[PA-4-8] くも膜下出血患者に対する作業療法介入効果の検討
【背景】当院では2016年より作業療法士(以下OT)が入職し作業療法が開始された.それまでは理学療法のみのリハビリ提供であった.脳血管疾患に対し2016年前後で作業療法の介入効果が統計的に比較できる状況がある.本研究では脳血管疾患の中で診療録より情報が抽出可能であった急性期くも膜下出血患者に対する作業療法の介入効果を比較することとした.
【目的】OT介入群とOT非介入群で急性期くも膜下出血患者のBarthel Index(以下BI),入院期間を比較することを目的とする.
【対象】当院で2012年から2022年くも膜下出血にてコイル塞栓術(以下Coiling)または開頭クリッピング術(以下Clipping)後,リハビリ介入した80症例.除外基準は死亡例,意識障害の遷延症例とした.
【方法】研究デザイン:後方視的研究(診療録より情報抽出)
調査項目:年齢,性別,WFNS,手術方法,症候性血管攣縮(以下SVS)の有無,合併症,高次脳機能障害の有無,OT介入の有無,転帰先,入院期間,退院時のBI.
統計学的手法:統計解析はOT介入群とOT非介入群に分けMann-WhitneyのU検定を用いてWFNS,入院期間,退院時のBIの群間比較を行った.カテゴリー変数である性別,手術方法,SVS,合併症,転帰先はFisherの正確確立検定で比較した.統計解析ソフトはminitabを使用し統計学的有意水準は5%とした. 本研究はヘルシンキ宣言のガイドラインに順じて行った.また,患者の個人情報保護に配慮し,個人が特定されないよう留意した.
【結果】80症例の内OT介入群29症例.基本属性:年齢66.7±15.1歳(男性6名女性23名)手術clipping4名coilig25名.状態:SVS62%,合併症51%,WFNS2.48±1.24,入院期間57.6±30.3日,BI=75.6±32.0.転帰先:自宅14件,回復期13件,療養型病院/施設2件.OT非介入群51症例.基本属性:年齢64.6±14.7歳(男性15名女性36名)手術clipping6名coilig45名.状態:SVS43%,合併症43%,WFNS2.51±1.33,入院期間64.5±14.6日,BI=71.7±37.1.転帰先:自宅31件,回復期10件,療養型病院/施設9件の2群に分類された.2群間で年齢(P=0.53)性別(P=0.44)手術(P=1)SVS(P=0.16)合併症(P=0.49)WFNS(P=0.9)入院期間(P=0.13)BI(P=0.62)転帰先(P=0.06)とすべての項目において有意な差は認めなかった.
次に80症例のうち高次脳機能障害を有する症例を抽出した結果42症例となった.42症例の内OT介入群23症例.基本属性:年齢69.2±13.8歳(男性4名女性19名)手術clipping4名coiling19名.状態:SVS56%,合併症56%,WFNS2.6±1.1,入院期間62.2±27.1日,BI=69.7±33.5.転帰先:自宅8件,回復期13件,療養型病院/施設2件.OT非介入群19症例.基本属性:年齢69.4±13.1歳(男性6名女性13名)手術clipping1名coiling18名.状態:SVS68%,合併症68%,WFNS3.1±1.3,入院期間115.1±76.3日,BI=42.1±33.4. 転帰先:自宅5件,回復期8件,療養型病院/施設6件の2群に分類された. 2群間で年齢(P=0.96)性別(P=0.46)手術(P=0.53)合併症(P=0.56)WFNS(P=0.18)転帰先(P=0.2)に有意な差を認めなかった.入院期間(P=0.03)BI(P=0.001)において有意な差を認めた.
【考察】急性期くも膜下出血患者に対してOT介入の有無で入院期間,BIに差は見られなかった.しかし,高次脳機能障害を有するくも膜下出血患者に限定すればOT介入群においてBIの点数が高く,入院期間が短縮していた.両群において基本属性,状態,転帰先に有意な差は見られてない.そのためADLの向上効果が次の転帰先への移行を円滑にし,急性期での入院期間の短縮に影響したと推測される.本研究では高次脳機能障害を有する急性期くも膜下出血患者に作業療法を行うことはADLの向上効果が高く急性期での入院期間が短縮されることが示され,高次脳機能障害を有する急性期くも膜下出血患者に対しOTが積極的に介入すべきであることが示唆された.
【目的】OT介入群とOT非介入群で急性期くも膜下出血患者のBarthel Index(以下BI),入院期間を比較することを目的とする.
【対象】当院で2012年から2022年くも膜下出血にてコイル塞栓術(以下Coiling)または開頭クリッピング術(以下Clipping)後,リハビリ介入した80症例.除外基準は死亡例,意識障害の遷延症例とした.
【方法】研究デザイン:後方視的研究(診療録より情報抽出)
調査項目:年齢,性別,WFNS,手術方法,症候性血管攣縮(以下SVS)の有無,合併症,高次脳機能障害の有無,OT介入の有無,転帰先,入院期間,退院時のBI.
統計学的手法:統計解析はOT介入群とOT非介入群に分けMann-WhitneyのU検定を用いてWFNS,入院期間,退院時のBIの群間比較を行った.カテゴリー変数である性別,手術方法,SVS,合併症,転帰先はFisherの正確確立検定で比較した.統計解析ソフトはminitabを使用し統計学的有意水準は5%とした. 本研究はヘルシンキ宣言のガイドラインに順じて行った.また,患者の個人情報保護に配慮し,個人が特定されないよう留意した.
【結果】80症例の内OT介入群29症例.基本属性:年齢66.7±15.1歳(男性6名女性23名)手術clipping4名coilig25名.状態:SVS62%,合併症51%,WFNS2.48±1.24,入院期間57.6±30.3日,BI=75.6±32.0.転帰先:自宅14件,回復期13件,療養型病院/施設2件.OT非介入群51症例.基本属性:年齢64.6±14.7歳(男性15名女性36名)手術clipping6名coilig45名.状態:SVS43%,合併症43%,WFNS2.51±1.33,入院期間64.5±14.6日,BI=71.7±37.1.転帰先:自宅31件,回復期10件,療養型病院/施設9件の2群に分類された.2群間で年齢(P=0.53)性別(P=0.44)手術(P=1)SVS(P=0.16)合併症(P=0.49)WFNS(P=0.9)入院期間(P=0.13)BI(P=0.62)転帰先(P=0.06)とすべての項目において有意な差は認めなかった.
次に80症例のうち高次脳機能障害を有する症例を抽出した結果42症例となった.42症例の内OT介入群23症例.基本属性:年齢69.2±13.8歳(男性4名女性19名)手術clipping4名coiling19名.状態:SVS56%,合併症56%,WFNS2.6±1.1,入院期間62.2±27.1日,BI=69.7±33.5.転帰先:自宅8件,回復期13件,療養型病院/施設2件.OT非介入群19症例.基本属性:年齢69.4±13.1歳(男性6名女性13名)手術clipping1名coiling18名.状態:SVS68%,合併症68%,WFNS3.1±1.3,入院期間115.1±76.3日,BI=42.1±33.4. 転帰先:自宅5件,回復期8件,療養型病院/施設6件の2群に分類された. 2群間で年齢(P=0.96)性別(P=0.46)手術(P=0.53)合併症(P=0.56)WFNS(P=0.18)転帰先(P=0.2)に有意な差を認めなかった.入院期間(P=0.03)BI(P=0.001)において有意な差を認めた.
【考察】急性期くも膜下出血患者に対してOT介入の有無で入院期間,BIに差は見られなかった.しかし,高次脳機能障害を有するくも膜下出血患者に限定すればOT介入群においてBIの点数が高く,入院期間が短縮していた.両群において基本属性,状態,転帰先に有意な差は見られてない.そのためADLの向上効果が次の転帰先への移行を円滑にし,急性期での入院期間の短縮に影響したと推測される.本研究では高次脳機能障害を有する急性期くも膜下出血患者に作業療法を行うことはADLの向上効果が高く急性期での入院期間が短縮されることが示され,高次脳機能障害を有する急性期くも膜下出血患者に対しOTが積極的に介入すべきであることが示唆された.