[ON-2-3] 兵庫県作業療法士会における自動車運転支援
~実車評価の実施と受け入れに向けた取り組み~
【はじめに】
兵庫県作業療法士会(以下,兵庫県士会)は,2020年に自動車運転支援委員会(以下,委員会)を設置した.今回は,委員会の取り組みの一環であり,指定自動車教習所(以下,教習所)との連携により実車評価の実施と受け入れ推進の取り組みを報告する.報告は,兵庫県作業療法士会理事会にて審議し承認を得た.
【委員会の取り組みと課題】
兵庫県内の自動車運転支援(以下,運転支援)の推進のために,委員会では,①兵庫県版自動車運転再開支援パンフレットの作成,②兵庫県士会員の運転支援スキルアップ研修会の開催,③兵庫県公安委員会や兵庫県指定自動車教習所協会(以下,教習所協会)など関連機関との連携構築に取り組んできた.
2019年に日本作業療法士協会が実施したアンケート調査によると,委員会発足以前に兵庫県内で運転支援を実施している施設は,11施設/525施設で,そのうち実車評価を実施しているのは7施設であった.委員会がパンフレットの作成・配布,運転支援の研修会開催など県内の運転支援推進に取り組む中で,県士会員から「実車評価を近隣の教習所で受け入れて欲しいが一病院の作業療法士(以下,OT)から連携を進めるのは難しい」という相談が寄せられた.
そこで我々は2021年に教習所協会を訪問し,障がいのある方の実車評価の必要性について説明したところ,各教習所への情報発信などの協力を得る事はできるが,教習所協会は業界団体のため実車評価の受け入れは各教習所に個別で交渉する必要があることが分かった.また,竹原ら(2023)が実施した兵庫県内教習所へのアンケート調査(2021年調査,回収率45.5%)では,実車評価の受け入れが困難な理由に「身体機能障害や高次脳機能障害について知識がない.」,「実車評価を進める具体的な方法がわからない」等があがっていた.
これらのことから,OTと自動車教習指導員(以下,指導員)それぞれの課題を共有・解決するために,障がいのある方への運転支援についての講義と両者の関係性作りのためのグループワークを行う研修会「障がいのある方の自動車運転支援 〜作業療法士と教習指導員でつながろう〜」を開催した.
【研修会の内容と結果】
研修会には,OT 24名,指導員 13名が参加した.研修会の内容は,兵庫県公安委員会・OT・指導員の立場から障がいのある方の運転支援についての講義,各地域に分かれてOTと指導員の関係性作りのためのグループワークであった.
グループワークでは,OTと指導員の間で活発な意見と連絡先の交換が行われた.
研修会後のアンケート(回収率33.3%)は,「とても参考になった(66.7%)」,「参考になった(33.3%)」という結果であった.また,研修会開催後1ヶ月の間に,実車評価を実施・受け入れの方向で連携することになったと5件の報告があった.
【今後について】
今回の研修会はOTと教習所との連携の第一歩であり,今後さらに兵庫県内の運転支援を充実させていくためには,OTと教習所との継続的な連携を図れるように定期的な意見・情報交換会や研修会の開催などに取り組む必要がある.
兵庫県作業療法士会(以下,兵庫県士会)は,2020年に自動車運転支援委員会(以下,委員会)を設置した.今回は,委員会の取り組みの一環であり,指定自動車教習所(以下,教習所)との連携により実車評価の実施と受け入れ推進の取り組みを報告する.報告は,兵庫県作業療法士会理事会にて審議し承認を得た.
【委員会の取り組みと課題】
兵庫県内の自動車運転支援(以下,運転支援)の推進のために,委員会では,①兵庫県版自動車運転再開支援パンフレットの作成,②兵庫県士会員の運転支援スキルアップ研修会の開催,③兵庫県公安委員会や兵庫県指定自動車教習所協会(以下,教習所協会)など関連機関との連携構築に取り組んできた.
2019年に日本作業療法士協会が実施したアンケート調査によると,委員会発足以前に兵庫県内で運転支援を実施している施設は,11施設/525施設で,そのうち実車評価を実施しているのは7施設であった.委員会がパンフレットの作成・配布,運転支援の研修会開催など県内の運転支援推進に取り組む中で,県士会員から「実車評価を近隣の教習所で受け入れて欲しいが一病院の作業療法士(以下,OT)から連携を進めるのは難しい」という相談が寄せられた.
そこで我々は2021年に教習所協会を訪問し,障がいのある方の実車評価の必要性について説明したところ,各教習所への情報発信などの協力を得る事はできるが,教習所協会は業界団体のため実車評価の受け入れは各教習所に個別で交渉する必要があることが分かった.また,竹原ら(2023)が実施した兵庫県内教習所へのアンケート調査(2021年調査,回収率45.5%)では,実車評価の受け入れが困難な理由に「身体機能障害や高次脳機能障害について知識がない.」,「実車評価を進める具体的な方法がわからない」等があがっていた.
これらのことから,OTと自動車教習指導員(以下,指導員)それぞれの課題を共有・解決するために,障がいのある方への運転支援についての講義と両者の関係性作りのためのグループワークを行う研修会「障がいのある方の自動車運転支援 〜作業療法士と教習指導員でつながろう〜」を開催した.
【研修会の内容と結果】
研修会には,OT 24名,指導員 13名が参加した.研修会の内容は,兵庫県公安委員会・OT・指導員の立場から障がいのある方の運転支援についての講義,各地域に分かれてOTと指導員の関係性作りのためのグループワークであった.
グループワークでは,OTと指導員の間で活発な意見と連絡先の交換が行われた.
研修会後のアンケート(回収率33.3%)は,「とても参考になった(66.7%)」,「参考になった(33.3%)」という結果であった.また,研修会開催後1ヶ月の間に,実車評価を実施・受け入れの方向で連携することになったと5件の報告があった.
【今後について】
今回の研修会はOTと教習所との連携の第一歩であり,今後さらに兵庫県内の運転支援を充実させていくためには,OTと教習所との継続的な連携を図れるように定期的な意見・情報交換会や研修会の開催などに取り組む必要がある.