[ON-4-1] 心疾患をもつ高齢者がその人らしい在宅生活を送るために同行訪問アセスメントで出来る事
【はじめに】慢性心臓病では左室駆出率(以下:EF)の低下や循環不全により,労作時の息切れを生じやすく生活への不安につながる.また再発予防のため,栄養や内服,過活動などの指導や,低活動への対応も必要とされている.近年では,リハビリテーション専門職(以下:リハ職)をはじめとした,多職種での在宅ケアの必要性が高まっている.介護予防・日常生活支援総合事業の一つである同行訪問アセスメント(以下:訪問アセスメント)では,介護支援専門員(以下:CM)とリハ職が対象者宅へ訪問し,ICFの視点で評価を行い対象者の自立支援を促進できる特徴がある.今回,既往に陳旧性心筋梗塞や慢性心不全をもつ90代の女性に対し,訪問アセスメントを行い,希望である屋外活動の継続に向けて運動や生活方法,短期集中予防型サービスC(以下:短期集中)の提案をした経験を基に,心疾患に対する訪問アセスメントの利点を考察する.なお,対象者には同意を得ている.
【事例紹介】対象者はA氏,90代の女性で娘夫婦と同居し,ADLや家事や畑仕事などのIADLは自立している.屋外では座面付き押し車を利用し休みながら歩行可能だが,外出頻度は減少してきており,デイサービスで足腰を鍛えたいと相談があった.既往歴は心筋梗塞(2年前に入院加療歴あり,入院時EF30%),慢性心不全(NYHA心機能分類Ⅱ度),高血圧,糖尿病がある.
【評価】安静時所見は,末梢循環良好で,頚静脈怒張は観察されなかった.労作時は2.5~4Metsの動作にてBorg scale(以下:Borg)13となるが,片手支持や休憩を入れる事でBorg11~12に改善し,動作は継続可能であった.また,屋外で意識消失した経験により,屋外歩行への不安を訴えていた.家族の支援体制は良好で,外出時に同行しているとのことだった.
【提案内容】立位作業時は片手支持を行い,休憩しながら活動する事で心負荷軽減可能であること,また家族と一緒に外出することで不安への対応ができることを踏まえ,現在の家事や草抜きの継続や行きつけのスーパーまで外出する事を提案した.また活動前の準備体操や血圧測定の必要性を対象者や家族にも説明した.最後にCMと相談し,リハ職との面接や評価により,適宜目標設定の調整ができる短期集中の利用を提案した.
【考察】NYHA心機能分類Ⅱ度で推奨される身体活動量は,急性・慢性心不全ガイドライン(2017)によると3.5~5.9Metsとされている.対象者の場合も,最大4Metsの負荷をBorg13で可能であり,推奨される範囲であったと考える.また,心疾患では低活動予防も重要であり,Borg13の活動を休みながら行う事で,心身機能の維持または改善に寄与すると考える.更に,家族支援も期待できるためより安全な活動維持や,目的である買物を再開する事が可能になると考える.このように,訪問アセスメントでは在宅での参加状況を実際に把握でき,心臓病の増悪因子を評価し適切な目標設定が可能になると考える.また,活動の負荷量が強い場合は,CMの専門的知識や視点を組み合わせる事で,福祉用具や環境調整を進めるなど多角的な視点で対応が可能になると考える.他,心不全の場合,退院後1ヶ月以内に再入院する危険性が高く,退院後にスムーズに地域包括支援センターと連携し,訪問アセスメントや短期集中に繋ぐことで,負担が強くなり易い時期を安全に過ごす事ができるのではと考える.
【今後の展望】退院前では医療ソーシャルワーカーとも連携し,地域包括支援センターへ情報提供を行い,訪問アセスメントを導入する事で,心臓病増悪リスクが高い事例も安心して希望する生活を取り戻すことに繋がるのではと考える.
【事例紹介】対象者はA氏,90代の女性で娘夫婦と同居し,ADLや家事や畑仕事などのIADLは自立している.屋外では座面付き押し車を利用し休みながら歩行可能だが,外出頻度は減少してきており,デイサービスで足腰を鍛えたいと相談があった.既往歴は心筋梗塞(2年前に入院加療歴あり,入院時EF30%),慢性心不全(NYHA心機能分類Ⅱ度),高血圧,糖尿病がある.
【評価】安静時所見は,末梢循環良好で,頚静脈怒張は観察されなかった.労作時は2.5~4Metsの動作にてBorg scale(以下:Borg)13となるが,片手支持や休憩を入れる事でBorg11~12に改善し,動作は継続可能であった.また,屋外で意識消失した経験により,屋外歩行への不安を訴えていた.家族の支援体制は良好で,外出時に同行しているとのことだった.
【提案内容】立位作業時は片手支持を行い,休憩しながら活動する事で心負荷軽減可能であること,また家族と一緒に外出することで不安への対応ができることを踏まえ,現在の家事や草抜きの継続や行きつけのスーパーまで外出する事を提案した.また活動前の準備体操や血圧測定の必要性を対象者や家族にも説明した.最後にCMと相談し,リハ職との面接や評価により,適宜目標設定の調整ができる短期集中の利用を提案した.
【考察】NYHA心機能分類Ⅱ度で推奨される身体活動量は,急性・慢性心不全ガイドライン(2017)によると3.5~5.9Metsとされている.対象者の場合も,最大4Metsの負荷をBorg13で可能であり,推奨される範囲であったと考える.また,心疾患では低活動予防も重要であり,Borg13の活動を休みながら行う事で,心身機能の維持または改善に寄与すると考える.更に,家族支援も期待できるためより安全な活動維持や,目的である買物を再開する事が可能になると考える.このように,訪問アセスメントでは在宅での参加状況を実際に把握でき,心臓病の増悪因子を評価し適切な目標設定が可能になると考える.また,活動の負荷量が強い場合は,CMの専門的知識や視点を組み合わせる事で,福祉用具や環境調整を進めるなど多角的な視点で対応が可能になると考える.他,心不全の場合,退院後1ヶ月以内に再入院する危険性が高く,退院後にスムーズに地域包括支援センターと連携し,訪問アセスメントや短期集中に繋ぐことで,負担が強くなり易い時期を安全に過ごす事ができるのではと考える.
【今後の展望】退院前では医療ソーシャルワーカーとも連携し,地域包括支援センターへ情報提供を行い,訪問アセスメントを導入する事で,心臓病増悪リスクが高い事例も安心して希望する生活を取り戻すことに繋がるのではと考える.