[PA-7-13] 脳卒中患者の上肢運動機能障害の改善に対するHAL単関節タイプの有効活用:スコーピングレビュー
【序論】 脳卒中による上肢運動機能障害の改善に対するエビデンスレベルの高い介入の1つに上肢ロボットがある.上肢ロボットには多くの種類があり,その1つにHybrid Assistive Limb®単関節タイプ(HAL-SJ)(CYBERDYNE株式会社)がある.HAL-SJの特徴は,身体を動かそうとする際に皮膚表面に現れる生体電位信号により随意運動を補助し,反復した運動を促すことができる点である.いくつかの研究においてHAL-SJを用いた介入が脳卒中患者の上肢運動機能障害の改善に効果的であるという報告がある.しかし,HAL-SJを用いた介入に効果を示しやすい患者の特徴や他の介入との併用などHAL-SJを有効活用する方法について一定の見解は得られていない.本スコーピングレビューは,脳卒中患者の上肢運動機能障害の改善に対するHAL-SJを有効活用した既存の知見を網羅的に収集することを目的に実施した.
【方法】 検索データベースには,PubMed,Cochrane Library,Physiotherapy Evidence Database,Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature,医学中央雑誌,メディカルオンラインを使用した(最終検索日:2024年1月29日).検索用語は「“stroke”OR“cerebrovascular disorder”OR“brain infarction”OR“cerebral infarction”OR“lacunar”OR“brain injury”」AND「“hybrid assistive limb”OR“HAL”OR“single joint hybrid assistive limb”OR“The single-joint hybrid assistive limb”OR“HAL-SJ” “exoskeletal upper limb robot”」AND「“Upper limb motor function”OR“upper extremity”」とした.適格基準は,脳卒中患者を対象としているもの,上肢運動機能の評価がされているもの,HAL-SJの有効活用について記載があるもの,日本語もしくは英語で記載されていることとした.除外基準は,学会抄録や解説,特集,レビュー論文であるものとした.
【結果】 データベース検索にて得られた論文は197編であり,最終的に9編が対象となった.研究デザインはランダム化比較試験(RCT)が1編(n=12),コホート研究が5編(n=7~71),ケースコントロール研究が3編(n=14~35)であり全て単施設で行われていた.HAL-SJを有効活用する方法としてあがったのは急性期においてHAL-SJと複数のロボットを併用すること(2編),亜急性期においてHAL-SJと作業療法を併用すること(1編),亜急性期においてHAL-SJの介入頻度を増やすこと(1編),急性期および生活期においてHAL-SJに支持装具を用いること(1編),生活期において在宅でHAL-SJを用いること(1編),生活期においてHAL-SJとボツリヌス療法を併用すること(1編)であり,全ての研究において上肢運動機能障害の改善が認められた.また,HAL-SJに効果を示しやすい患者の特徴としてHAL-SJ開始時の上肢運動機能が重度から中等度であることと発症からの期間が19日以内であること(2編)であった.
【結論】 HAL-SJは,脳卒中により上肢運動機能障害を呈した患者に対して特定の病期に偏ることなく様々な方法で用いられていることが明らかになった.また,HAL-SJの高頻度の介入が低頻度と比較して効果的であることがわかった.さらに,HAL-SJに効果を示しやすい患者の特徴についても明らかとなり,臨床場面でHAL-SJを用いた介入を行う患者を選択するための重要な情報であるといえる.本研究の限界として,該当となった論文の多くがサンプルサイズの少ない小規模なコホート研究やケースコントロール研究であり,RCTにおいても小規模であるため有効活用の検討には今後大規模サンプルでの検証が必要である点があげられる.
【方法】 検索データベースには,PubMed,Cochrane Library,Physiotherapy Evidence Database,Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature,医学中央雑誌,メディカルオンラインを使用した(最終検索日:2024年1月29日).検索用語は「“stroke”OR“cerebrovascular disorder”OR“brain infarction”OR“cerebral infarction”OR“lacunar”OR“brain injury”」AND「“hybrid assistive limb”OR“HAL”OR“single joint hybrid assistive limb”OR“The single-joint hybrid assistive limb”OR“HAL-SJ” “exoskeletal upper limb robot”」AND「“Upper limb motor function”OR“upper extremity”」とした.適格基準は,脳卒中患者を対象としているもの,上肢運動機能の評価がされているもの,HAL-SJの有効活用について記載があるもの,日本語もしくは英語で記載されていることとした.除外基準は,学会抄録や解説,特集,レビュー論文であるものとした.
【結果】 データベース検索にて得られた論文は197編であり,最終的に9編が対象となった.研究デザインはランダム化比較試験(RCT)が1編(n=12),コホート研究が5編(n=7~71),ケースコントロール研究が3編(n=14~35)であり全て単施設で行われていた.HAL-SJを有効活用する方法としてあがったのは急性期においてHAL-SJと複数のロボットを併用すること(2編),亜急性期においてHAL-SJと作業療法を併用すること(1編),亜急性期においてHAL-SJの介入頻度を増やすこと(1編),急性期および生活期においてHAL-SJに支持装具を用いること(1編),生活期において在宅でHAL-SJを用いること(1編),生活期においてHAL-SJとボツリヌス療法を併用すること(1編)であり,全ての研究において上肢運動機能障害の改善が認められた.また,HAL-SJに効果を示しやすい患者の特徴としてHAL-SJ開始時の上肢運動機能が重度から中等度であることと発症からの期間が19日以内であること(2編)であった.
【結論】 HAL-SJは,脳卒中により上肢運動機能障害を呈した患者に対して特定の病期に偏ることなく様々な方法で用いられていることが明らかになった.また,HAL-SJの高頻度の介入が低頻度と比較して効果的であることがわかった.さらに,HAL-SJに効果を示しやすい患者の特徴についても明らかとなり,臨床場面でHAL-SJを用いた介入を行う患者を選択するための重要な情報であるといえる.本研究の限界として,該当となった論文の多くがサンプルサイズの少ない小規模なコホート研究やケースコントロール研究であり,RCTにおいても小規模であるため有効活用の検討には今後大規模サンプルでの検証が必要である点があげられる.