[OR-1-3] 高校生向け作業療法体験会を通した作業療法の啓発活動
~OT養成校と連携した周辺地域のOT希望者拡大を目指して~
【はじめに】
当院は,病院のリハビリテーション(以下,リハ),訪問リハ・通所リハを展開している.作業療法士(以下,OT)は総勢24名在籍しているが,ある程度経験を積んだ遠方出身者の退職が毎年あり,入れ替わりの多さが課題であった.一方,OT養成校においてもOT希望学生の確保は大きな課題であった.今回,双方の課題を解決する一つの方法として,当院でOT体験会を展開し,参加者からアンケートを収集し考察したため報告する.
【目的】
OTが働いている現場を利用し体験する機会を提供することで,周辺地域の住む高校生にOT業務や思考を具体的に知ってもらい,OTになりたい,当院で働きたい,と考える未来のOTを増やす.
【方法】
令和5年度に国際医療福祉大学作業療法学科が主催したセミナー・オープンキャンパスに参加した高校生にOT体験会をアナウンスし,参加者を募った.体験会当日のプログラムは高校生の夏季休暇中に,1.病院紹介・作業療法の説明,2.病院見学,3.患者模擬体験とOT体験,4.実際のOT場面の見学,で構成した.参加者には参加前に研究説明,同意を得て,体験会前後にGoogle formを用いたアンケートを実施し,その後,アンケートを整理し考察した.
【結果】
県内・外から12名の申し込みがあり,内訳は,男性2名,女性10名,学年は2年生5名,3年生7名であった.
事前アンケートでは,OT体験会の参加理由は,「OTに興味があったから」が100%であった一方,「OTの実際の仕事が分からないから」も18%存在した.また,将来仕事をしたい地域は,82%が「自分の生まれ育った地域で働いたい」との回答であった.
事後アンケートでは,今後の進路決定への良い影響,仕事内容理解の向上等,未来のOTの可能性を探る質問に対して,肯定的な回答が100%であった.
体験会前後のアンケート比較では,将来OTとして仕事をしたいかの質問で,事前では62%に対し,事後は100%であった.将来当院で働いてみたいかの質問で,事前では18%に対し,事後は70%であった.
アンケートの自由記載では,「OTが実際に病院で行っている仕事を見たいと思っていたので,今回の体験会に参加してよかった」,「初めて見る道具などがたくさんあり驚いた」, 「患者模擬体験や実際に患者様と関われて良かった」,等の肯定的な意見が多く挙がった.
【考察】
今回の体験会は,養成校が主催した企画をきっかけに,OTの存在を知り,更にOTについて知りたい,体験したい,という意欲の高い高校生への医療機関における展開であった.アンケート結果から,OTに興味がある学生の多くは,将来の就職について早い段階から地元志向である実態が明らかとなり,また,体験会を通してOTを目指す可能性,つまり未来の作業療法士を増やす可能性が示唆された.中高生の多くは教育機関におけるキャリア教育,自らの怪我等のよるリハ体験,他者からの勧め等を通して,医療・リハビリテーション職に興味をもち,各種書籍,メディア,更なる体験を通して進路を決定していくが,実際の現場でOTが対象者と関わる場面,その際のOTの思考過程を学ぶ機会は限られている.今後,18歳人口が減少していく時代において,OT養成校,周辺地域の子どもたちが学ぶ教育機関等の資源を活用した積極的なOT啓発が求められると考える.今後は,OTを知らない中高生に向けた啓発活動も同時に展開し,OT希望者拡大に繋げていきたい.
当院は,病院のリハビリテーション(以下,リハ),訪問リハ・通所リハを展開している.作業療法士(以下,OT)は総勢24名在籍しているが,ある程度経験を積んだ遠方出身者の退職が毎年あり,入れ替わりの多さが課題であった.一方,OT養成校においてもOT希望学生の確保は大きな課題であった.今回,双方の課題を解決する一つの方法として,当院でOT体験会を展開し,参加者からアンケートを収集し考察したため報告する.
【目的】
OTが働いている現場を利用し体験する機会を提供することで,周辺地域の住む高校生にOT業務や思考を具体的に知ってもらい,OTになりたい,当院で働きたい,と考える未来のOTを増やす.
【方法】
令和5年度に国際医療福祉大学作業療法学科が主催したセミナー・オープンキャンパスに参加した高校生にOT体験会をアナウンスし,参加者を募った.体験会当日のプログラムは高校生の夏季休暇中に,1.病院紹介・作業療法の説明,2.病院見学,3.患者模擬体験とOT体験,4.実際のOT場面の見学,で構成した.参加者には参加前に研究説明,同意を得て,体験会前後にGoogle formを用いたアンケートを実施し,その後,アンケートを整理し考察した.
【結果】
県内・外から12名の申し込みがあり,内訳は,男性2名,女性10名,学年は2年生5名,3年生7名であった.
事前アンケートでは,OT体験会の参加理由は,「OTに興味があったから」が100%であった一方,「OTの実際の仕事が分からないから」も18%存在した.また,将来仕事をしたい地域は,82%が「自分の生まれ育った地域で働いたい」との回答であった.
事後アンケートでは,今後の進路決定への良い影響,仕事内容理解の向上等,未来のOTの可能性を探る質問に対して,肯定的な回答が100%であった.
体験会前後のアンケート比較では,将来OTとして仕事をしたいかの質問で,事前では62%に対し,事後は100%であった.将来当院で働いてみたいかの質問で,事前では18%に対し,事後は70%であった.
アンケートの自由記載では,「OTが実際に病院で行っている仕事を見たいと思っていたので,今回の体験会に参加してよかった」,「初めて見る道具などがたくさんあり驚いた」, 「患者模擬体験や実際に患者様と関われて良かった」,等の肯定的な意見が多く挙がった.
【考察】
今回の体験会は,養成校が主催した企画をきっかけに,OTの存在を知り,更にOTについて知りたい,体験したい,という意欲の高い高校生への医療機関における展開であった.アンケート結果から,OTに興味がある学生の多くは,将来の就職について早い段階から地元志向である実態が明らかとなり,また,体験会を通してOTを目指す可能性,つまり未来の作業療法士を増やす可能性が示唆された.中高生の多くは教育機関におけるキャリア教育,自らの怪我等のよるリハ体験,他者からの勧め等を通して,医療・リハビリテーション職に興味をもち,各種書籍,メディア,更なる体験を通して進路を決定していくが,実際の現場でOTが対象者と関わる場面,その際のOTの思考過程を学ぶ機会は限られている.今後,18歳人口が減少していく時代において,OT養成校,周辺地域の子どもたちが学ぶ教育機関等の資源を活用した積極的なOT啓発が求められると考える.今後は,OTを知らない中高生に向けた啓発活動も同時に展開し,OT希望者拡大に繋げていきたい.