[OR-2-4] 病院と地域のOTの対話が育む「バトン事例学習会」の紹介
~学習風土づくりの大切さ~
〇はじめに 2021年,コロナ禍で臨床実習や退院前訪問指導が困難となり, 退院後の事例を病院,地域のOTで振り返り途切れない支援のバトンを渡すという,バトン事例学習会(以下,学習会)を大阪府作業療法士会の協力のもと始めた.一方的に教え込み型にすると参加者の気づきが生まれにくいため対話型に学習風土づくりを意図して企画実施した.2022年は対象を豊能ブロックに広げ,2023年は後輩育成も学べるよう外部講師を招いた.学習会を通し地域でOTが繋がり学びの環境となる「学習風土づくり」に意義を感じた.発表に関して演者が直接,事例と参加者に学習会及び発表の主旨を口頭で説明し同意を得た.
〇目的 病院OTを対象に行った学習会を振り返り,学習風土づくりの意義を考察する.
〇方法 1事例を3回の学習会で実施し,各回で企画者や講師で参加者の反応・意見を振り返って次回の企画に活かすようにした.広報や促進役配置等,参加者募集や発言しやすい雰囲気になるように工夫した.2021年,2022年はオンライン開催. 2023年は1回目,3回目はオンライン,2回目は対面で開催. ①学習会概要②参加者数,気づき例,満足度(無記名アンケート)③受講者(経験3年目)のヒアリングにおいて検討する.
〇結果 ①学習会概要:事例は回復期リハ病院を経て訪問看護(以下,訪看)からの利用者.1回目は退院時の様子を病院OTから,現在の自宅生活を訪看から動画で報告.話し易い雰囲気で気づいたことを参加者間で話しあう.発言は全て「気づき」として記載し,各回終了後に皆の気づき集として配布.2回目は気づき集の記載の中から気になる「気づき」を選び「なぜ気になるか」「担当事例への応用は?」を対話した.3回目は気づきを担当事例に実践した参加者が「成果物」とし他職種を交え発表した.
②参加者数,気づき例,満足度:2021年6回開催,2病院参加. 2022年2023年は3回開催,6病院参加. 参加者数は2021年26人,2022年37人,2023年16人.5年目以上は7人, 24人, 7人.気づきの数は2021年65,2022年,34,2023年61.新人の気づき例は「洗濯物を持参する家族と話そう」「本人の思い,趣味を聴こう」等. 2023年は経験者から「後輩に合わせ過ぎていた.メインは患者さんだった」等,後輩育成についての内容が見られた.満足度が高値の受講者の割合は2021年40.2%,2022年31.6%,2023年69.2%. 理由は「自分以外の先輩後輩が関わり生まれた後輩の言葉が聞けた」「同じ経験年数や他領域の方の新しい視点が持てた」等.
③受講者のヒアリング:「家族の歴史や関係性を捉え,本人の不調時に家族に入院生活の様子を伝える重要性に気づいた」「家族に様子を伝え話が広がり,本人と家族の協力を得て食欲の沸く好物を取り入れた実践を成果物に示した.実践に移した感覚を尋ねると,「気づきを活かせると思って活かすと言うより,やっている最中に気づいた.無意識にアンテナを張っていたと思う」と述べた.
〇考察 コルブは「人間は省察し知を形成する.経験からより深く学ぶには,具体的経験をじっくり振り返るプロセスが大切」と述べる.3年間とも良好な満足度が得られたのは退院後の生活からの気づきを忌憚なく話しあえ,外部講師により学習過程が言語化され参加意欲が高まったからと思う. 新人は新しい視点に気づく,その視点を踏まえ実践し,気づいた視点が「そう言うことか」と身につく. 先輩は,後輩が外部OTとの繋がりで習得していく過程を観察し喜ぶといった点が伺われた.企画者は,本学習会で病院OTと地域OTが対話することで後輩が育ち先輩も学び直す環境という学習風土を作る必要性を感じた.地域事例提供者の確保が課題であるが,学習会発展の為府士会やブロックとして育成方法が根付く事が重要と考える.
〇目的 病院OTを対象に行った学習会を振り返り,学習風土づくりの意義を考察する.
〇方法 1事例を3回の学習会で実施し,各回で企画者や講師で参加者の反応・意見を振り返って次回の企画に活かすようにした.広報や促進役配置等,参加者募集や発言しやすい雰囲気になるように工夫した.2021年,2022年はオンライン開催. 2023年は1回目,3回目はオンライン,2回目は対面で開催. ①学習会概要②参加者数,気づき例,満足度(無記名アンケート)③受講者(経験3年目)のヒアリングにおいて検討する.
〇結果 ①学習会概要:事例は回復期リハ病院を経て訪問看護(以下,訪看)からの利用者.1回目は退院時の様子を病院OTから,現在の自宅生活を訪看から動画で報告.話し易い雰囲気で気づいたことを参加者間で話しあう.発言は全て「気づき」として記載し,各回終了後に皆の気づき集として配布.2回目は気づき集の記載の中から気になる「気づき」を選び「なぜ気になるか」「担当事例への応用は?」を対話した.3回目は気づきを担当事例に実践した参加者が「成果物」とし他職種を交え発表した.
②参加者数,気づき例,満足度:2021年6回開催,2病院参加. 2022年2023年は3回開催,6病院参加. 参加者数は2021年26人,2022年37人,2023年16人.5年目以上は7人, 24人, 7人.気づきの数は2021年65,2022年,34,2023年61.新人の気づき例は「洗濯物を持参する家族と話そう」「本人の思い,趣味を聴こう」等. 2023年は経験者から「後輩に合わせ過ぎていた.メインは患者さんだった」等,後輩育成についての内容が見られた.満足度が高値の受講者の割合は2021年40.2%,2022年31.6%,2023年69.2%. 理由は「自分以外の先輩後輩が関わり生まれた後輩の言葉が聞けた」「同じ経験年数や他領域の方の新しい視点が持てた」等.
③受講者のヒアリング:「家族の歴史や関係性を捉え,本人の不調時に家族に入院生活の様子を伝える重要性に気づいた」「家族に様子を伝え話が広がり,本人と家族の協力を得て食欲の沸く好物を取り入れた実践を成果物に示した.実践に移した感覚を尋ねると,「気づきを活かせると思って活かすと言うより,やっている最中に気づいた.無意識にアンテナを張っていたと思う」と述べた.
〇考察 コルブは「人間は省察し知を形成する.経験からより深く学ぶには,具体的経験をじっくり振り返るプロセスが大切」と述べる.3年間とも良好な満足度が得られたのは退院後の生活からの気づきを忌憚なく話しあえ,外部講師により学習過程が言語化され参加意欲が高まったからと思う. 新人は新しい視点に気づく,その視点を踏まえ実践し,気づいた視点が「そう言うことか」と身につく. 先輩は,後輩が外部OTとの繋がりで習得していく過程を観察し喜ぶといった点が伺われた.企画者は,本学習会で病院OTと地域OTが対話することで後輩が育ち先輩も学び直す環境という学習風土を作る必要性を感じた.地域事例提供者の確保が課題であるが,学習会発展の為府士会やブロックとして育成方法が根付く事が重要と考える.