[OR-2-1] 当院作業療法部門での「作業療法士のクリニカルラダーVer1」活用法について
【序論】
クリニカルラダーは,実践能力・組織的役割遂行能力・教育能力・研究能力等を開発する段階的な指標とされている.当院リハビリテーション科では段階的な教育支援としてキャリアパスを使用し長期の人材育成や目標管理の指標としているが,現状作業療法部門でのラダーは構築出来ていない.今回,当院作業療法部門において「作業療法士のクリニカルラダー(日本作業療法士協会版)Ver1」(以下,作業療法士のクリニカルラダー)を使用した取り組みについて報告する.
【目的】
当院作業療法部門での作業療法士のクリニカルラダーを使用した卒後教育と当院リハビリテーション科のキャリアパスを補完する活用法について検討する.
【方法】
当院作業療法士を対象に作業療法士のクリニカルラダーを用いて,5段階評価(5:少しの助言出来る,4:少しの助言・指導により出来る,3:助言・指導により出来る,2:多くの助言・指導を要する,1:多くの助言・指導を得ても不十分)を設定し自己評価を実施.また,作業療法士のクリニカルラダーの有用性について項目毎に10段階評価と自由記載しアンケート集計した.倫理的配慮として,ヘルシンキ宣言に基き研究参加の趣旨について説明し同意を得た.
【結果】
回答対象数は,33名.回答属性は,性別:男性16名・女性17名,年数(中央値[四分位範囲]):2[2‐7]年であった.自己評価(中央値[四分位範囲])は,問題発見力:①生活行為の把握:3[3‐4]点,②ICFの把握:4[3‐4]点,問題解決力:①課題抽出・問題設定:4[3‐4]点,②プログラム作成:4[3‐4]点,③作業療法士の思考過程:3[3‐4]点,問題解決のリスクマネジメント:4[3‐4]点,リーダーシップとマネージメント力:3[3‐4]点,研究力:①臨床の質向上:3[3‐4]点,②エビデンス収集:3[3‐4]点,③吟味・検討し,説明する力:3[3‐4]点,教育・指導力:①当事者・家族への説明:4[3‐4]点,②後輩指導:4[3‐4]点,③学生指導:3[2‐4]点であった.項目に対する10段階評価では,問題発見力:8[7‐9]点,問題解決力:8[6‐9]点,問題解決のリスクマネジメント:8[7‐10]点,リーダーシップとマネージメント力:7[5‐9]点,研究力:8[6‐9]点,教育・指導力:7[5‐8]点であった.項目に対する自由記載において,ポジティブな意見では「作業療法実践に対し視覚化されて良い」「生活行為に着目した点が良い」,ネガティブな意見として「表現が曖昧でわかりづらい」「標準的・模範といった表現に対しての指標が不明確」「若年層での業務管理や教育・指導において実行機会がない」等の意見が挙がった.
【考察】
今回,当院作業療法部門において作業療法士のクリニカルラダーを使用し自己評価を行った.各項目において「3:助言・指導により出来る」とする評価が多く,教育体制の充実を図り自立した作業療法士の育成が課題であると考えられる.また,若年層での「研究力」「教育・指導力」が低いのは,教育・指導を受けている事が多い為と考えられる.作業療法士のクリニカルラダーでは,臨床実践における能力の獲得過程を可視化し,自己の振り返りや自己研鑽をしながら段階的に実践力を高める為の標準的な指標が示されている.当院リハビリテーション科のキャリアパスは「一般業務」「診療」「学習」「安全対策」「感染症対策」「接遇」「災害対策」の7項目で評価を行い卒後教育・人材育成を行っているが,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士共通の内容の為,キャリアパスの「診療」項目において作業療法士のクリニカルラダーが具体的な作業療法実践を補完する活用が期待出来る.
クリニカルラダーは,実践能力・組織的役割遂行能力・教育能力・研究能力等を開発する段階的な指標とされている.当院リハビリテーション科では段階的な教育支援としてキャリアパスを使用し長期の人材育成や目標管理の指標としているが,現状作業療法部門でのラダーは構築出来ていない.今回,当院作業療法部門において「作業療法士のクリニカルラダー(日本作業療法士協会版)Ver1」(以下,作業療法士のクリニカルラダー)を使用した取り組みについて報告する.
【目的】
当院作業療法部門での作業療法士のクリニカルラダーを使用した卒後教育と当院リハビリテーション科のキャリアパスを補完する活用法について検討する.
【方法】
当院作業療法士を対象に作業療法士のクリニカルラダーを用いて,5段階評価(5:少しの助言出来る,4:少しの助言・指導により出来る,3:助言・指導により出来る,2:多くの助言・指導を要する,1:多くの助言・指導を得ても不十分)を設定し自己評価を実施.また,作業療法士のクリニカルラダーの有用性について項目毎に10段階評価と自由記載しアンケート集計した.倫理的配慮として,ヘルシンキ宣言に基き研究参加の趣旨について説明し同意を得た.
【結果】
回答対象数は,33名.回答属性は,性別:男性16名・女性17名,年数(中央値[四分位範囲]):2[2‐7]年であった.自己評価(中央値[四分位範囲])は,問題発見力:①生活行為の把握:3[3‐4]点,②ICFの把握:4[3‐4]点,問題解決力:①課題抽出・問題設定:4[3‐4]点,②プログラム作成:4[3‐4]点,③作業療法士の思考過程:3[3‐4]点,問題解決のリスクマネジメント:4[3‐4]点,リーダーシップとマネージメント力:3[3‐4]点,研究力:①臨床の質向上:3[3‐4]点,②エビデンス収集:3[3‐4]点,③吟味・検討し,説明する力:3[3‐4]点,教育・指導力:①当事者・家族への説明:4[3‐4]点,②後輩指導:4[3‐4]点,③学生指導:3[2‐4]点であった.項目に対する10段階評価では,問題発見力:8[7‐9]点,問題解決力:8[6‐9]点,問題解決のリスクマネジメント:8[7‐10]点,リーダーシップとマネージメント力:7[5‐9]点,研究力:8[6‐9]点,教育・指導力:7[5‐8]点であった.項目に対する自由記載において,ポジティブな意見では「作業療法実践に対し視覚化されて良い」「生活行為に着目した点が良い」,ネガティブな意見として「表現が曖昧でわかりづらい」「標準的・模範といった表現に対しての指標が不明確」「若年層での業務管理や教育・指導において実行機会がない」等の意見が挙がった.
【考察】
今回,当院作業療法部門において作業療法士のクリニカルラダーを使用し自己評価を行った.各項目において「3:助言・指導により出来る」とする評価が多く,教育体制の充実を図り自立した作業療法士の育成が課題であると考えられる.また,若年層での「研究力」「教育・指導力」が低いのは,教育・指導を受けている事が多い為と考えられる.作業療法士のクリニカルラダーでは,臨床実践における能力の獲得過程を可視化し,自己の振り返りや自己研鑽をしながら段階的に実践力を高める為の標準的な指標が示されている.当院リハビリテーション科のキャリアパスは「一般業務」「診療」「学習」「安全対策」「感染症対策」「接遇」「災害対策」の7項目で評価を行い卒後教育・人材育成を行っているが,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士共通の内容の為,キャリアパスの「診療」項目において作業療法士のクリニカルラダーが具体的な作業療法実践を補完する活用が期待出来る.