[OP-4-2] 栄養サポートにおける作業療法士の取り組みの意義
~ NST 専門療法士としての取り組みから~
"【はじめに】
筆者は,2007年に自院内の栄養サポートチーム立ち上げからそのスタッフとして関わり,2010年には日本静脈経腸栄養学会(現,日本栄養治療学会:JSPEN)の認定する栄養サポートチーム専門療法士を国内最初の作業療法士として取得し,栄養サポートの領域に作業療法士の取り組みと,果たせる役割について報告してきた.また日本リハビリテーション栄養学会の前身である日本リハビリテーション栄養研究会立ち上げメンバーとして第5回同研究会学術集会を主宰し,作業療法士スタッフらと同研究会内に「OTの部屋」を開設し,学術集会の中で作業療法士の行う栄養管理の取り組みについてもクローズアップを試みた.そして,この時のOTスタッフで日本作業療法士協会 編「作業療法マニュアル64 栄養マネジメントと作業療法」を共同執筆し上梓した.
今回,これらの取り組みを整理し,栄養関連学会の中で作業療法士がどのように捉えられたかについて掘り下げるとともに,逆に作業療法士にとって「栄養サポート」に係ることの意味について考察したので報告する.
【方法】
1.2007年から2023年末までの16年間の筆者の栄養関連学会での取り組みから,筆者が栄養サポートチーム専門療法士として何に拘って取り組んできたのかを整理して,成果と課題についてまとめる.
2.栄養関連学会から作業療法士に対しどのような役割を求められたのかをまとめる.
3.作業療法士にとって栄養サポートに参加することの意味について整理する.
以上3点のテーマについて,筆者自らが取り組んだ内容から「言葉」を取り出し,KJ法の手法により整理し意味を抽出する.
【結果と考察・結語】
1.栄養関連学会の目指すところは,対象者の病態の背景にある栄養状態を評価・把握し,対象者の栄養学的なコンディションを整え,治療の一助とするとともにその治療の促進を図ることを目指してきた.作業療法士として対象者の身体計測や日常生活パフォーマンス,喫食摂食状況の評価と課題抽出,対策にわたり,栄養サポートチームを支援する力がある.
2.リハビリテーション関連職種の立場から,身体計測や摂食状況への支援のほか,リハビリテーション関連職種として現在の生活パフォーマンスと今後の生活パフォーマンスの予後を示唆してほしい.また栄養療法に並行して対象者の運動や生活パフォーマンスを促進し,体力改善や病態改善に参加してほしい.
3.栄養学的知識や実臨床での栄養サポートに係る評価や栄養療法の流れは,けっして特殊なものではなく,大変基礎的な知識であり,支援である.栄養療法を知り,栄養療法に参画することで一医療従事職としての作業療法士の視点にさらに揺るがないエビデンスをもたらすだけでなく,対象者の生活に対する見方も深化する.
4.栄養療法では,将来的な視点は「予後」として捉えられるが,作業療法では「将来望まれる生活像」として捉える.この視点は,栄養療法にとってもおそらく新しい視点であり,その意味で作業療法士は栄養カンファレンスにおいてコーディネーターになりうる可能性がある.
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筆者は,2007年に自院内の栄養サポートチーム立ち上げからそのスタッフとして関わり,2010年には日本静脈経腸栄養学会(現,日本栄養治療学会:JSPEN)の認定する栄養サポートチーム専門療法士を国内最初の作業療法士として取得し,栄養サポートの領域に作業療法士の取り組みと,果たせる役割について報告してきた.また日本リハビリテーション栄養学会の前身である日本リハビリテーション栄養研究会立ち上げメンバーとして第5回同研究会学術集会を主宰し,作業療法士スタッフらと同研究会内に「OTの部屋」を開設し,学術集会の中で作業療法士の行う栄養管理の取り組みについてもクローズアップを試みた.そして,この時のOTスタッフで日本作業療法士協会 編「作業療法マニュアル64 栄養マネジメントと作業療法」を共同執筆し上梓した.
今回,これらの取り組みを整理し,栄養関連学会の中で作業療法士がどのように捉えられたかについて掘り下げるとともに,逆に作業療法士にとって「栄養サポート」に係ることの意味について考察したので報告する.
【方法】
1.2007年から2023年末までの16年間の筆者の栄養関連学会での取り組みから,筆者が栄養サポートチーム専門療法士として何に拘って取り組んできたのかを整理して,成果と課題についてまとめる.
2.栄養関連学会から作業療法士に対しどのような役割を求められたのかをまとめる.
3.作業療法士にとって栄養サポートに参加することの意味について整理する.
以上3点のテーマについて,筆者自らが取り組んだ内容から「言葉」を取り出し,KJ法の手法により整理し意味を抽出する.
【結果と考察・結語】
1.栄養関連学会の目指すところは,対象者の病態の背景にある栄養状態を評価・把握し,対象者の栄養学的なコンディションを整え,治療の一助とするとともにその治療の促進を図ることを目指してきた.作業療法士として対象者の身体計測や日常生活パフォーマンス,喫食摂食状況の評価と課題抽出,対策にわたり,栄養サポートチームを支援する力がある.
2.リハビリテーション関連職種の立場から,身体計測や摂食状況への支援のほか,リハビリテーション関連職種として現在の生活パフォーマンスと今後の生活パフォーマンスの予後を示唆してほしい.また栄養療法に並行して対象者の運動や生活パフォーマンスを促進し,体力改善や病態改善に参加してほしい.
3.栄養学的知識や実臨床での栄養サポートに係る評価や栄養療法の流れは,けっして特殊なものではなく,大変基礎的な知識であり,支援である.栄養療法を知り,栄養療法に参画することで一医療従事職としての作業療法士の視点にさらに揺るがないエビデンスをもたらすだけでなく,対象者の生活に対する見方も深化する.
4.栄養療法では,将来的な視点は「予後」として捉えられるが,作業療法では「将来望まれる生活像」として捉える.この視点は,栄養療法にとってもおそらく新しい視点であり,その意味で作業療法士は栄養カンファレンスにおいてコーディネーターになりうる可能性がある.
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