[PA-1-8] COPMを用いてトイレ動作自立を目指し麻痺側上肢のADL参加が可能となった症例
"【はじめに】今回,回復期リハビリテーション病院に入院した自宅退院を希望している事例を担当した.COPMを用いてトイレ動作の自立を目標にし介入を行った結果,麻痺側上肢のADL参加を認め,ADLが自立した症例を報告する
【症例紹介】A氏,50代男性.肥満(BMI38),アテローム血栓性脳梗塞,左麻痺,母親と2人暮らし.高校を中退しそれからは引きこもりの生活をしていた.
【評価】面接(COPM):①自助具などを使わず自分の力でトイレが一人で出来るようになりたい.重要度10遂行度3満足度1,FMA:運動項目43/66手関節・手指の稚拙さや巧緻性の低下あり, FIM運動項目:40点 ADL中等度~最大介助,MAL:AOU1.77,QOM1.11.
【経過】
1.手すりを把持し立位が安定する時期
便器から起立動作は手すりを使用し可能も,非麻痺上肢の筋を過緊張させ手すりに寄りかかってしまい,立位下での操作性は乏しかった.麻痺側下肢への荷重感覚入力と起立訓練を行った.その結果,立位にて麻痺側上肢の下衣までリーチが可能となった.
ご本人の発言として「手はまだ動かしにくいので使ってません」などの発言が聞かれた.
2.立位で下衣へのピンチが可能となり下衣操作の獲得を目指す時期
立位での下衣操作は,ピンチ動作は可能も手指から下衣が滑ってしまう場面が見られた.スパイダースプリントや電気刺激を併用し課題志向型アプローチ(Shaping)を開始した.その結果,下衣をピンチし下げる動作は可能となった,上げる動作は滑る様子が見られたが手関節背屈動作にて可能となった. この時期から,両手を使用した手指整容や新聞を読む際の補助手など麻痺側上肢のADL参加も少しずつ見られた.
ご本人の発言として「手洗いなど手を置くだけですけど使ってますね」と徐々にADLの補助手として使用する発言が聞かれた.
3.臀部へのリーチが可能となり清拭の獲得を目指す時期
トイレ動作では下衣操作が可能となり排尿は自立する.肛門部への清拭は麻痺側下肢を屈曲させ続ける事が出来ず疲労感が著明にあった.また体幹を屈曲しきれず肛門部までリーチが出来なかった.その為,排便時の臀部清拭が困難だった.麻痺側上肢で横手すりを把持できるよう補助手として使用することを目指した.立位作業や下方から上方へのリーチから体幹屈曲伸展運動を反復して介入を行った.結果,臀部への清拭が可能となりトイレ動作が自立した.また,服薬の開封や髭剃りの補助手なども可能となった.
ご本人の発言として「リハビリで出来る事が増えたのでできることはやっています」と麻痺側上肢を使用する意向の発言が聞かれた.
【結果】面接(COPM):①自助具などを使わず自分の力でトイレが一人で出来るようになりたい.重要度10遂行度8満足度8,FMA:運動項目52/66, FIM運動項目:79点,ADL見守り~自立.MAL:AOU4.0,QOM3.22.
【考察】
今回,COPMを実施し,A氏と共に目標設定を行い本人の中で大切な作業であったトイレ動作を目標にしていくことで,麻痺側上肢の機能向上とADL参加する事が示唆された.
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【症例紹介】A氏,50代男性.肥満(BMI38),アテローム血栓性脳梗塞,左麻痺,母親と2人暮らし.高校を中退しそれからは引きこもりの生活をしていた.
【評価】面接(COPM):①自助具などを使わず自分の力でトイレが一人で出来るようになりたい.重要度10遂行度3満足度1,FMA:運動項目43/66手関節・手指の稚拙さや巧緻性の低下あり, FIM運動項目:40点 ADL中等度~最大介助,MAL:AOU1.77,QOM1.11.
【経過】
1.手すりを把持し立位が安定する時期
便器から起立動作は手すりを使用し可能も,非麻痺上肢の筋を過緊張させ手すりに寄りかかってしまい,立位下での操作性は乏しかった.麻痺側下肢への荷重感覚入力と起立訓練を行った.その結果,立位にて麻痺側上肢の下衣までリーチが可能となった.
ご本人の発言として「手はまだ動かしにくいので使ってません」などの発言が聞かれた.
2.立位で下衣へのピンチが可能となり下衣操作の獲得を目指す時期
立位での下衣操作は,ピンチ動作は可能も手指から下衣が滑ってしまう場面が見られた.スパイダースプリントや電気刺激を併用し課題志向型アプローチ(Shaping)を開始した.その結果,下衣をピンチし下げる動作は可能となった,上げる動作は滑る様子が見られたが手関節背屈動作にて可能となった. この時期から,両手を使用した手指整容や新聞を読む際の補助手など麻痺側上肢のADL参加も少しずつ見られた.
ご本人の発言として「手洗いなど手を置くだけですけど使ってますね」と徐々にADLの補助手として使用する発言が聞かれた.
3.臀部へのリーチが可能となり清拭の獲得を目指す時期
トイレ動作では下衣操作が可能となり排尿は自立する.肛門部への清拭は麻痺側下肢を屈曲させ続ける事が出来ず疲労感が著明にあった.また体幹を屈曲しきれず肛門部までリーチが出来なかった.その為,排便時の臀部清拭が困難だった.麻痺側上肢で横手すりを把持できるよう補助手として使用することを目指した.立位作業や下方から上方へのリーチから体幹屈曲伸展運動を反復して介入を行った.結果,臀部への清拭が可能となりトイレ動作が自立した.また,服薬の開封や髭剃りの補助手なども可能となった.
ご本人の発言として「リハビリで出来る事が増えたのでできることはやっています」と麻痺側上肢を使用する意向の発言が聞かれた.
【結果】面接(COPM):①自助具などを使わず自分の力でトイレが一人で出来るようになりたい.重要度10遂行度8満足度8,FMA:運動項目52/66, FIM運動項目:79点,ADL見守り~自立.MAL:AOU4.0,QOM3.22.
【考察】
今回,COPMを実施し,A氏と共に目標設定を行い本人の中で大切な作業であったトイレ動作を目標にしていくことで,麻痺側上肢の機能向上とADL参加する事が示唆された.
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