[ON-7-1] 地域共生社会の実現にむけて
~山口県作業療法士会における1年間の取り組み~
【はじめに】地域共生社会の実現は日本作業療法士協会でも重点課題として挙げられている.厚生労働省は地域共生社会について,社会構造の変化や人々の暮らしの変化を踏まえ,制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて,地域住民や地域の多様な主体が参画し,人と人,人と資源が世代や分野を超えつながることで,住民一人ひとりの暮らしと生きがい,地域をともに創っていく社会を目指すものとしている.山口県作業療法士会は2023年に設立40周年を迎え,記念事業として地域共生社会をテーマに地域のプロスポーツチームや市町と連携して地域共生社会実現のための取り組みを行った.今回その取り組みについて報告を行う.尚,報告に関して山口県作業療法士会の承諾を得ている.
【経緯】山口県作業療法士会40周年記念事業を進めていくにあたり,地域共生社会に貢献できる内容を模索する中,地域のプロスポーツチームが「地域」に関するスローガンを掲げていることを知った.そこで40周年事業を通して地域共生社会への実現に向けた取り組みへの協力を仰いだ.山口県作業療法士会が以前からクラブサポーターとして応援していたことや,現社長が放課後デイサービスの運営を通して作業療法への理解が深かったこともあり,快諾を得た.
【取り組み】今回の事業は大きく3つに分けられる.1つ目は山口県作業療法士会全体で取り組むものとして,地域のプロスポーツチームをテーマに据え作業を日常に取り入れてもらうことである.これは応援するということだけでなく,地域のプロスポーツチームのマスコットキャラクターを取り入れた作品や応援グッズの作成を利用者に行ってもらう.さらにこれらをSNSで発信することで県士会員同士の繋がりを強めることである.2つ目は市町と作業療法士(以下:OT)の取り組みで, OTが高齢者サロンに派遣された際,選手に向けたメッセージボードをサロン毎にリレーしていくことと,市町主催で同市ホームタウンデーにサロン利用者を対象とした観戦ツアーを行うことである. 3つ目は聴覚障害者や高次脳機能障害者を試合に招待し,観戦しやすい環境を調整することである.
【実践結果】3つ目の取り組み関しては事前調査を行い,筆談ボードやピクトグラムを設置し環境調整を行った. 招待日は同市ホームタウンデーと同日に設定し,手話通訳の配置やボランティアスタッフに障害者への配慮について助言を行った.観戦終了後に参加者へのアンケート調査を行った結果,13名中8名(61.5%)が「初めてスタジアムで観戦した」と回答した.『もう一度行きたいか』の質問に対し2名が「支援があれば行きたい」と回答し10名が「ぜひ行きたい・機会があれば行きたい」と回答した.自由記述では「ひとりでいくのが不安」「筆談が必要ですか?の担当の人がいて安心した」などの回答が得られた.
【今後の課題及び展望】今回の事業は,地域共生社会の実現に向けて『地域のプロスポーツチームと住民』,『地域のプロスポーツチームと行政』,『地域のプロスポーツチームとOT』を繋ぐという「繋ぎ」の役割を担えた.これは山口県作業療法士会が地域共生社会の実現に対してできることの可能性を示せたものと考える.参加者の回答結果から,「支援があれば行きたい」や「ひとりでいくのは不安」など継続した支援を必要とする声が聞かれた.今回40周年記念事業として行ったものであり,今後どのように取り組みを継続させていくのかが課題となる.OTとしてそれぞれが地域共生社会の実現に向けて地域に出て活躍することは最も重要であるが,その背景に県の作業療法士会がOTの地域参加を応援できる具体的なプランを用意できるように取り組みを考えていきたい.
【経緯】山口県作業療法士会40周年記念事業を進めていくにあたり,地域共生社会に貢献できる内容を模索する中,地域のプロスポーツチームが「地域」に関するスローガンを掲げていることを知った.そこで40周年事業を通して地域共生社会への実現に向けた取り組みへの協力を仰いだ.山口県作業療法士会が以前からクラブサポーターとして応援していたことや,現社長が放課後デイサービスの運営を通して作業療法への理解が深かったこともあり,快諾を得た.
【取り組み】今回の事業は大きく3つに分けられる.1つ目は山口県作業療法士会全体で取り組むものとして,地域のプロスポーツチームをテーマに据え作業を日常に取り入れてもらうことである.これは応援するということだけでなく,地域のプロスポーツチームのマスコットキャラクターを取り入れた作品や応援グッズの作成を利用者に行ってもらう.さらにこれらをSNSで発信することで県士会員同士の繋がりを強めることである.2つ目は市町と作業療法士(以下:OT)の取り組みで, OTが高齢者サロンに派遣された際,選手に向けたメッセージボードをサロン毎にリレーしていくことと,市町主催で同市ホームタウンデーにサロン利用者を対象とした観戦ツアーを行うことである. 3つ目は聴覚障害者や高次脳機能障害者を試合に招待し,観戦しやすい環境を調整することである.
【実践結果】3つ目の取り組み関しては事前調査を行い,筆談ボードやピクトグラムを設置し環境調整を行った. 招待日は同市ホームタウンデーと同日に設定し,手話通訳の配置やボランティアスタッフに障害者への配慮について助言を行った.観戦終了後に参加者へのアンケート調査を行った結果,13名中8名(61.5%)が「初めてスタジアムで観戦した」と回答した.『もう一度行きたいか』の質問に対し2名が「支援があれば行きたい」と回答し10名が「ぜひ行きたい・機会があれば行きたい」と回答した.自由記述では「ひとりでいくのが不安」「筆談が必要ですか?の担当の人がいて安心した」などの回答が得られた.
【今後の課題及び展望】今回の事業は,地域共生社会の実現に向けて『地域のプロスポーツチームと住民』,『地域のプロスポーツチームと行政』,『地域のプロスポーツチームとOT』を繋ぐという「繋ぎ」の役割を担えた.これは山口県作業療法士会が地域共生社会の実現に対してできることの可能性を示せたものと考える.参加者の回答結果から,「支援があれば行きたい」や「ひとりでいくのは不安」など継続した支援を必要とする声が聞かれた.今回40周年記念事業として行ったものであり,今後どのように取り組みを継続させていくのかが課題となる.OTとしてそれぞれが地域共生社会の実現に向けて地域に出て活躍することは最も重要であるが,その背景に県の作業療法士会がOTの地域参加を応援できる具体的なプランを用意できるように取り組みを考えていきたい.