した.統計解析にはIBM SPSS Statistics28を使用し,有意水準は5%とした.本研究の実施に当たり,協力病院および本学倫理委員会の審査と承認を得ている.また,本研究に関連し,開示すべきCOI関係にある企業等はない.
【結果】
対象者は30名(女性11名/男性19名),年齢は66.7±15.2歳,在宅リハビリテーションの利用種別は外来が21名,訪問が7名,通所が2名であった.EQ-5D-5L(開始時/3か月後/効果量)は,0.661±0.185/0.762±0.149/0.61,BIは,94.0±7.6点/97.2±5.9点/0.48,FAIは,9.5±10.2点/18.2±10.7点/0.83であり,いずれも開始時と3か月の前後比較で有意な改善(p<0.01)を認め,効果量はBI,EQ-5D-5L,FAIの順で高かった.
【考察】
本研究より,回リハ病棟退院後に在宅リハビリテーション利用開始から3か月間で,健康関連QOL(EQ-5D-5L),ADL(BI),IADL(FAI)ともに改善を認めた.更に,効果量ではADLよりも健康関連QOL,ADLで高値を示した.
これは,今回の対象者の特徴として,在宅リハビリテーション利用開始時より健康関連QOLとIADL に比べ,ADL能力が相対的に高い傾向にあったことが考えられる.一方で,ADLのみならず,家庭内の役割,外出や趣味活動などを反映するIADLが改善したことから,利用者のニーズに沿った個別のサービスが提供されていたことが,健康関連QOLの改善に至った事が示唆された.今後は,対象者を増やし,外来・訪問・通所サービス別での検討と健康関連QOLを改善させる因子の解明などを行っていきたい.