[PA-6-15] 脳卒中亜急性期の重度感覚障害を有する一症例に対する把持力・触覚弁別フィードバック機器を併用したリハビリテーション実践経験
【はじめに】
脳卒中発症後に生じる上肢の重度感覚障害は, 把持能力や手指の微細な対立運動をコントロールする能力の低下を招くことが多い. それだけではなく, 物品を操作することが困難となり日常生活での阻害要因とされている. 当院では, 感覚障害の患者に対してSENSORY relearning of Upper limb(SENSUPP)を実施している. 今回はSENSUPPプログラムに加えて, 触覚弁別フィードバック機器(指レコーダー,テック技販)と把持力調整機器(把持力センサ, テック技販)によるバイオフィードバックを併用した集中的作業療法を実施した. 介入後に感覚機能が改善を認め, 目標としていた右手で箸操作の獲得, 更衣動作で洋服をつかむことが可能となったため報告する.
【症例紹介】
症例は50歳代の男性である. 疾患名は脳梗塞で, 発症から第15病日目に当院回復期リハビリテーション病棟に入院した. 初期評価時の上肢機能は, FMA 38 / 66点, ARAT 19 / 57点, MALはAOU / QOM共に0点であった. 感覚機能評価は, FMA-Sensory(FMA-S触覚) 0 / 4点, Semmes-Weinstein monofilament(SWM) 6.65以上であり重度感覚障害であった. 希望として, 「箸使用しての食事動作獲得」「両手を使用しての洗体動作」「右手使用して洗顔や髭剃り, 歯磨き」等がきかれた. 集中的作業療法開始前の上肢機能は, FMA 51 / 66点, ARAT 40 / 57点, MALはAOU /QOM 1.92 / 1.46であり運動機能の改善は認められた. 感覚機能評価は, FMA-S触覚 0 / 4点, SWM 6.65以上, Erasmus modification of the Nottingham Sensory Assessment(EmNSA) 10 / 40点と重度感覚障害は残存していた. 感覚障害の影響で, 食事の時にスプーンを落としたり, 下衣を把持しても指が抜けてしまっていた. 本報告に関して, 症例より紙面にて同意を得た.
【方法】
第70病日目から集中的作業療法を1ヶ月間実施した. 以下の構成要素を持つ訓練を提供した : 1SENSUPP+指レコーダー+把持力センサを使用した練習, 2課題指向型練習, 3Transfer Package. SENSUPPでは, 先行研究で規定された物品を用意し, 触覚 / 物体弁別・立体・温度識別練習を行なった. また, SENSUPP実施時に, 指レコーダーを装着し手指の微細な振動を感覚情報として変換するデバイスで感覚を代償的に知覚した. また, 圧力センサが内蔵された把持力装置によってPC画面上に把持力の軌跡が表示され, 把持力のフィードバックを実施した. 最大出力を数回に分けて実施する訓練と一定の力を保持する訓練を実施した. その後, 課題指向型練習を通して物品操作の練習を実施した. その練習によって改善された能力を日常生活へ転移させるため, Transfer Packageを実施した.
【結果】
最終評価時の上肢機能は, FMA 48 / 66点, ARAT 49 / 57点, MALはAOU / QOM 3.03 / 2.5点となった. 感覚評価は, EmNSA 36 / 40, FMA-S触覚 2 / 4点となった. 目標としていた, 下衣の着脱や箸を使用した食事が可能となった.
【まとめ】
本症例は, 発症後70病日を経過しても重度感覚障害を有していたが, SENSUPPに併用し て触覚弁別フィードバック機器や把持力調整機器を使用した介入に伴って感覚障害の改善を確認した. その後, 改善した感覚を日常生活へ転移するための戦略を目標に向けて患者 と共に取り組むことで目標を達成することができた.
脳卒中発症後に生じる上肢の重度感覚障害は, 把持能力や手指の微細な対立運動をコントロールする能力の低下を招くことが多い. それだけではなく, 物品を操作することが困難となり日常生活での阻害要因とされている. 当院では, 感覚障害の患者に対してSENSORY relearning of Upper limb(SENSUPP)を実施している. 今回はSENSUPPプログラムに加えて, 触覚弁別フィードバック機器(指レコーダー,テック技販)と把持力調整機器(把持力センサ, テック技販)によるバイオフィードバックを併用した集中的作業療法を実施した. 介入後に感覚機能が改善を認め, 目標としていた右手で箸操作の獲得, 更衣動作で洋服をつかむことが可能となったため報告する.
【症例紹介】
症例は50歳代の男性である. 疾患名は脳梗塞で, 発症から第15病日目に当院回復期リハビリテーション病棟に入院した. 初期評価時の上肢機能は, FMA 38 / 66点, ARAT 19 / 57点, MALはAOU / QOM共に0点であった. 感覚機能評価は, FMA-Sensory(FMA-S触覚) 0 / 4点, Semmes-Weinstein monofilament(SWM) 6.65以上であり重度感覚障害であった. 希望として, 「箸使用しての食事動作獲得」「両手を使用しての洗体動作」「右手使用して洗顔や髭剃り, 歯磨き」等がきかれた. 集中的作業療法開始前の上肢機能は, FMA 51 / 66点, ARAT 40 / 57点, MALはAOU /QOM 1.92 / 1.46であり運動機能の改善は認められた. 感覚機能評価は, FMA-S触覚 0 / 4点, SWM 6.65以上, Erasmus modification of the Nottingham Sensory Assessment(EmNSA) 10 / 40点と重度感覚障害は残存していた. 感覚障害の影響で, 食事の時にスプーンを落としたり, 下衣を把持しても指が抜けてしまっていた. 本報告に関して, 症例より紙面にて同意を得た.
【方法】
第70病日目から集中的作業療法を1ヶ月間実施した. 以下の構成要素を持つ訓練を提供した : 1SENSUPP+指レコーダー+把持力センサを使用した練習, 2課題指向型練習, 3Transfer Package. SENSUPPでは, 先行研究で規定された物品を用意し, 触覚 / 物体弁別・立体・温度識別練習を行なった. また, SENSUPP実施時に, 指レコーダーを装着し手指の微細な振動を感覚情報として変換するデバイスで感覚を代償的に知覚した. また, 圧力センサが内蔵された把持力装置によってPC画面上に把持力の軌跡が表示され, 把持力のフィードバックを実施した. 最大出力を数回に分けて実施する訓練と一定の力を保持する訓練を実施した. その後, 課題指向型練習を通して物品操作の練習を実施した. その練習によって改善された能力を日常生活へ転移させるため, Transfer Packageを実施した.
【結果】
最終評価時の上肢機能は, FMA 48 / 66点, ARAT 49 / 57点, MALはAOU / QOM 3.03 / 2.5点となった. 感覚評価は, EmNSA 36 / 40, FMA-S触覚 2 / 4点となった. 目標としていた, 下衣の着脱や箸を使用した食事が可能となった.
【まとめ】
本症例は, 発症後70病日を経過しても重度感覚障害を有していたが, SENSUPPに併用し て触覚弁別フィードバック機器や把持力調整機器を使用した介入に伴って感覚障害の改善を確認した. その後, 改善した感覚を日常生活へ転移するための戦略を目標に向けて患者 と共に取り組むことで目標を達成することができた.