[OP-4-5] 当院予防訪問リハビリテーション利用者と従事者における修了に対する意識調査
【はじめに,目的】2021年度介護報酬改定では,予防訪問リハビリテーション(以下,予防訪問リハ)において12月超え減算や移行支援加算が導入された.これは,ADLやIADLが向上することで,社会参加・自立を促す修了支援ともいえる.当院訪問リハ事業所(以下,当事業)は,過去3年間で要支援利用者70名(うち修了36名)に提供してきた.今回,当事業の修了支援の現状と2024年度改定に向けた運営の検討を目的に,要支援利用者と当事業従事者の修了に対する意識について調査を行った.
【倫理的配慮】当法人倫理委員会の承認を受け,研究の趣旨を文書および口頭にて説明し,同意を得た.
【方法】2024年1月時点で当事業予防訪問リハを12か月以上利用する16名と,従事者15名(専従6名,作業療法士4名)を対象にアンケートを行った.利用者への調査は,独自作成の質問紙(満足度,目標共有など)・調査票(FIM,目標など),老研式活動能力指標,Life-Space Assessment(LSA)とし,従事者への調査は,独自作成の質問紙(移行支援の意識,目標共有など)とした.リッカート5件法および自由記述にて回答を得た.
【結果】利用者14名から回答を得た.FIM(運動項目)が利用開始時83.1±6.3点,調査時85.6±5.6点で有意な変化は認めなかった.満足度に対して「十分満足(64%)」「やや満足(21%)」であった.継続に対して「強く希望(86%)」「やや希望(7%)」であり,LSA低値(52.3点以下)9名のうち7名が「強く希望」と回答した.その理由として「リハビリ自体が活動機会である」が多かった.LSA高値(52.4点以上)の全5名が,継続を「強く希望」と回答し,その理由として「後退への不安」が多かった.うち4名が老研式活動能力指標10点以上であった.目標の説明は「十分受けた(57%)」「やや受けた(14%)」であり,通所サービスを利用していない11名の利用希望は「全く思わない(45%)」「あまり思わない(45%)」であった.地域の取り組みの参加経験のない10名の参加希望は「全く思わない(40%)」「あまり思わない(20%)」であった.
従事者15名から回答を得た.移行・参加支援の必要性は「やや感じる(40%)」「どちらともいえない(40%)」であり,支援の難しさは「強く感じる(27%)」「やや感じる(47%)」「どちらともいえない(27%)」.「どちらともいえない」と回答した従事者は従事経験1年未満の非専従が多かった.修了の賛成は「どちらともいえない(67%)」であり,目標の立案・共有の難しさは「強く感じる(13%)」「やや感じる(47%)」であった.
【考察】12か月以上の利用者は,身体機能維持を認める.しかしLSA低値群は,訪問リハの機会を活動と捉え,それが活動範囲の狭小化に繋がる可能性が示唆された.LSA高値群は老研式活動能力指標も高値であり,役割のある生活を送れているが,後退への不安感も感じている.また活動範囲が広いためリハに求められる身体機能も高いと考える.
従事者は,移行支援の必要性を感じるものの,経験不足や利用者希望を尊重するあまりに修了支援の難しさに繋がっている可能性が示唆された.
当事業は専任医師を配置し,2023年度のリハマネジメント加算(B)ロの算定率は100%である.予防訪問リハも同様に,リハ計画書を作成し,3か月毎に医師が説明している.しかし今回,利用者の継続前提の意識,従事者の修了支援の難しさ,双方の目標共有の不十分さが示唆された.2024年度の改定を見据え,目標共有や修了支援を図り,定期的な効果判定,訪問リハの有用性や移行支援の適合性を検討しなければならず,作業療法士に求められる役割はますます拡大するのではないか.
【倫理的配慮】当法人倫理委員会の承認を受け,研究の趣旨を文書および口頭にて説明し,同意を得た.
【方法】2024年1月時点で当事業予防訪問リハを12か月以上利用する16名と,従事者15名(専従6名,作業療法士4名)を対象にアンケートを行った.利用者への調査は,独自作成の質問紙(満足度,目標共有など)・調査票(FIM,目標など),老研式活動能力指標,Life-Space Assessment(LSA)とし,従事者への調査は,独自作成の質問紙(移行支援の意識,目標共有など)とした.リッカート5件法および自由記述にて回答を得た.
【結果】利用者14名から回答を得た.FIM(運動項目)が利用開始時83.1±6.3点,調査時85.6±5.6点で有意な変化は認めなかった.満足度に対して「十分満足(64%)」「やや満足(21%)」であった.継続に対して「強く希望(86%)」「やや希望(7%)」であり,LSA低値(52.3点以下)9名のうち7名が「強く希望」と回答した.その理由として「リハビリ自体が活動機会である」が多かった.LSA高値(52.4点以上)の全5名が,継続を「強く希望」と回答し,その理由として「後退への不安」が多かった.うち4名が老研式活動能力指標10点以上であった.目標の説明は「十分受けた(57%)」「やや受けた(14%)」であり,通所サービスを利用していない11名の利用希望は「全く思わない(45%)」「あまり思わない(45%)」であった.地域の取り組みの参加経験のない10名の参加希望は「全く思わない(40%)」「あまり思わない(20%)」であった.
従事者15名から回答を得た.移行・参加支援の必要性は「やや感じる(40%)」「どちらともいえない(40%)」であり,支援の難しさは「強く感じる(27%)」「やや感じる(47%)」「どちらともいえない(27%)」.「どちらともいえない」と回答した従事者は従事経験1年未満の非専従が多かった.修了の賛成は「どちらともいえない(67%)」であり,目標の立案・共有の難しさは「強く感じる(13%)」「やや感じる(47%)」であった.
【考察】12か月以上の利用者は,身体機能維持を認める.しかしLSA低値群は,訪問リハの機会を活動と捉え,それが活動範囲の狭小化に繋がる可能性が示唆された.LSA高値群は老研式活動能力指標も高値であり,役割のある生活を送れているが,後退への不安感も感じている.また活動範囲が広いためリハに求められる身体機能も高いと考える.
従事者は,移行支援の必要性を感じるものの,経験不足や利用者希望を尊重するあまりに修了支援の難しさに繋がっている可能性が示唆された.
当事業は専任医師を配置し,2023年度のリハマネジメント加算(B)ロの算定率は100%である.予防訪問リハも同様に,リハ計画書を作成し,3か月毎に医師が説明している.しかし今回,利用者の継続前提の意識,従事者の修了支援の難しさ,双方の目標共有の不十分さが示唆された.2024年度の改定を見据え,目標共有や修了支援を図り,定期的な効果判定,訪問リハの有用性や移行支援の適合性を検討しなければならず,作業療法士に求められる役割はますます拡大するのではないか.